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労働者の権利と義務を知ろう
労働者には、守られる権利があるのをご存知ですか?
2003年に労働者を対象とした、「労働者が働く上での6つある権利を知っていますか」というアンケートの回答が下記の通りです。
- 6つある権利全てを理解している人:3.4%
- 1つも理解していない人:13.9%
- 1つ1点とし、6点満点でスコアをつけた結果:平均2.51点
上記の結果から、権利の理解が高くないことが伺えます。
昨今、多様な就業形態や個別契約に基づく働き方が拡大しています。
「働き方改革」も労働者に当てはまる内容です。
あなたが労働法を正確に理解し、あなた自身で労働者としての権利を守っていく必要性が高まっていると考えられます。
そこで今回は、労働者の権利と義務、雇用者を守る国際組織を紹介します。
ぜひ最後まで、ご覧ください!
労働者の権利について
労働者は働くことにあたって、さまざまな権利を持っています。
ここでいう労働者は、「会社に雇われて労働し、対価として賃金を支払われる者」のことをいいます。
労働者の権利を守るものとして、労働三権(労働基本権)が主とされています。
労働三権とは、「団結権」「団体交渉権」「団体行動権」があります。
詳しく説明すると
- 団結権:労働者が雇う側と対等な立場で話し合うために、労働組合を作る権利。また、組合に加入できる権利。
- 団体交渉権:労働組合が、雇う側と労働条件などを交渉し、文書などで約束を交わすことができる権利。
- 団体行動権:労働条件改善のため仕事をしないで、団体で抗議する権利。いわゆるストライキ権。
上記をもとに、「労働契約法」があります。
労働者は、労働契約法では下記の権利に守られています。
- 賃金を受け取る権利
- 休暇・休憩の権利
- 退職する権利
上記の内容を1つずつ紹介していきます。
賃金を受け取る権利
労働者には、提供した労働に対して会社から賃金を受け取る権利があります。
賃金が確実に労働者に支払われるように、支払い方法にも決まりがあります。
※支払いの決まりとは?
『労働基準法第24条』において
- 通貨で
- 直接労働者に
- 金額を
- 毎月1回以上
- 一定の期日を定めて支払わなけらばならないと規定
上記の内容が支払い方法の決まりです。
なお、賃金には割増賃金や退職金等も含まれます。
休暇・休憩の権利
労働基準法第34条では、労働時間が一定以上の場合は規定の休憩時間を与えると決まっています。
また、所定の休日以外に給与を貰える年次有給休暇を取得する権利もあります。(労働基準法第39条)
労働者には、上記の休暇・休憩の権利が保証されています。
会社の言い分よりも、権利として保証されていることを知っておくことで、自分の身を守ることにも繋がります。
退職する権利
民法では雇用期間の定めがない労働者の場合、2週間の予告期間をおけばいつでも退職ができると言われています。
つまり、民法の規定に従って自由に仕事を辞める権利があることを覚えておきましょう。
次からは、労働者を守る法律を紹介します。
労働三法
労働三法とは、労働者を守るためにある法律です。
「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」から成り立ちます。
詳しく説明すると
- 労働基準法:労働賃金や時間、労働条件の最低基準を定めた法律
- 労働組合法:労働組合をつくり、会社と交渉できることなどを保証した法律
- 労働関係調整法:雇用者と労働者の争い事の解決が難しい場合、第三者があいだに入り、解決するための法律
上記の労働三権、労働三法を知っておくことが働く上のでの重要となります。
労働者の義務について
労働者の義務とは?
