本記事にはプロモーションが含まれている場合があります
代替休暇制度とは?制度の内容や休暇の日数などを解説
でも長時間労働が続いていると、体力的にも厳しいものがあるよね。
仕事量に応じて、どうしても残業時間がかさんでしまうもの。
しかし、残業が続いてしまうと、仕事と私生活のバランスが崩れてしまいかねません。
そんなワークライフバランスを保つために導入された制度が、「代替休暇制度」です。
今回は、そんな代替休暇制度の詳細から、注意点まで徹底解説していきます。
代替休暇制度とは?
代替休暇制度という言葉自体初めて聞いた、という方も多いはず。
代替休暇制度とは、長時間労働が続き、月間の労働時間の上限を超えた場合に休暇が与えられる制度です。
企業側の残業代抑制につながり、労働者側の健康維持を目的としています。
業務上やむを得ず、残業時間がかさんでしまう、という方にとってはメリットが大きい制度です。
まずは、代替休暇制度がどんな制度なのか、詳細をみていきましょう。
この制度を利用すれば、残業した分の日数が、休暇として相殺できる可能性があるので、ぜひ内容を抑えておいてくださいね。
代替休暇制度を利用すれば有給休暇を取得できる
代替休暇制度とは、残業時間と休暇のバランスを保つために作られた制度です。
2010年の法定割増賃金引き上げ等の改正時に、新設された制度が、「代替休暇制度」。
代替休暇制度を簡単に説明すると、「月間60時間以上の時間外労働に対して、割増賃金の支払いの代わりに有給休暇を与える」制度です。
実際に支払われる賃金に対する割増率は低下するものの、稼働日数を減らせるので、労働者にとってもメリットが大きいですよね。
さらに、代替休暇を取得するかどうかは、労働者の意思で決定できることも、メリットとしてあげられます。
一見、会社側が残業代を削減するために取り入れられた制度のように感じられますが、決定権が労働者にあることで、労働者寄りの制度と言えるでしょう。
ただし、年次有給休暇のように、一定の日数が与えられるわけではありません。労働時間の程度によって、与えられる休暇の日数が異なるのが特徴です。
代替休暇の日数はどのように決まる?
代替休暇制度によって与えられる日数は、時間外労働の時間数によって決定されます。
代替休暇で取得可能な日数の算出は、次の条件に沿って行われます。
- 労働者が代替休暇の取得を希望した場合
- 月の時間外労働時間が60時間を超えた場合
- 60時間を超えた分の時間外労働に対して割増が適用される
代替休暇制度の割増率とは、60時間を超えた時間外労働に対する割増率と、通常の時間外労働に対する割増率の差のこと。
割増率をまとめると、下記のようになります。
通常の時間外労働に対する割増率 | 60時間を超えた労働に対する割増率 |
---|---|
25% | 50% |
参考:労働基準法37条3項
つまり、25%の割増率が、代替休暇制度で取得する有給休暇に対する割増率です。
では、代替休暇制度によって取得できる有給休暇の日数は、どのように決定されるのかみていきましょう。
代替休暇制度で取得可能な有給休暇の日数
代替休暇制度によって取得できる有給休暇は、1日単位か、半日単位のどちらか。
これは、就労規則などで定められた、所定労働時間によって、取得可能な有給休暇の日数が変動してきます。
所定労働時間とは、契約で定められた、1日で働くべき労働時間のこと。
もし、あなたの所定労働時間が8時間だった場合、最低4時間の超過時間が必要です。
たとえば、月間の時間外労働時間が100時間だった場合、40時間が代替休暇制度で取得できる有給日数に相当します。
この場合、取得できる有給日数は、下記の通りです。
1日単位で有休暇を取得する場合 | 半日単位で有給休暇を取得する場合 |
---|---|
最大5日 | 最大10日 |
このように、代替休暇制度で取得できる有給日数は、変動します。
労働者の希望によって、有給休暇の取得方法が異なるので、ご自身の状況に合った方法を選択しましょう。
しかし、代替休暇制度は、全ての会社で取り入れられている制度ではありません。
一定の条件を満たした企業のみ、代替休暇制度が取り入れられています。
次の章で、代替休暇制度の適用条件を解説していきます。
代替休暇制度はどの会社でも取り入れられているの?
