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内定取り消しの具体的な事例を7選紹介!SNSや公務員などのケース
内定取り消しは、多くの労働問題の中でも特にデリケートだと認識されています。
企業が内定を取り消す背後には、どのような理由があるのでしょうか?
また、内定取り消しの被害者となった方々は、どんな気持ちになり、どのような対応を取ったのでしょうか?
この記事では、内定取り消しの実際の事例7つに焦点を当てて詳しく紹介していきます。
これらの事例から学んで、自身が同じ状況に直面しないようにするためにも、ぜひ記事の最後までお読みください。
内定取り消しは法的に認められるのか?
事例紹介の前に、内定取り消しの法的側面について触れていきます。
企業が求職者に内定を出すと、労働契約が結ばれることになります。
そのため、不当な内定取り消しは労働契約法に違反することとなるため、違法です。
労働契約法第16条には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と明記されています。
内定取り消しが認められる主な理由
内定取り消しが法的に認められるのは以下のような場合です。
- 内定者が学校を卒業できなかった場合
- 内定者が必要な入社に資格を取得できてない場合
- 内定者が会社にウソの経歴を伝えた場合
- 内定者が病気やケガで仕事ができなくなった場合
- 内定者が犯罪や不適切な行動を起こした場合
これらの理由は主に内定者側に原因がある場合となります。詳しい内容や対処法については、以下の記事で解説していますので、ご参照ください。
>>内定取り消しの全て!法的背景や理由、具体的な3つの対処法を解説
大日本印刷事件
ここからは内定取り消しの事例について見ていきましょう。
概要
大日本印刷事件は、企業が内定を取り消す際に必要な「合理的な理由」の具体例を示した重要な判例となります。
新卒予定者Aさんは、B社から採用内定を得た後、就職活動を中止していました。
ところが後に、B社から採用内定が取り消しされることに。驚くことに、その理由はAさんの「陰気な印象」によるものでした。
Aさんは当然ながら、この会社側の対応に納得がいきません。B社の内定取り消しを解雇権の濫用と主張し、訴訟を提起しました。
結果
裁判所は、採用内定通知に基づき、労働契約が成立していたと判断。採用内定を取り消す際には、採用時点で知ることができなかった事実が必要との判断を示しました。
Y社が挙げた「Xさんの陰気な印象」という理由は、採用時に既知の事実であったため、内定取り消しの正当な理由としては認められませんでした。
最高裁判所で判決を受けたのは 昭和54年7月20日です。
この判決から、採用内定通知は労働契約の申込みに対する承諾として位置づけられ、受けた時点で労働契約が成立すると考えられます。
インフォミックス事件
インフォミックス事件は、経営悪化を理由に中途採用予定者の内定を取り消すことが問題になった事件です。
概要
Aさんは大手コンピューター会社に勤務していましたが、B社からヘッドハンティングを受け、マネジャーとしての入社を強く勧められました。
Aさんはこの誘いに乗って採用内定通知を受け取り、会社を退職します。
しかし、入社直前にB社の業績悪化を理由にして採用内定が取り消されました。これに対してAさんは、B社の採用取り消しを不当として、地位保全を求めて仮処分を申し立てました。
結果
裁判所は、採用内定を就労始期付解約権留保付きの労働契約として認識しました。
企業が経営悪化を理由に内定を取り消すことは、以下の要素を満たす場合にのみ認められるとしました。
- 人員削減の必要性
- 解雇回避努力義務
- 被解雇選定の合理性
- 手続きの妥当性
この事案では、Aさんは入社予定日の2週間前に内定を取り消されたため、以前の勤務先に戻ることができません。
そのような状況を考慮して、採用内定の取り消しは無効と判断された。判決されたのは、東京地決平成9年10月31日です。
日本電信電話公社事件
日本電信電話公社事件は、日本電信電話公社の見習社員の採用内定取消に関する裁判です。
概要
公安条例違反の現行犯で逮捕され、起訴猶予処分を受けたAさんが、その行為を理由に採用内定が取り消されました。