日本国憲法第3章第27条から抜粋
「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」
とされています。
内容を噛み砕くと、「働くことは国民の義務ですよ」ということです。
この義務を守るために、「勤労の権利」と「勤労の義務」があります。
詳しい内容は
- 勤労の権利
働く能力と気持ちに応じて誰でも平等に働く機会が与えられる権利
- 勤労の義務
働き・暮らしを営み社会に尽くすことは大切な勤めであるという義務
なので、労働者には労働の義務が発生します。
労働派遣法や権利についても確認しておこう
派遣労働という働き方が一般化している現在。多くの派遣社員が増えていっています。
派遣労働者は仕事ごとに契約期間や賃金が定められています。
そのため、収入が不安定になりやすい傾向があります。
そんな派遣労働者と正社員との差を無くすために作られた法律が2つあります。
- 労働者派遣法
- 労働契約法
2つの法律は、派遣労働者の権利を守るものとしても関係してきます。
では、1つずつ解説していきます。
労働者派遣法
労働者派遣法とは、就業形態や賃金などを規定する、派遣社員の権利を守る法律です。
筆者も派遣社員としてして勤務していた時期がありますが、アルバイトと違い細かな規則があり、とても働きやすい環境でした。
労働契約法
労働契約法とは、労働する際の契約関係について定められている法律のことをいいます。
派遣社員として働いてもうらための、「モラル」のようなものです。
基本的に労働契約法に定められている内容を遵守する必要があります。
労働者派遣法の目的は、「派遣労働者の保護のための法律であること」とされています。
労働者派遣法は、1986年に施行されてから何度も改正しています。
それほど、派遣社員としての需要は高まっているということです。
昨今では、正社員との差をなくすための法律もできるほど、充実した内容で働くことができます。
どのような内容が派遣法にはあるのか気になりますよね。
重要な所をピックアップして紹介します。
- 派遣社員の賃金決定方式の厳格化
- 派遣会社から派遣社員への説明の義務付け
- キャリア形成支援制度の実施
1つずつ解説していきます。
派遣社員の賃金決定方式の厳格化
派遣社員と正社員との賃金による差をなくし、労働人口不足の解消としての取り組み制度です。
簡単に説明すると、「職務内容が同じであれば、雇用形態に関係なく同一賃金を支払う」ことを義務付けした制度。
筆者も派遣社員として勤務していましたが、正社員の方と時給計算では同じ金額をいただいていました。
もちろん、正社員によるボーナスや手当等で差がでますが、不満なく働けていました。
派遣会社から派遣社員への説明の義務付け
派遣社員としてがっかりするパターンが、「聞いていた内容と違う業務を行うこと」だと考えます。
実際にそのような悩みを抱えている人が多く、悪徳派遣会社に所属していたなんてことが実際に起きていました。
そのようなことがないように、下記で記す内容の説明が義務つけられています。
- 昇給の有無
- 退職手当の有無
- 賞与の有無
- 職務内容
これらの説明は派遣社員で働く上で気になることでもありますよね。
説明が義務つけられていると、安心して働くことができます。
キャリア形成支援制度の実施
「派遣社員として勤務しているけど、キャリアアップできない」
「正社員にばかりキャリアが上がる制度に不満」
派遣社員として働いたことのある方なら、上記の悩みを感じたことがあるのではないでしょうか。
安心してください。2015年の労働者派遣法の改正により、キャリア形成支援制度の実施が義務つけられています。
例えば、わかりやすい例をだすと
派遣社員から正社員への雇用形態の変化がイメージしやすいでしょう。
この制度によって、派遣社員が働きやすい環境になっています。
派遣社員は一見すると、働きにくい環境だと思われています。
しかし実際には、労働者派遣法や権利がしっかりしているので、安心して勤務できるでしょう。
雇用者を守る国際組織
国民が安心して働ける社会をつくるためにも、労働問題は世界的にも取り組まれています。
労働者を守る国際組織としてILO(国際労働機関)があります。
ILOの活動内容は、「全ての人が働きがいのある人間らしい仕事(ディーセントワーク)」ができるよう、労働に関しての国際的なルールを決めています。
ILOは、政府・労働者・雇用者の代表が共同で政策とプログラムを決定している「三者構成」による国連機関です。
1919年に国際連盟と共に創設し、創設100年を超える伝統ある国際機関です。
「ILOの活動内容はわかったけど、わたしたちに馴染みのないものでは?」
と考えるかたもいるでしょう。
「8時間労働」という働き方は、ILOが主体となり提唱したものです。
その他にも、200余りの国際労働基準を制定しています。
労働分野における功績が認められ、1969年にノーベル平和賞を受賞するほどです。
労働問題に直面したらユニオンに相談を
前章までは、労働者の権利や派遣法を紹介してきました。
実際に労働問題が発生した場合はどうすればいいのか?
