夜勤の16時間労働、休憩があれば労働基準法違反にはならない!?

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介護施設で働きはじめたんだけど、来月から16時間の夜勤が入るみたいなの。「8時間以上は働いたらダメ」って聞いたことがあるんだけど、これって大丈夫なのかな?

一定の条件を満たせば、夜勤で16時間働いても問題にはならないんだ。
もちろん違法になる場合もあるから、詳しく説明していこう!

一般的に、夜間での勤務を意味する「夜勤」。

看護や介護、工場、コンビニエンスストアなど、24時間稼働する職場や、運送ドライバー、タクシードライバーなどの運送業で多く見られる働き方です。

とくに長時間勤務になることも多く、「16時間労働」で働いている方もよく目にします。

労働時間として、「8時間勤務」が一般的なイメージがありますが、それを超える時間を設定することは違法ではないのでしょうか?

基本的なルールを踏まえながら、解説していきましょう!

目次

夜勤の16時間労働は違反にならない

結論からお伝えすると、 “夜勤の16時間労働” は違法ではありません。

ただもしかすると、なぜ違法ではないのか、疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

労働基準法には、法定労働時間として「1日8時間以上・週40時間以上労働させてはならない」という決まりがあるためです。

ここでポイントとなるのが、変形労働時間制。 “一定期間” のなかで、労働時間を柔軟に調整できる制度のことです。

これが採用されていれば、「1日8時間以上・週40時間以内」という法定労働時間を超えて働くことも可能となります。

それではまず、この変形労働時間制について説明していきましょう。

上述した “一定期間” とは、「1週間単位」「1ヶ月単位」「1年単位」などと捉えられます。

たとえば多くの会社が採用する “1ヶ月単位” の変形労働時間制を例に見てみましょう。

1ヶ月の期間において、平均して週40時間以内(※)となる勤務シフトを組むことで、日や週ごとの法定労働時間を超えて働くことができます。
(※)職員9名以下の医療機関は、44時間以内

