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過度の退職勧奨は違法!労働者が身を守るために知っておくべきこと
会社から退職するよう促されてしまった場合、どうしたらいいのか困ってしまいますよね。
頑なに断り続けるという方法もありますが、もしかするとパワハラなどの大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。
もしくは、パワハラの延長上で違法な退職勧奨を受けている方も残念ながらいるかもしれませんね。
まずはっきりとお伝えしますが、企業からの違法な退職勧奨に屈する必要はありません。
法律を守らない違法な企業に対しては、弁護士などを立てて慰謝料請求や不当な扱いの取り消しができるケースもあるのです。
そこで下記では、退職勧奨を受けた労働者が自分を守るための行動や対処法について、事例・判例を交えながらご紹介します。
- 違法・不法な退職勧奨ってどんなケース?
- 違法な退職勧奨への対処法3つ
- 違法な退職勧奨を受けて仕事を辞める際の注意点
- 違法な退職勧奨をしてきた企業への未払い給与や残業代について
- もう失敗したくない人におすすめの転職サイト
上のような流れで解説していきますので、必要な知識を身につけ、ぜひ今後の対策にお役立てくださいね。
退職勧奨とは?違法なこともある?
あなたが置かれている状況を整理するためにも、まずは退職勧奨(たいしょくかんしょう)の定義について確認しましょう。
退職勧奨とは会社が退職を勧めること
退職勧奨とは、従業員を退職させるために会社が退職を勧めてくる行為のことを指します。
法的な効果はないものの、会社都合ではなく自主退職を促す企業が多いという特徴があります。
あくまでも従業員の意思によって退職を促す説得活動ですので、退職勧奨の有効性に関する法律上の規定はありません。
また、会社側はいつ、だれに対しても退職勧奨を行うことができるとされています。
退職勧奨と解雇の違いは?
退職勧奨と解雇の比較 | 内容 | 決定権 |
---|---|---|
退職勧奨 | 会社側が自主的な退職を求める方法 | 従業員に決定権がある |
解雇 | 会社側が一方的に労働契約の終了を求める方法 | 会社に決定権がある |
退職勧奨と解雇の違いは、上図の通りです。
退職勧奨はあくまでも従業員の意思で退職させるための手法であることに対し、解雇は従業員の意思に関係なく雇用を終了させるという点に違いがあります。
ただし、正当な解雇理由がないにも関わらず従業員を解雇するというのは不当解雇にあたり、違法性があるとして大きなトラブルに発展する恐れがあります。
つまり会社側は自己都合退職として円満に済ませたいという気持ちから退職勧奨を行ってくるのです。
しつこい退職勧奨は違法!
退職勧奨とは、従業員が自主的に退職するよう促す方法のことです。
会社側は労基などの法律に関係なく、いつでもだれに対しても退職勧奨ができます。
しかし、自らの意思で退職するように促すレベルを超えていると見なされれば、それは違法です。
退職勧奨が違法と見なされるケースの1例
- 労働者のデスクを撤去したり、無意味な作業を命じたりする場合
- パワハラを利用して強い言い方をしたり、急に過度なノルマを増やしたりする場合
- 休業を打診したり、精神疾患にしたりして解雇の理由に当てはめようとする場合
- 「いい加減辞めたらどうだ」などと何度も説得してくる場合
このように、従業員が退職したくなるように仕向けたり、精神的苦痛を与えて追い込んだりするような退職勧奨は違法なケースにあたります。
また、退職する以外の方法がないと思うように仕向ける手法も悪質かつ違法であり、実際に「違法な退職強要」と見なされた判例も存在します。
違法な退職勧奨については、記事の後半でさらに詳しく解説しますので、まずは1例として参考にしてください。
退職勧奨が違法にならないケースは?
