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開業前に使ったお金も経費になるの?
事業のために出したお金は、開業前であっても経費として扱えるのでしょうか?
この記事では、
・開業費として計上できるケース
・事業形態ごとについての解説
・開業費用の仕訳の方法
の3点についてお伝えしていきます。
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まずは開業費に分類される内訳を知ろう
開業費は、事業を開業する準備のために使った費用のこと。
開業費、あるいは開業準備費などと呼ばれることもありますが、内容はどちらも同じです。
開業費は厳密に言うと「繰延資産」という科目で処理します。
通常の経費とは異なり、毎年少しずつ経費として処理していく償却を行います。
しかし、開業前には設備や建物取得の他にも事務用品や消耗品なども含まれますが、なぜ償却処理を行うのでしょうか?
理由としては、「開業前の準備は初年度だけでなく、それ以降も業務に役立つ。開業前に準備したものは翌年以降の業務にも影響するので開業年度のみの経費として扱わない」という考えです。
たとえば、同じ事務用品でも開業の前と後では以下のように勘定科目の仕分けが異なります。
・開業前
借方:開業費 1,500円 貸方:元入金 1,500円 概要:文房具購入
・開業後
借方:事務用品費 1,500円 貸方:現金 1,500円 概要:文房具購入
特に個人事業主の場合は開業する前は事業の資金がまだないため、科目が元入金となるのです。
ただ、開業前に使った費用がすべて開業費として扱えるわけではありません。
・敷金(後で返還されるため)
・10万円以上の固定資産(固定資産のため)
・商品の仕入れ費用(売上原価となるため)
などは一般的に開業費には含まれません。
事業形態によって分類が異なるケースも
開業費は、個人事業主と法人とで扱い方が異なる部分もあります。
それぞれの形態ごとに開業費となるものについて解説いたします。
個人事業主の場合
個人事業主の場合は、開業費となる範囲は比較的広めです。
開業するまでに支払った費用は開業費として分類されます。
例としては、
・開業のための講演会やセミナー参加費
・事業所の立地調査のための旅費またはガソリン代
・通信費
・事業用テナント賃料
・打ち合わせにかかった費用
・事業関係者への手土産代
・広告宣伝費
・パソコン購入費
・開業するまでの借入金の利子
などが挙げられますが、詳細な内訳は業種によって異なります。
法人の場合
法人の場合は基準が異なり、「法人設立後、事業開始までにかかった開業準備のための特別支出」が開業費として扱われます。
例としては、
・広告宣伝費
・市場調査費用
・営業開始までの研修費用
・印鑑/名刺を作る費用
・その他開業準備のため特別支出した費用
がそれにあたります。
法人の場合は、事務所の家賃・水道光熱費など一定の間隔で支払う費用は開業費として扱えないので注意が必要です。
開業費用の仕訳について
開業費用の仕訳についてご紹介します。
こちらでは開業前に文房具を20,000円購入し、打ち合わせに行くための交通費が15,000円かかったと仮定しましょう。
【個人事業主の場合】
借方:開業費 20,000円 貸方:元入金 20,000円 概要:〇月〇日 文房具購入
借方:開業費 15,000円 貸方:元入金 15,000円 概要:△月△日 打ち合わせ交通費
【法人の場合】
借方:開業費 20,000円 貸方:現金 20,000円 概要:〇月〇日 文房具購入
借方:開業費 15,000円 貸方:現金 15,000円 概要:△月△日 打ち合わせ交通費
と、このように個人事業主の場合は「元入金」、法人の場合は「現金」で処理します。
まとめ:開業前に使ったお金も経費になるの?
開業前に使ったお金は、「開業費」として処理できることが分かりましたね。
ただし、本文中でも触れたように開業費として分類される範囲は個人事業主と法人で異なります。
これから開業する方は、ご自分の事業形態に合った方法で処理を行いましょう。