本記事にはプロモーションが含まれている場合があります
妊娠を理由に派遣切りはマタハラ!?相談先や対処法は?
2017年1月1日から男女雇用機会均等法と育児・介護休業法が改正されたことも話題になりましたが、
上記のように、妊娠中に派遣切りされてしまったケースは少なくありません。
実際、知恵袋やブログなどを見てみると、妊娠中の派遣切りにまつわる質問や体験談が多く見つかります。
この記事では、妊娠中の派遣社員が派遣切りに遭ってしまったときの対処法や相談先について解説しています。
また、「妊娠していて派遣切りされないか」「いつまで働けるのか」「妊娠したせいで契約更新なしにならないか」など、不安な妊婦さんに向け、妊娠中の契約社員が利用できる制度についてもまとめてみました。
妊娠を理由に派遣切りされてしまった方はもちろん、これから妊娠を会社に報告しようとしている方の参考になる情報をまとめていますので、ぜひ最後までご覧くださいね。
妊娠を理由とした派遣切り・解雇は違法
契約会社や派遣会社が妊娠を理由とした派遣切り・解雇をすることは、違法です。
というのも、男女雇用機会均等法の第九条の「婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等」にて、以下のように決められているためです。
(引用元:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第9条)
妊娠したことや育休・産休を取ったことで会社から不当な派遣切りや解雇を受けた場合、失業保険の手続きや支援機関への相談ができます。
そこで、まずはどのようなケースが違法と判断されるのか詳しく紹介します。
妊娠中の派遣切りが違法と判断されるケース
- 派遣先や派遣会社に妊娠を伝えたら、自主的な退社を勧められた
- 「育休や産休は認められないから、嫌なら退社を」などと促された
- 派遣会社から「契約更新しない」と言われた
- 体調不良や切迫流産で休んだら「もう来なくていいから退職届を書け」と言われた
このように、妊娠にまつわることを理由に派遣切りにあったり自主退職を促されたりされた場合『違法』に当たります。
また、実際に派遣切りをされていなくても、減給や上司・同僚からのハラスメントによって自主的な退職を促されたり、そうしなければならないと思わされてしまう行為を受けたりした場合も違法な可能性があります。
なお、違法性を判断する基準としては、妊娠中もしくは出産後一年以内に不当な扱いを受けたかどうか、ということが重要です。
ここで、男女雇用機会均等法第9条の4項を抜粋します。
この通り、妊娠以外の理由で派遣切りをされた場合を除き、妊娠中の女性や出産後一年を経過しない女性が解雇された場合は無効だと法律で決まっています。
なお、2018年は非正規の無期転換ルールが定められ、派遣社員が狙われると話題になりました。
しかし、2019年年1月1日から男女雇用機会均等法と育児・介護休業法の改正があり、妊娠・出産に関する制度が利用できるようになっているため、過度な心配はいりません。
妊娠・出産したことや産後休業を取得したこと、つわりや切迫早産などで仕事の能率が下がったことなどに対し、会社の人間から嫌がらせや不当な言動を受けた場合は、いわゆるマタニティハラスメントに当たります。
泣き寝入りしたり、すぐ辞めるように仕向けられたりするのは相手の思うつぼですので、いざという時に適切な行動が取れるよう知識を蓄えておくことが大切です。
妊婦であることを理由に不当な退職を強いられた時の対処法
妊婦であることを理由に「契約更新しない」と言われたなど、不当な退職を強いられた時は、以下のように対処しましょう。
- 【働きたい場合】契約解除や退職勧奨に応じない
- 【辞める場合】失業保険の手続きをする
- 【納得がいかない場合】第三者機関に相談する
それぞれの対処法について、下記で解説していきます。
【働きたい場合】契約解除や退職勧奨に応じない
妊娠を理由に「辞めてほしい」と言われたり「契約更新しない」と脅されたりした場合も、頑なに拒否すれば回避できます。
先述したとおり、妊娠中の女性や出産後一年を経過しない女性を解雇することは無効のため、法律に則って説明すれば解決する可能性があります。