そもそも、裁判所は会社がやむを得ず退職勧奨・退職勧告せざるを得ない場合があることを認めています。
業務成績が一向に上がらない、会社や部署の輪を乱す、上司の指示に従わないなど、問題がある社員に対して会社が退職勧奨・退職勧告を行うことには違法性がないのです。
とはいえ、不当な流れや内容で行った退職勧奨は違法と見なされてしまうため、会社側は以下のように十分配慮しながら退職勧奨を行うのが一般的です。
退職勧奨が違法にならないケースの1例
- 会社側が従業員に最大限配慮し、精神的苦痛や名誉に関わる言い方をしてこない場合
- 減給や、降格、事実上の地位剥奪となる出向など不利益な措置を提示してこない場合
- 従業員が退職に応じる代わりに何らかの優遇措置を図るなど、双方にとっての条件提示がある場合
- 面談が業務時間内に行われ、面談の回数や時間なども最低限となるよう配慮されている場合
- 従業員が「退職はしない」と伝えたとき、それ以上の説得をしてこなかった場合
このように、あくまでも従業員の意思を尊重する姿勢が見られる場合、違法と見なされないことが大半でしょう。
あなたが退職勧奨や提示された条件について悪く思わないのであれば、それに越したことはありません。
ただし退職勧奨について強いストレスを感じたり、強要されたと感じたりすることがあれば、第三者への相談なども視野に入れるとよいでしょう。
裏にある企業の思惑
そもそも、企業はどうして退職勧奨を行ってくるのでしょうか。
ここでは、あなたに退職勧奨を行う企業の思惑について詳しく見ていきましょう。
不当解雇トラブルを避けたい
退職勧奨によって従業員を退職させた場合、解雇と比べて法的なリスクが少なくて済みます。
正当な解雇理由を提示できなかったり、それが認められなかったりした場合は解雇自体できません。
また、トラブルに発展してしまう恐れもあるため、企業側としては退職勧奨の方が安全だというわけです。
自己都合退社にしたい
悪質な企業の場合、会社都合による退職ではなく、自己都合による退職として手続きを済ませたいという思惑をもっているケースがあります。
通常、退職勧奨による退職は「会社都合による退職」と見なされ、会社側は基本手当(失業手当)や数ヶ月分の給与などを払う必要性が生じます。
しかし「自己都合による退職」としてしまえば3カ月間の給付制限付きとなり、会社側の負担が減らせるため、わざと自己都合退社させることをもくろむ企業もいるのです。
再就職が困難となったり、基本手当がもらえないなどのトラブルとなったりする場合があるため、もちろん従業員にとってはマイナスでしかありません。
このような企業の思惑に乗せられてしまわぬよう、しっかりとした知識を身につけ、自分の身を守る必要があります。
労働者は退職勧奨に応じる必要はない
先でも触れたとおり、労働者は退職勧奨に応じる必要がありません。
退職勧奨されたあなたの意思が揺らいでしまわぬよう、改めて退職勧奨の定義についてお伝えします。
労働者には退職勧奨を拒む権利がある
退職勧奨は、強制ではなく、決定権は労働者にあります。
つまり会社を辞めるか辞めないかを最終的に決められるのは、労働者であるあなたです。
「肩たたき」をされて動揺する気持ちもわかりますが、まずは落ち着きましょう。
そして、辞める気がまったくないということであれば、詳しい話を聞かず直ちに拒否するのも1つの方法です。
この時点で会社があきらめる可能性もありますし、「退職について強く拒否した」という事実が証拠として残ります。
改めて返事をするというのも1つの方法
退職勧奨を受けて、少しでも気持ちが揺れるようであれば、即答は避けましょう。
「退職について考える時間がほしい」「改めて話したい」などと伝えれば、それ以上説得される事態を避けられます。
また、改めて退職について相談する機会が設けられるまでに、録音や書面での記録を用意する猶予が生まれるというメリットもあります。
過度な退職勧奨は違法!退職強要にあたる
ここでは、過度な退職勧奨についてスポットを当てていきます。
あなたが今度どのような対処をするべきかの参考材料としてください。
過度な退職勧奨は違法・不法行為
あなたが退職勧奨に応じない場合、しびれを切らした会社が不当な扱いをしてくるかもしれません。
たとえば、長時間にわたって説得してくる、何度も退職勧奨を行ってくるといったことがあれば、違法行為にあたります。
