【合同会社設立まとめ】事業の計画から登記までを総合的に解説!

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「合同会社を設立しようと考えているが、どのような流れが必要なんだろう・・・」
「合同会社についての理解を深めたい」

会社を起業したいと考えた時に、合同会社という選択肢があることを知っていますか?2006年に施行された会社法により有限会社法が廃止され、代わりに新しく生まれた法人形態です。

株式会社よりも簡易に会社の設立が可能で、シンプルでいてコストを抑えた運営ができるため、そのメリットを踏まえて大手企業でも合同会社を使うケースもあります。

この記事では、合同会社についての基礎知識と合同会社の設立方法を具体的に解説します。

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目次

合同会社とは

合同会社は別名LCCと呼ばれ、1977年にアメリカで生まれた法人形態です。正式名称はLimited Liability Companyで、直訳すると「有限責任会社」という意味です。合同会社の特徴と、合同会社の例をご紹介しましょう。

合同会社の特徴

合同会社は定款認証が不要になるため、会社設立時の初期費用を大幅に抑えることが可能です。また、決算報告義務もないので、決算報告の官報掲載に必要な6万円を毎年節約できますね。

さらに、合同会社は出資者が取締役であり経営方針の変更が簡単に行えるという特徴も持っています。迅速な意思決定ができることで時代の流れに的確かつ迅速な対応が可能でしょう。

合同会社の例

冒頭でも触れましたが、意思決定がスムーズでランニングコストが安い合同会社は、そのメリットからスモール企業だけでなく世界的に有名な企業にも利用されています。
【有名な合同会社の例】
・Apple Japan合同会社
日本でiPhoneなどのApple商品を販売するAppleの日本法人です。

・Google合同会社
Google合同会社は2001年に設立されたアメリカ国外初の現地法人であり、Google内の重要な事業も展開しています。

・アマゾンジャパン合同会社
1998年の設立当初は株式会社の法人形態を選択したアマゾンジャパンですが、2016年に組織変更され合同会社になりました。

・フェデラルエクスプレスジャパン合同会社
フェデラルエクスプレスジャパンは通称「フェデックス」で世界的に知られています。
世界最大手の物流会社であり、世界中に強固なネットワークを持っている会社です。フェデックスもアマゾンジャパン同様2016年に組織変更しています。

合同会社と他の法人形態・事業形態との違い

合同会社は他の法人形態や事業形態と何が違うのでしょうか?
その違いが分かりにくい合同会社・株式会社・個人事業主を分かりやすく比較してみましょう。

合同会社と株式会社の違い

合同会社と株式会社は両方とも営利目的の企業であることは同じですが、両者は「利益の配当方法」が大きく変わります。

株式会社は名前通り株式によって会社が維持されているため、会社の利益は株主に配当しなくてはいけません。そして、1株あたりの配当金が決められていますので、株主によって配当額も変わります。

しかし、合同会社は株式がないため定款によって利益の配当が自由に行えます。会社への出資割合に関係なく、会社への貢献度などを基準に利益の分配率を変えられるのです。

その他にも、合同会社は株式会社より安い費用で会社が設立できるため、スモールビジネスを予定している方であれば合同会社の設立の方が、メリットを多く感じられる場合があるでしょう。

合同会社と個人事業主の違い

スモールビジネスと言えば個人事業主が浮かびますが、合同会社と個人事業主の違いも知りたくなりますね。
この2つはまず自分の収入の位置付けが違い、所得の考え方は以下となります。
・個人事業主 売上ー経費=自分の所得
・合同会社 自分の所得=会社からの給与

さらに税金についても大きく違いがあります。法人税の税率は利益が増えても原則一定で変わりませんが、個人事業主は所得によって税率が変わる累進税率が適用されており、収入が多いほど税負担も重くなります。
そのため、年間所得が一定金額を超えると、法人化した方が節税できることもあります。

合同会社の設立方法

ここからは合同会社を設立する時の手順や注意点をまとめます。
株式会社に比べて設立手続きが大幅に簡略化されているので、手順さえ把握してしまえば難しいことではありません。

合同会社の設立方法1:基本事項の決定

まずは会社のプロフィールと言える基本事項を決めていきます。この基本事項は後に会社の定款に記載される部分でもありますので、慎重に話を進めてください。

会社の名称

会社の名称である「商号」には必ず前後のどちらかに「合同会社」を付ける必要があります。
使用が禁止されている言語や、有名企業の名前は使用できません。

細かな決まりはありませんが、すでに存在している会社が会社名を商標登録している場合は、その会社名は避ける必要がありますので、法務局に行って商号調査をしておくと良いでしょう。

会社の事業目的

会社は事業目的に決めた以外の事業をしてはいけないため、将来取り扱う可能性があるビジネスまで見据えておかなければいけません。

また、その事業内容は明確性・営利性・適法性を満たしている必要があります。
登記済の会社の事業目的は他社のものであっても、登記事項証明書で確認できますので、事業目的の決定に迷った時には、同業他社の事業目的を参考にするのも良いでしょう。

また、法務局の職員に直接相談してみるのもお勧めです。

会社の本店所在地

特に制限はありませんが、正式名称である「1丁目2番3号」の住所を「1丁目2-3」などと略さずに記載するようにしましょう。

本店所在地の変更には、移転先によって3万円〜6万円の費用が発生しますので注意してください。

会社の事業年度

事業年度とは、決算を何月にするかを決めることです。一般的には、国の会計年度と同じく3月決算を選択している場合が多いです。
この場合は毎年4月1日〜3月31日までが事業年度となります。
決算は大変手間がかかる作業ですので、会社の繁忙期を避けるという選択肢もあるでしょう。