代替休暇制度を適用できるのは、2021年時点では大企業のみ。
中小企業では、月60時間を超える時間外労働時間に対する、割増率の猶予が認められています。
中小企業に所属する労働者が、月間60時間以上労働したとしても、時間外労働の割増率は25%のままなのです。
代替休暇制度は、時間外労働に対する割増率の増加分に対して適用されることから、必然的に中小企業は対象外になってしまいます。
賃金の割増率を理解するために、大企業と中小企業の時間外労働の扱いについみていきましょう。
前提条件として、労働基準法で定められた、時間外労働についての取り決めを解説していきます。
36協定で定められた時間外労働の条件とは
時間外労働の条件については、労働基準法で条件が定められています。
まずは、法律によって、時間外労働についての取り決めが行われていることを念頭におきましょう。
たとえ会社に雇われているからといって、無条件に残業ができるわけではありません。
労働基準上の基本的方針は、「労働者に時間外労働をさせてはいけない」というもの。
ただし、会社と労働者の間で時間外労働に関する労使協定が結ばれていれば、一定の条件下で時間外労働が認められています。
この取り決めは、労働基準法36条で定められていることから、「36協定」と呼ばれています。
36協定によって認めている時間外労働の条件とは、下記の通り。
- 1日8時間以上
- 週40時間以上
- 超過時間については25%の割増賃金が支払われる
上記の条件が基本的な時間外労働の条件なので、残業代の計算をする際の参考にしてください。
時間外労働の割増率は変動する
上記が時間外労働の条件ですが、企業の規模によって、時間外労働に対する割増率が異なっています。
月間の時間外労働時間 | 60時時間以下 | 60時間以上 |
---|---|---|
大企業 | 25% | 50% |
中小企業 | 25% | 25% |
参考:労働基準法37条3項
このように、大企業と中小企業で、割増賃金の掛け率が異なっています。
ただし、この中小企業に対する猶予制度は、2023年に改正され、大企業と同様の割増率が導入される予定です。
また、代替休暇制度が適用される大企業についても、会社と労働者で必ず取り決めを行うべき項目が存在します。
代替休暇制度を適用するために必要な条件とは
代替休暇制度を導入するためには、下記の項目を会社と労働者間で締結しておくことが義務付けられています。
- 代替休暇制度で取得可能な時間数の算出方法
- 代替休暇の取得可能単位
- 代替休暇を取得できる期間
- 代替休暇の取得日の決定方法
- 賃金の支払日
会社と労働者間のトラブルを防ぐためにも、上記の条件の取り決めが、労働基準法によって定められてることを覚えておきましょう。
代替休暇があれば長時間労働は問題ないの?
代替休暇制度は、あくまで、労働と休暇のバランスを取るための制度。
会社が残業代の抑制を目的として、強要できるものではありません。
前提として、労働者に選択権があることを念頭に、制度の利用を検討してくださいね。
しかし、時には会社と代替休暇制度をめぐって、トラブルになることも。
そんな時に、相談先として適切な機関を紹介します。
不当な労働環境を強いられている場合の相談先
職場によっては、代替休暇制度が正しく整備されていないこともあります。
しかし、法律で定められた制度を利用できないのは、正しい管理体制とはいえません。
そんな時、相談先としておすすめなのが、「ねこの手ユニオン」です。
ねこの手ユニオンであれば、穏便に問題解決する方法を提案してくれますよ。
無料相談ができることも、ねこの手ユニオンを利用するメリット。
「職場で代替休暇制度を利用させてくれない」といった悩みを抱えている方は、ぜひ一度ねこの手ユニオンに相談してみてくださいね。