精神的な苦痛となることで正常な判断が難しいかもしれませんが、不当な対応をしてくる会社に責任があります。
そのため、不当に受けた扱いの撤回や損害賠償を求めることも可能です。
さらにひどい場合は強要罪にあたる
また、さらに悪質な退職勧奨を行ってくる会社は、強要罪にあたります。
たとえば、退職届を目の前に突きつけて無理やり書かせようとしたり、退職勧奨に応じない場合に不利益を被るといって脅してきたりする場合がこれにあたるでしょう。
もし、脅迫的な退職勧奨を受けた覚えがある方、不当すぎる扱いで精神的苦痛を味わった方は、証拠を集めた上で第三者機関に相談してください。
会社と本格的に対峙することにはなりますが、不当な扱いの撤回や損害賠償を求めることができます。
違法な退職勧奨の5つの事例
自分が受けた退職勧奨が違法かどうか判断できず、弁護士に相談するか迷うこともあるかもしれません。
違法かどうかの判断を最終的に行うのは裁判所ですが、以下の項目に当てはまるものがあれば弁護士に相談することをおすすめします。
退職勧奨の期間や頻度が、社会通念上の限度を超えている場合
- 退職勧奨が長期にわたって何度も執拗(しつよう)に行われた
- 退職勧奨には応じないと回答したのにも関わらず、その後も退職勧奨が続いた
- 短期間であったとしても、長時間に及ぶ退職勧奨が何度も行われた など
心理的圧迫を与える、名誉感情を害するような言動があった場合
- 退職勧奨に伴い、他の従業員の前でひどく叱られたりけなされたりした
- 退職勧奨に伴い、大声で罵倒されたり命令的な言動で圧倒されたりした
- 退職勧奨の際、長時間部屋から出られず、多人数から説得された
- 退職勧奨に伴い、パワハラや無視、意味のない仕事をさせられるなどの嫌がらせを受けた
- 退職勧奨に伴い、不当に残業させられたり過酷な業務を押しつけられたりした など
退職勧奨を受けること以外に選択肢がないと思わされた場合
- 「退職しないのであれば、給料をカットする」などと言われた
- 懲戒解雇事由がないにも関わらず、「退職しないのであれば懲戒解雇する」などと言われた
- 転勤の余地があるにも関わらず、支店閉鎖などを理由に「自主退職しなければ解雇する」などと言われた など
不当な配置転換や出向などにより退職に追い込まれた場合
- 人事権の裁量の範囲を逸脱した不当な配置転換を受けた
- 会社が配置転換命令を出せないと就業規則や雇用契約書に書かれているにも関わらず、配置転換命令が下された
- 退職勧奨に伴い、業務と無関係な理由や目的によって配置転換・出向を命令された など
社外の機関を利用し、退職勧奨を優位に進められた場合
- 退職勧奨に伴い、企業に属する産業医から不当な休業や精神疾患などの診断を下された
- 退職勧奨に伴い、企業と共謀した人材紹介会社から「別業界で適正がある」などと診断されて退職を促された など
上で挙げた5つの事例のように、労働者が退職勧奨を受けるように仕向けられたり、退職勧奨を受けるしかない状況に追い込まれたりした場合、違法として見なされるケースが多いです。
自身が「不当な扱いを受けた」「心理的な圧迫を受けて真意を伝えられなかった」と感じる場合、第三者機関への相談も視野に入れましょう。
違法な退職勧奨への対処法
ここでは、違法な退職勧奨を受けた場合に有効な対処法を3つご紹介します。
また、復職や損害賠償と、それらの手続きを代行してくれる心強い味方「ねこの手ユニオン」についても見ていきましょう。
違法な退職勧奨への対処法3つ
1.退職勧奨を拒否する
違法な退職勧奨を受けており、辞めたくない場合は、拒否する姿勢を見せましょう。
感情的になり、売り言葉に買い言葉のような形で「もう辞めてやる!」などと言ってしまいそうにもなりますが、録音されている恐れもあるためグッと我慢です。
とはいえ、あまりにも長期的または頻繁に退職勧奨が行われる場合は、しかるべき場所への相談を進めた方がよいケースもあります。
2.記録を集める
かなり不当な発言やしつこい勧奨・強要を受けている場合は、証拠として記録を集めましょう。
会話の録音や退職勧奨を受けた回数、時間、期間など、会社側が違法な勧奨を行っている証拠を集めることで、弁護士への相談もスムーズになります。
また、退職勧奨に関する文書を会社に求めることで、それも証拠のひとつとなり得ます。