会社の出資金

会社設立時の資本金総額を決めます。金額は1円以上であればいくらでも構いませんが、一般的には100万~300万円を選択する企業が多いようです。

また、資本金の金額が1000万円以上になると消費税の免税が受けられませんので注意してください。

資本金が決まったら出資者を選定し、出資者が複数人いる場合はその割合も決めておきます。
この出資者は「社員」という名目になりますが、ここで言う「社員」は実際に働く「従業員」の意味ではありません。

代表社員と業務執行役員

先ほどの出資を行う社員の中から実際に経営に関わる業務執行役員を選定し、さらに業務執行役員の中から代表役員を選びます。

出資者の全員が経営に関わるのであれば全員を業務執行役員にしても構いませんし、1人で出資し経営もする場合は、自動的にその1名が業務執行役員であり代表役員になります。

合同会社の設立方法2:会社代表印の作成と社員の印鑑証明書

会社の登記申請には会社代表印が必要です。基本事項が決まったら、会社代表印を作成するようにしましょう。
形状に決まりはありませんが、10mm〜30mmの正方形に収まるものとなります。
また、基本事項で社員になる方の全員分の印鑑証明も用意しておきます。

合同会社の設立方法3:定款を作成する

会社の定款を作成します。
【定款の記載内容】
・商号
・目的
・本店の所在地
・社員の氏名と住所
・社員が有限責任社員であることを示す記載
・社員の出資の目的と出資の価額または評価の標準

どの項目も基本事項の決定時に行ったことなので、難しいことはありません。この内容以外にも特別に会社のルールなどを記載しておくことも可能です。

合同会社の設立方法4:出資金の払い込み

会社の出資者は出資金を実際に払い込みます。
なお、入金は定款の作成後でなくてはいけません。その順番が逆になると会社法違反になってしまいますので注意してください。支払いをしたら通帳のコピーと払込証明書を作成します。

合同会社の設立方法5:設立登記申請

いよいよ設立登記を申請します。
基本事項で定めた本店所在地を管轄する法務局に出向き、その場で登記申請書に貼る収入印紙を購入して収入印紙を添付後に提出します。

通常登記完了までには数日がかかりますが、設立日は登記申請を提出した日になります。
忙しくて法務局に行けない場合には郵送申請も可能です。
書類の郵送には、書留か配達記録郵便を使用しましょう。郵送申請の場合の設立日は書類が法務局に到着した日付になりますので、自分で設立日を決めたい場合は配達日の指定をするようにしてください。

合同会社設立後に必要となる手続きについて

設立登記申請時に確認した登記完了日までに法務局から連絡が来なければ、無事会社の設立が完了したことになります。

特に申請に問題がなかった場合は、登記完了の連絡は来ませんので注意してください。
しかし、それではまだ会社が設立できただけで事業は開始できません。
合同会社が設立できたら、まずするべきことを把握しておきましょう。

登記簿謄本と印鑑証明書の取得

今後の手続きに必要ですので、まず設立した合同会社の登記簿謄本と印鑑証明書を取得しておきましょう。

必要枚数は状況によって変わりますが、何度も法務局に行く余裕がない場合は余裕を持って4セット以上用意しておくと良いですね。

税金に関する各種届出

税務署(国)・都道府県・市区町村に対して税金に関する書類の届出を行います。
必要な書類は管轄する税務署や会社の内容によって変わりますので、届出の一例を紹介しましょう。

法人設立届出書

会社を設立後2ヶ月以内に提出する必要があり、多くの税務署では登記簿謄本・定款・社員名簿・設立時の貸借対照表などを用意します。

青色申告の承認申請書

青色申告制度の適用を受けるためには会社を設立後3ヶ月以内に青色申告の承認申請書を提出します。

給与支払事務所等の開設届出書

社員・従業員に給与を支払う場合に必要な届出です。

社会保険に関する各種届出

会社の社員に対し健康保険と厚生年金の手続きを実施します。この手続きは社員が1人の場合でも必要です。
非常に複雑な手続きとなりますので、ここでは簡単な説明に留めましょう。手続き先ごとにお伝えします。

年金事務所

厚生年金と健康保険への加入を行います。
年金事務所は日本年金機構が運営しているので実際には健康保険と運営者が違うのですが、両方の手続きが年金事務所で一括して実施できるようになっています。

労働基準監督署

業務中・通勤中などに従業員が事故を起こしてしまった場合に適応される保険である「労災保険」に加入します。

公共職業安定所(ハローワーク)

公共職業安定所にて「雇用保険」(失業保険)の加入を行います。

法人名義で銀行口座を開設

今後利用する予定の金融機関にて、法人名義の銀行口座を開設します。
金融機関によって必要になる書類が変わりますので、事前に確認して用意しておきましょう。

まとめ:【合同会社設立まとめ】事業の計画から登記までを総合的に解説!

合同会社についての基礎知識と設立方法を解説いたしました。
今回の内容をまとめると、
・合同会社は別名LCCと呼ばれ、「有限責任会社」という意味がある
・合同会社であれば、会社設立時の初期費用を大幅に抑えることが可能
・合同会社を設立するには基本事項を決定したり、会社代表印の作成と社員の印鑑証明書の用意をしたりする
という事でした。

株式会社に比べて、合同会社は非常に簡略化された方法で会社設立ができ、設立費用も節約可能です。

メリット・デメリットも理解した上で、自分の会社にベストな法人形態を選択するようにしましょうね。

飲食店・店舗の開業準備

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