ただし、心理的や身体的な攻撃、減給などの嫌がらせを受けている場合、それはマタニティハラスメントに当たるため、会社の相談窓口(相談担当者)や第三者機関に相談しましょう。
妊娠・出産をしながら働く女性のための制度は母子健康手帳や各市町村のパンフレットなどでも紹介されていますので、あわせてご覧になってくださいね。
【辞める場合】失業保険の手続きをする
妊娠によって契約会社や派遣会社から派遣切りにあった場合は、失業保険が受け取れます。
給付を受けるためにはハローワーク(公共職業安定所)での手続きが必要です。
妊娠・出産による派遣切りにあった後、すぐに動けなくても受給期間を最大3年間延ばしてもらうことができますので、まずは相談してみましょう。
- 雇用保険に加入している
- 働く意思があるのに働けない状態である
- 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算1年以上ある
なお、失業保険を受け取るための条件は上記の通りで、派遣社員でも申請することができます。
これらの条件を満たしているか会社に確認し、ハローワーク(公共職業安定所)へ問い合せてみてください。
【納得がいかない場合】第三者機関に相談する
妊娠・出産を理由とした不当な扱いを受けたことに納得がいかない場合、弁護士事務所や労働組合などの第三者機関に相談しましょう。
- 解雇や雇い止めなど派遣切りの撤回
- 無期転換申し込み
- 未払賃金の請求
- 慰謝料の請求
妊娠中の派遣切りにあった契約社員が会社に対してできることは、上の通りです。
これらの手続きは専門的な知識を持つ担当者がサポートしてくれますが、派遣切りの無効を争うためには会社から「解雇理由証明書」の交付を受けることが重要です。
解雇理由として「育休取得のため」「妊娠のため」などと派遣切りの本当の理由が記載されることは、通常ありません。
そのため、雇用契約書や就業規則、妊娠後に解雇を告げられたときの録音音声やメールなど証拠を確保することも大切です。
妊婦さんが利用できる制度
条件を満たせば、正社員や派遣などの雇用形態にかかわらず、育休や産休、その他の補償が取得できます。
ここでは、産休・育休の取得条件や補償額について見ていきましょう。
派遣社員でも産休・育休が取得できる
- 産前・産後休業
- 育児休業
子供を妊娠・出産した女性は、上記2つの休業制度を利用できます。
それぞれ内容が異なるため、まずは各制度について解説します。
産前・産後休業
産前・産後休業 | |
---|---|
内容 | 妊娠している女性が出産のために休業できる制度 |
期間 | 産前6週間から産後8週間 |
条件 | 出産する人はだれでも取得可能 |
※双子以上の場合、産前14週間前から取得できる
※本人が希望し、医師の許可がおりた場合、産後6週間を過ぎれば出勤できる
育児休業
育児休業 | |
---|---|
内容 | 出産後の女性が育児のために休業できる制度 |
期間 | 出産後から子どもが1歳になるまで |
条件 | ①同じ事業主に過去1年以上雇用されていること ②子どもが1歳をむかえた後も引き続き雇用されると見込まれていること ③所定労働日数が週2日を下回っていないこと |
※条件を満たしていても、日雇い契約の場合は対象外となる
※保育園や幼稚園の入園待機など、事情がある場合は2歳まで延長可能
なお、派遣切りされたあと他の会社への就業前であっても、育休後に別の派遣先で就労できる⾒込みがあれば育休・産休の取得が可能です。
派遣元事業主と派遣先との間の派遣契約が終了したとしても適用されるため、覚えておくとよいでしょう。
派遣社員でも各給付金が受け取れる
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 育児休業給付金
派遣会社の社会保険や雇用保険に加入していれば、上記のような給付金を受け取れます。
ここでは、それぞれの支援施策の内容や取得条件、金額について解説します。
出産育児一時金
出産育児一時金 | |
---|---|
内容 | 出産費用を補填するために設けられており、健康保険から手当金が支給される |
金額 | 1児につき42万円。双子の場合は人数分支給される |
条件 | ①健康保険に加入していること ②妊娠4カ月(85日)以上の出産であること |
※この制度に加入していない医療機関などで出産した場合は支給額が40万4000円となる