退職勧奨の理由としては、会社側の経営事情が挙げられることが多いため、労働者であるあなたに問題があるわけではないことが文書にて証明できるでしょう。
3.弁護士などの第三者機関に相談する
「退職勧奨を拒否すれば懲戒解雇する」「今辞めなければ退職金はおろか再就職も難しい」などと脅してくる場合や、過度な退職勧奨が心理的な負担になっている場合、すぐにでも第三者機関に相談すべきです。
その際、集めた証拠を提示することで話がスムーズに進みやすくなりますし、あなたに懲戒解雇できるような問題があったのか否かについても弁護士が調査してくれます。
また実際に弁護士に相談した後の流れとしては、「退職勧奨を拒否し続ける場合に会社が解雇に踏み切るのか」「その場合に裁判で勝てるか」などを検討した上で、拒否か条件闘争かを判断していくケースが考えられます。
違法な退職勧奨の相談先はユニオンがおすすめ
「弁護士費用が払えない」「なかなか相談する勇気がない」というあなたには、「ねこの手ユニオン」がおすすめです。
違法な勧奨を行っている会社と徹底的に戦ってくれるので、あなたは相談するだけでOKです。
さらに、「ねこの手ユニオン」では、退職に伴う手続きや、未払い給与・残業代の請求もあなたの代わりに済ませてくれます。
一般的な退職代行会社や弁護士へ依頼するよりも費用を抑えられるというメリットもあります。
また、24時間・365日無料相談OK、LINE相談も可能なため、不当な扱いを受けた労働者の心強い味方となってくれるでしょう。
仕事を辞める場合は会社都合になっているか確認
退職勧奨を受けて退職する場合、経営悪化などの具体的退職理由や最終出社日、退職金や退職慰労金などの諸条件を記載した「退職勧奨通知書」と「退職勧奨同意書」を渡されるケースが一般的です。
しかし、なかには「自己都合で退職届を出してくれ」などと求めてくる会社もあります。
退職届は、本来従業員の意思で会社を辞めたいと願い出るときに使う書類ですので、サインしてしまうことであなたが不利になってしまう可能性があります。
そのため、まずは提出する書類が会社都合による退職となっているか確認し、下の方法で退職手続きを進めるようにしましょう。
- 退職届を提出する場合は、「会社都合または退職勧奨により」と記載する
- 「退職勧奨通知書」を受け取り、「退職勧奨同意書」にサインする
なお、違法な退職勧奨が理由で手続きが難しい場合、「ねこの手ユニオン」などの信頼できる第三者機関に依頼するのもおすすめです。
未払い給与や残業代は請求できる?復職は?
また、あなたが受けた退職勧奨が違法だと認められた場合、復職もできるかもしれません。
ここでは、退職勧奨後の未払い給与・残業代の請求についての注意点や復職についてスポットを当てていきます。
退職勧奨されて退職した場合も、未払いの給与や残業代を請求できる
退職勧奨にあって退職した人が、未払いの給与や残業代をもらえるのか悩むケースは多いようです。
給与・残業代は労働者の正当な権利ですので、支払われないのは違法行為です。
未払いのまま放置してしまわず、受け取れるものはしっかりと請求しましょう。
ただし、労基法115条によると、残業代の請求権は2年以上放置することで消失する可能性があります。
もしあなたが退職勧奨を受けて退職し、一定期間経ってから給与や残業代が払われていないと気付いた場合は、ただちに請求しましょう。
退職の意思表示取消しによって復職が可能なケースも
退職勧奨を受けて退職した後、その内容が違法だと認められれば、退職の意思表示取消しによる復職も可能です。
復職のために会社と争うと決めた場合、意思表示の効力を争っていくことになり、退職勧奨の内容が脅迫や強要、錯誤、詐欺などに該当するかどうかが結果を左右します。
過去には、懲戒解雇事由があると告知された退職勧奨について、実際は嘘であったことが認められ、意思表示の取消しが認められて復職に至った事例もあります。
違法な退職強要を受けて退職した後で会社に戻ることを望む場合は、退職勧奨時の会社側の対応、発言内容などを提示できるかどうかが鍵となってくるでしょう。
もしあなたが受けた退職勧奨に違法性を感じ、会社と争うことを視野に入れている場合、「退職勧奨通知書」や会社側の言動などをしっかり記録しておくことをおすすめします。