Aさんは、非合法活動を誇示し武力斗争を標榜する反戦グループに所属しています。
日本電信電話公社はその行為と所属を背景に、Aさんが社員としての職場での具体的な危険性を持つと判断し、採用内定を取り消しました。
結果
大阪高裁は、Aさんの採用内定取り消しに関する申立てを却下しました。
社会的に公共性の高い日本電信電話公社の職員として、Aさんが稼働させられた場合、反戦グループに同調して職場の秩序を乱し業務を阻害すると判断したからです。
裁判所は日本電信電話公社がAさんの採用を取り消したことは、偏見や法的に保障された自由を侵害するものではないと見ています。
判決されたのは、大阪高裁昭和48年10月29日です。
コーセーアールイー事件
コーセーアールイー事件は、内々定は労働契約にならない点と内定を取り消す際は紳士的な対応が必要な事件です。
概要
就職活動中のAさんは不動産売買会社(B社)から採用の内々定を受けていましたが、正式な採用内定通知書の授与予定日直前に取り消されました。
Aさんはこの取消しが始期付解約権留保付きの労働契約に反すると主張し、損害賠償および慰謝料の支払いを求めました。
結果
B社はAさんの期待を裏切ってしまったものの、内々定取り消しの経過を踏まえ、始期付解約権留保付労働契約が正式には成立していないと判断しました。
内々定とは企業が求職者に「採用する予定」と伝えるものだからです。正式な労働契約である内定のようには認められません。
しかし、B社の信義則に反する行為に対しての慰謝料請求は認められました。
信義則とは、法律上の原則で、契約の締結、履行、解除などの法律行為を行う際に誠実かつ公正に行動すべきであるという原則のことです。
具体的には、以下のような行動が求められます。
- 契約相手を欺かない
- 不当な利益を追求しない
- 相手の権利や利益を尊重する
女子アナ内定取り消し事例
日本テレビで起きた「女子アナ内定取り消し事件」について、『週刊現代』がスクープした内容です。
概要
渦中の女子大生、笹崎里菜さん(22歳、ミス東洋英和2011受賞者)は、日本テレビから2015年4月に入社する内定を受けました。
しかし、彼女が銀座のクラブでアルバイトしていた経験が問題視され、日本テレビから一方的に内定が取り消されることになります。
その理由は、ホステスのバイト歴がアナウンサーに求められる清廉性に適していないからです。
日本テレビの人事担当者は、笹崎さんに内定を辞退するよう何度も迫りましたが、彼女は拒否する手紙を返事として送りました。
しかし、日本テレビは笹崎さんの行為に、以下のような返事を送り、内定取り消しを決定しました。
銀座のクラブでホステスとして就労していた貴殿の経歴は、アナウンサーに求められる清廉性に相応しくないものであり、仮にこの事実が公になれば、アナウンサーとしての業務付与や配置に著しい支障が生ずることは明らかです ホステスとしてのアルバイト歴だけを意図的に申告しなかったわけですから、貴殿の行為は、重要な経歴の詐称に他ならず、弊社との信頼関係を著しく損なう背信行為 |
引用:https://gendai.media/articles/-/41106?page=2
この事件に関して、『週刊現代』は、日本テレビと笹崎さんとの間の書簡の全貌を公開しており、日本テレビの採用活動の問題点が浮き彫りになります。
結果
初めは日本テレビ側が全面的に戦う態度を見せていましたが、2015年に入り和解の方向へと動き出しました。
同年1月に裁判所から和解の提案があり、両者は和解を受け入れることになります。
その結果として、笹崎さんは2015年4月に日本テレビに入社しました。2023年9月現在も日本テレビのアナウンサーとして勤めています。
公務員の内定取り消しを受けた事例
地方公務員の採用内定の取り消しに関する事例です。
概要
このケースでは、採用内定の取り消しは、抗告訴訟の対象となる処分に該当しないとされました。
これは「採用内定取り消しに関して裁判所での審査を受けられない」という意味です。
結果
地方公務員の採用内定の通知は、法律上の根拠に基づくものではなく、単なる事実行為に過ぎません。
そのため、この取り消しに対して訴訟を起こすことは不可能です。なぜなら、内定取り消しは法律上の地位や権利関係に影響を与えるものではないからです。