結論から言うと、労働組合(ユニオン)の利用を推奨しています。
労働組合は、労働者の権利である労働三法のなかで保証されているものです。
労働問題が発生した場合は、労働者の権利として労働組合を利用しよう。
では次から、労働組合の詳しい説明を行います。
労働組合とは?
労働条件の改善や維持を目的として法律にに基づき、労働者が主体となって結成する団体です。
会社や職種によって、労働組合の規模や活動内容は変わります。
しかし、根本なるのは労働者の権利を守ることを主としています。
「どの様な活動をしているのか?」
「名前は聞いたことはあるけど実態のイメージが湧かない!」
こういった意見が多数でしょう。
例をあげると、社員を集め、労働環境の意見交換会を行う。
労働環境の他にも、賃金の交渉などの活動もしています。
「賃金や労働環境の意見交換ができるなんてすごい!」
と筆者も感じたことがあります。
つまり、労働組合は会社と対等に接することができる力ある組織のことです。
労働組合がここまでの力があるのは、3つの法律によって決められた組織であるからです。
3つの法律とは
- 労働組合法(労働者が団結し、会社と対等な立場で関係を気づくことができる)
- 労働基準法(労働時間や賃金、労働条件の基準が記されている法律
- 労働関係調整法(労働者と会社のトラブルの解決を助けるための法律)
上記の3つによって労働組合はなりたっているからです。
労働者の権利を守りつつ、会社と対等な力を持つ組織が労働組合と覚えておいてください。
もちろん、労働問題にも相談に乗ってもらえます。
個人では交渉しずらいことも、労働組合を通じ行動することで、対等に話すことができます。
悩みを一人で抱えずに、まずは気軽に相談するところからはじめてみてはいかがでしょうか?
そこで気になるのは、労働組合の加入方法ではないでしょうか。
労働組合の加入方法を詳しく紹介していきます。
労働組合の入会の仕方
労働組合の入会には2つ種類があります。
- 企業型組合への入会
- ユニオン(合同労組)への入会
「ユニオン(合同労組)」とは、同業種や関連する業種の労働者が組織をする団体のことであり、企業の枠を超えて作られる労働組合のことを指します。
では、1つずつ紹介していきます。
企業型組合への入会方法
会社の組織にある場合には、組合の窓口に相談をして加入することになります。
窓口が不明なときには、社内の組合員に尋ねて加入手続きを進めてみましょう。
企業別組合は、会社に属していると入会しやすいメリットがあります。
会社内に労働組合がある方は、こちらの企業型組合が利用しやすいでしょう。
労働問題の相談窓口等も会社によって設けられているので、気軽に相談しやすいでしょう。
ユニオン(合同労組)への加入方法
ユニオンへの加入方法は主に、インターネットを通じて探します。
地域や業種によってさまざまなユニオンがあるので、自分に合ったものを選ぶことがメリットの1つです。
職種や雇用形態を問わずに加入できるため、気軽に相談できます。
社内に労働組合がない場合の人が利用しています。
アルバイト・パートの場合はユニオンを利用することが良いでしょう。
労働組合の加入方法も分かったところで、労働組合を利用するメリットを紹介します。
労働問題に直面したらユニオンに相談しよう
労働問題を解決するときに、頭に浮かぶの弁護士の利用ではないでしょうか。
理由としては、「法律の専門家で間違いなく解決できるから」が1番の理由です。
たしかに弁護士に依頼することで、解決することはできるでしょう。
ただし、弁護士は成功報酬として、平均して2割ものお金を報酬として受けているのが現状です。
下記に弁護士を利用する場合と、ユニオンを利用する場合の金額の比較をまとめました。
こちらを見ると違いが明らかになることでしょう。
相談先 | 弁護士 | ユニオン |
---|---|---|
費用 | 平均 80〜100万円 |
年会費+組合費 4〜10万円 |
上記の用な違いがあります。
労働問題は、弁護士かユニオンの利用で解消できます。
弁護士に依頼するのもいいですが、相談料が無料で労働者の味方であるユニオンの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
これまで悩んでいたことが解決されること間違いないですよ。