※流産や死産、中絶に至った場合でも、妊娠4カ月(85日)が経過していれば給付対象
出産手当金
出産手当金 | |
---|---|
内容 | 産休を取得し、給与の支払いが受けられなかった場合に健康保険から支給される |
金額 | 【被保険者期間が1年以上の場合(日額)】 被保険者が給付を受ける月以前1年間の各月の平均標準報酬日額の3分の2に相当する額 【被保険者期間が1年未満の場合(日額)】 ①支給開始日以前の直近で、継続した隔月の平均標準報酬日額に相当する額 ②加入している健康保険の平均標準報酬日額に相当する額 上記2つのいずれか少ない額の3分の2に相当する額が支給される |
条件 | 出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日までの範囲で会社を休んだ健康保険加入者 |
育児休業給付金
育児休業給付金 | |
---|---|
内容 | 育休を取得し、給与の支払いが受けられなかった場合に加入している雇用保険から給付金が支給される |
金額 | 休業開始時賃金日額×支給日数(通常30日)の67%に相当する額 |
条件 | ①育児休業給付金を希望する人(従業員)が雇用保険に加入していること ②1歳未満の子どもがいること ③育児休業開始前の2年間に、11日以上就業している月が12カ月以上あること ④育児休業期間中の1カ月ごとに休業開始前の1カ月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと |
これらの制度を利用するためには、みずから申請しなくてはなりません。
派遣社員の場合、就業日数や期間といった条件を満たしているかどうかが鍵になるため、会社に確認してから準備を進めるとよいでしょう。
いざという時に備えることが大切
妊娠を理由に、これから不当な派遣切りにあってしまわないか心配な女性もいるでしょう。
違法な派遣切りやハラスメントを受けて法改正が進んでいることは事実です。
しかし、派遣契約中の社員が妊娠期間中に気を付けるべきことを知っていなければ、いざという時に行動できません。
そのため、派遣契約中に妊娠がわかったら、以下のことを心がけましょう。
- 産休・育休取得など、重要な事実は書面に残しておく
- 「妊娠を退職を勧められても承諾しなくていい」ということを再認識する
- 「妊娠した女性従業員に産休を与えることは会社の義務で、希望すれば必ず取得できる」ということを説明できるようにする
「妊娠していていつまで働けるのか」「妊娠したせいで契約更新なしにならないか」など、不安なことは多いでしょう。
しかし、自分の身を守るためにも正しい知識を身につけておくことをおすすめします。
妊娠を理由に不当解雇されたと感じた場合、相談はどこにすれば良い?
妊娠中の派遣切りにあって困っているなら、「ねこの手ユニオン」への相談をおすすめします。
ねこの手ユニオンとは、働く労働者側の味方として存在する団体です。
不当解雇やハラスメントといったトラブルの解決から退職代行、開業支援まで幅広く対応しているため、妊娠による派遣切りや育休切りの相談も可能です。
労働組合によっては、年会費や組合費がかかるものもありますが、ねこの手ユニオンなら無料で登録できます。
マタニティハラスメントや有休取得交渉、退職代行などのサポートも、加入費や毎月の組合費などは一切無料で受けられますので、まずはねこの手ユニオンへの相談をおすすめします。
派遣切りについての相談は「ねこの手ユニオン」へ!
派遣社員の女性が、妊娠を理由に派遣会社から「契約更新しない」と言い渡されたり、すぐ辞めるよう促されたりするようなケースはしばしば起こります。
妊娠や出産、育児休業などを理由とする解雇やその他の不利益な扱いは、法律(男女雇用機会均等法)で禁止されているため、あなたは悪くありません。
実際に派遣切りをされていなくても、減給や会社の上司・同僚からのハラスメントによって自主的な退職を促されたり、そうしなければならないと思わされてしまう行為を受けたりした場合も違法な場合があります。
妊娠中の女性や出産後一年を経過しない女性を解雇することは無効のため、会社に派遣切りの撤回や慰謝料を求めることが可能です。
妊娠したことで会社から派遣切りにあって困っているのであれば、働く労働者側の味方「ねこの手ユニオン」にご相談ください。