変形労働時間制でも残業代はもらえるの?未払い残業代の請求方法は?

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うちの会社は変形労働時間制なんだけど、なんだか残業代がすごく減った気がするんだよね…
変形労働時間制はたしかに、残業代を節約できる制度なんだ。でも、計算がややこしいから、ひょっとして誤魔化されてる可能性もあるかも!
それは大変!私たちでも、残業代は計算できるものなの?
うん!それじゃあ、今回は変形労働時間制における残業代の割り出し方をじっくり説明していくよ!

繁忙期、閑散期などに合わせて、所定労働時間を自由に増やしたり、減らしたりできる変形労働時間制。

事業者は残業代を節約できるものの、法定労働時間を超えて働いても残業にならない日が出てくるなど、従業員としては残業代を計算しにくい面のある制度です。

きちんと残業代が払われていても、期間全体で見るとズレが出てくることも…。今回はそんな変形労働時間制において、未払い残業代を見逃さないため、その仕組みや計算の仕方を紹介します。

目次

変形労働時間制とは?

変形労働時間制は、定められた期間内の合計労働時間が法定労働時間を超えない範囲で、日や週ごとの所定労働時間を自由に変更できる制度です。

法定労働時間は1日8時間。しかし変形労働時間制を使えば、ある1日は10時間働いて、ある1日は6時間というように、帳尻を合わせた時間設定ができるのです。

また、週単位で時間を定める場合もあります。1週間の法定労働時間は40時間ですが、ある週は50時間働いて、ある週は30時間というようにもできるわけです。

変形労働時間制には大きく分けて1ヶ月、1年を対象としたものがあります。期間内の所定労働時間の合計が、それぞれの基準を超えないように各日の労働時間を設定する決まりとなっています。詳しくみていきましょう。

1ヶ月単位の変形労働時間制

1ヶ月単位の変形労働時間制では、以下の時間を超えないように所定労働時間を設定する必要があります。

  • 28日の場合:合計160時間以内
  • 29日の場合:合計165.7時間以内
  • 30日の場合:合計171.4時間以内
  • 31日の場合:合計177.1時間以内

なお、制度を導入する際、事業者は各日の所定労働時間を就業規則に前もって記載しておかなければなりません。

1年単位の変形労働時間制

1年単位の変形労働時間制では、以下の時間を超えないように所定労働時間を設定します。

  • 365日の場合:合計2085.7時間以内
  • 366日(閏年)の場合:合計2091.4時間以内

また、1年単位の場合は以下の決まりも設けられています。

  • 1日10時間以内
  • 週52時間以内
  • 連勤は6日まで
  • 年間労働日数は280日まで

この決まりによって、「閑散期がほとんど休みで、繁忙期に長時間の連勤が続きすぎる」といった極端な割り振りを防いでいるのです。

1年単位の変形労働時間制の導入には、就業規則への所定労働時間の記載及び、事業者と従業員が労使協定を結んだうえで労働基準監督署へ届け出をしなければいけません。

このほか、就業規則に記載せずとも、書面で前週までに従業員に通知しておくことで、1週間単位の変形労働時間制を導入できるケースもあります。
小売業や旅館や飲食店など、特に繁閑の激しい業種にこれが認められています。