そのため、行政事件訴訟法3条2項の「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に該当せず、採用内定者は取り消しに関する訴訟を起こせません。
しかし、東京都が正当な理由なく採用の約束を撤回した場合、その約束を信じて他の仕事を探さなかった方がいれば、都はその方に対して賠償責任を負う場合があります。
SNSで内定取り消しを受けた事例
概要
人事部長に対する不適切なコメントをFacebookに投稿し、結果的に内定を取り消された事件が発生しました。
結果
学生が会社側を訴えたか不明ですが、SNSの利用方法に慎重である必要があるということです。
多くの企業の人事部門は、求職者のSNSの活動を調査する場合があります。
実名でのSNS利用の際には、あなたの投稿が採用担当者にも見られることを常に考慮して行動しましょう。
SNSの投稿内容は、求職者の仕事に対する態度や性格を判断する材料として用いられることがあるため、十分な配慮が必要です。
内定取り消しの対策
万が一、内定取り消しを受けてしまったら次の行動を取る必要があります。
- 内定取り消しの理由を確認する
- 内定を証明するものを保存する
- 諦めてほかの転職先を探す
- 大学や外部機関に相談する
詳細は「内定取り消しの全て!法的背景や理由、具体的な3つの対処法を解説」でお伝えしていますが、基本的に外部の機関に相談するのがおすすめです。
その理由として、外部の専門機関は利害関係がないため公平な意見をもらえる可能性が高いからです。
一方、会社の人事部は、上層部からの圧力や社内の事情が影響して公平な判断が難しい場合も考えられます。
内定取り消しをされたら「ねこの手ユニオン」がおすすめ
内定取り消しの相談先はいくつかありますが、なかでも「ねこの手ユニオン」という労働組合(ユニオン)がおすすめです。
- 企業は労働組合からの交渉を断れない
- 相談から裁判まで一括して代行してくれる
- 24時間いつでも受付している
- 着手金無料で完全成果報酬だから安心できる
上記4点の理由をそれぞれお伝えしていきます。
企業は労働組合からの交渉を断れない
労働組合からの団体交渉は労働組合法で保障されているため、企業は断れません。
従業員一人ひとりの立場は弱くても、労働組合には団結して会社と交渉できる権利があります。
企業はこの団体交渉を正当な理由なしで無視すると、50万円以下の過料に処されてしまうほど強い力なのです。
そのため、労働組合「ねこの手ユニオン」に相談すれば、対等な立場で会社と話し合いができるようになります。
相談から裁判まで一括して代行してくれる
ねこの手ユニオンには、弁護士、社会保険労務士、行政書士といった法律のきちんとした専門家が運営に携わっています。
各分野のエキスパートが相談から各種手続きまでしっかり対応してくれるため、安心できますね。
24時間いつでも受付している
ねこの手ユニオンは、LINEやメールから24時間いつでも問い合わせできます。スマホやパソコンから気軽に相談できます。
着手金無料で完全成果報酬だから安心できる
ねこの手ユニオンは完全成果報酬を採用していて、着手金・相談料・組合加入費・組合費などは必要ありません。
無事に解決できたときに解決金の3割を支払う仕組みです。結果が出なかったときに支払いは発生しないため、安心できます。
まとめ:内定取り消しの事例から学ぼう!
内定取り消しは、個人の行動やSNSの投稿、さらには企業側の事情により生じる場合があります。
特にSNSでの不適切な発言は、採用先に見られるリスクがあるため、使用方法には十分に注意しましょう。
加えて以下に該当しなければ、自分の非で内定取り消しをされることはまずありません。
- 内定者が学校を卒業できなかった場合
- 内定者が必要な入社に資格を取得できてない場合
- 内定者が会社にウソの経歴を伝えた場合
- 内定者が病気やケガで仕事ができなくなった場合
- 内定者が犯罪や不適切な行動を起こした場合
もし、それでも内定取り消しを経験した場合には、取り消しの理由を確認し、内定の証拠を保存し、第3者機関に相談してください。
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