つまり、月当たり177.1時間以内(30日の場合は171.4時間以内)であれば、1日の労働時間を自由に設定できるということです。

夜勤の16時間労働が労働基準法違反になるケース

変形労働時間制で働く際、労働基準法ではさまざまなルールが設けられています。

たとえば、夜勤として “16時間労働” を行う場合、違反となるケースにはどういったものがあるのでしょうか。

とくに注意したいポイントについてご紹介します。

規定の休憩時間がない

労働基準法では、「8時間以上働く場合、1時間以上の休憩を与えなければならない」と定められています。

これは変形労働時間制であっても例外ではありません。

そのため16時間労働を行う際、1時間以上の休憩が設けられていなければ違法となります。

とくにここで注意したいのが、 “実際に休憩と呼べるものか” という点です。

労働基準法では休憩の原則として、「休憩時間を自由に利用させなければならない」と定めています。

これは労働からの完全な解放を実現するため、休憩時間中、労働者の行動制限を禁止した規定です。

たとえば電話番や来客の受付対応、配送の積み込み担当者が貨物トラックを待っている時間などは休憩に該当しません。

そのため時間内に電話や来客、トラックの到着がなく、自由に過ごしていたとしても労働時間とみなされ、賃金が発生します。

ただし休憩時間は始業から終業までの、拘束時間の一部です。規律保持上、休憩の目的を損なわない範囲で必要な制限を加えることは認められています。

こうした点を踏まえ、規定に沿わない “休憩時間” を付与されている場合も、違反となるといえるでしょう。

残業代が払われない

変形労働時間制であっても、もちろん残業代は発生し、雇用主には支払いの義務が課せられます。

ただ、通常の労働契約とは考え方が少し異なるため、注意が必要です。

変形労働時間制では、一定期間内に定めた労働時間を超えた場合、残業代が発生します。

たとえば1ヶ月単位のシフト制であれば、「177.1時間(30日の場合は171.4時間)」を超えた労働時間が残業代の対象です。

残業代は以下のような割増賃金が適用されます。

  • 残業時間が60時間以内:25%
  • 残業時間が60時間以上:50%

とくに夜勤で働く場合、深夜労働には割増賃金も適用されます。また休日出勤を命じられた場合にも割増賃金が発生するため、まとめて押さえておきましょう。

  • 深夜22時~早朝5時の間に労働した場合:25%
  • 休日に出勤を命じられた場合:35%

とくに注意しておきたいのが、割増賃金は重複して発生するということです。

たとえば残業時間(月60時間以内)と、深夜労働が重複する部分については、「残業時間25%+深夜労働25%」で50%の割増賃金となります。

こうした規定から、正しく残業代や深夜労働の割増賃金などが支払われていない場合、違反となるといえます。

許可条件を満たさない「宿直」

変形労働時間制で働く場合、通常の夜勤と組み合わせるかたちで「宿直」が発生することがあります。

宿直とは、夜間に勤務先に泊まることを前提とした勤務。緊急事態が発生した際に対応したり、職場を定期的に見回ったりといった要員のことを指します。

通常の労働時間には当たらないため、これまで紹介してきた休憩や割増賃金の対象にはなりません。

介護事業所、障害福祉サービス事業所や医療機関などで多く見られる傾向にあるといえます。

ここで注意しておきたいのが、宿直を行わせるために雇用主は「所轄労働基準監督署長の許可」が必要となり、さまざまな許可条件が定められていることです。

たとえば以下が条件となります。

  • 通常の労働ではないこと
  • ほとんど労働の必要のない勤務であること
  • 担当の睡眠設備が確保されていること
  • 宿直手当を支給すること
  • 原則として週1回までであること

そのため通常の労働と親しい業務を強いられている場合など、「宿直」としての条件を満たさない勤務は違反と判断されます。

夜勤・長時間労働に関する相談先は?

とくに夜勤・長時間の労働を前提とする労働形態で働く場合、体力的にも精神的にも負担がかかってしまうといっていいでしょう。

そのため、さまざまな労働問題を抱えやすいといった実情もあります。

たとえば上記で挙げたように、休憩が正しく付与されない、残業代などの割増賃金が支払われない、宿直として労働を強いられるなどは、その一例です。

また過酷な労働環境から「退職を申し出たのに、辞めさせてくれない」といったことも考えられます。

こうした労働問題を個人で解決するのは、とても難しいことです。

勇気を持って直訴したとしても知識で押さえつけられたり、また報復としてより厳しい環境を強いられたりといったことも考えられます。

こうした労働問題を解決する上で、心強い味方となるのが「労働組合」です。

労働組合は、労働条件の維持・改善を目的とした労働者の団体のこと。

労働者に代わり、雇用主と対等な立場で、さまざまな労働問題について交渉を行います。

とくに大きな特徴だといえるのが、労働組合による活動によって、労働者が不利益をこうむることは労働基準法で禁じられているということです。

つまり労働組合を通じて交渉を行うことで、企業が従業員に不当な扱いを強いた場合は、法律違反となります。そのため安心して交渉に臨むことができるといえるでしょう。

ただ中小企業を中心に、多くの会社では社内に労働組合が組織されておらず、多くの労働者は労働組合に加入していません。

そうした場合、「ユニオン(合同労組)」に頼るという手段があります。

ユニオンとは企業の枠組みを超えてつくられる、労働組合の一種です。

その特徴となるのが、労働者1名からでも加入できる、組織によっては誰でも加入できるということ。

企業の労働組合と同様に、雇用主と労働問題に対する交渉をはじめ、さまざまな面で力を借りることができます。

労働問題の “プロフェッショナル” に相談を

ただ一口に「ユニオン」といっても、さまざまな組織があり、どこを頼ればいいかわからないもの。

そんなときは、ぜひ「ねこの手ユニオン」に相談してみましょう!

ねこの手ユニオンは入会金や組合費が無料で、あらゆる労働問題に精通したプロフェッショナルが在籍し、無料で何回でも相談できます。

悩めるあなたのお困りごとに寄り添い、解決するための力になってくれるはずですよ。

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この記事を書いた人

過去の会社で弁護士を通じて未払いの残業代を請求し2年分の残業代の奪還に成功しました!この過程で、自身と同じような悩みを抱える人がまだまだ多く存在することに気づき、みんなの悩みや疑問を解決するために役立つ情報を発信します!

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