規定労働時間を超えれば残業代は出る

変形労働時間制では1日8時間以上の所定労働時間を設定できるため、「長時間働いても残業にならない仕組み」と誤解している人も多いです。

しかし、変形労働時間制でも、基準を超えたぶんはちゃんと残業になります。
たとえば1日単位でみると、以下のような場合は残業になります(時間数はあくまで一例です)。

  • 所定労働時間が10時間の場合:10時間以上働くと残業
  • 所定労働時間が5時間の場合:8時間以上働くと残業

つまり所定労働時間が法定労働時間を超えるときは、所定労働時間を基準に。所定労働時間が法定労働時間を下回っていれば、法定労働時間を基準に残業とみなされるわけです。

週で計算する場合も考え方は同じで、例を挙げると以下のようになります。

  • 所定労働時間が50時間の場合:50時間以上働くと残業
  • 所定労働時間が30時間の場合:40時間以上働くと残業

変形労働時間ではこのような基準で残業時間を計算し、その時間分は残業代として、25%割り増しした賃金を払わなければならないのです。

変形労働時間制の残業時間の計算

ここまで説明した基準で日々計算していても、変形労働時間制だと、きちんとした残業時間が割り出せない場合があります。

変形労働時間制での残業時間を割り出すには、各日や週ごとの時間外労働と、対象期間の合計労働時間をそれぞれ計算する必要があるのです。

これは前項の例のように、「所定労働時間が5時間の日に、8時間働いても残業にはならない」といったことがあるため。

この場合、1日で見ればたしかに残業にはなりません。しかし、所定労働時間を5時間にすることで、ほかの日との帳尻を合わせているわけですから、対象期間全体で見ると、法定労働時間を超えている可能性が高いです。

計算し直してみると、「日ごとの残業代は払われていたけど、合計で超えているぶんは払われていなかった」という場合があるかもしれません。

どんな計算をすればいいのか、詳しくみてみましょう。
例として、以下のような勤務スケジュールの会社があったとします。

週合計
所定労働時間 8 6 10 6 10 休み 休み 40
実労働時間 8 8 10 10 12 0 0 48
残業 0 0 0 2 2 0 0 4

「所定労働時間を超えても、法定労働時間内なら残業にならない」という基準で計算すると、週の合計残業時間は4時間になります。

しかし、週の実労働時間の合計は、所定労働時間より8時間多くなっています。変形労働時間制では、このように残業時間にズレが出てくるわけです。
このズレを、対象期間全体の法定労働時間に照らし合わせて割り出します。

たとえば、上記のスケジュールが4週間続いていた場合、実労働時間と、日ごとに計算された残業時間は以下の通りになります。

実労働時間:192時間(48時間×4週)
残業:16時間(4時間×4週)

4週間は28日。1ヶ月を28日としたときの法定労働時間は160時間です。ということは…

192-160=32

となり、合計で32時間の残業があることになります。

日ごとの計算で16時間ぶんの残業代はすでに付いているはずなので、事業者はこれにもう16時間ぶんプラスして足りないぶんの残業代を払う必要があるのです。

1年の場合も同じように合計の残業時間を割り出し、日ごとの計算で支払われている残業代を差し引いて、足りないぶんを追加で支払わなければいけません。

このように、その日ごとの残業代がきちんと払われている場合でも、変動労働時間制では、未払いの残業代が出てくる可能性があるのです。

変形労働時間制での残業の注意点

変形労働時間制での残業を計算するうえで、注意しなければいけない点は、「所定労働時間を途中で変更することはできない」ということです。

たとえば、変形労働時間制で働いていると「明日2時間短くする代わりに、今日は2時間多く働いてほしい」と言われるようなことがあるかもしれません。

しかし変形労働時間制は、就業規則で前もって所定労働時間を定めたうえで認められる制度。期間の途中に所定労働時間を繰り越すようなことはできないのです。

つまり代わりに別の日の労働時間を短くして、その日の時間外労働を帳消しにするようなことはできません。

上記のような口実で残業代を誤魔化そうとする事業者もなかにはいます。無駄なサービス残業をさせられないよう、この仕組みをしっかり理解しておきましょう。

未払い残業代が発覚したら、ねこの手ユニオンに相談!

変形労働時間制では、日々の残業時間と、対象期間の合計の残業時間でズレが出てくるため、とかく残業代の計算がややこしいです。改めて計算してみると、未払いの残業代が発覚することも珍しくないでしょう。

ただ、未払い残業代の交渉は法律なども関わってくるため、個人ではなかなかにハードルの高い話です。もし、お困りの場合はぜひ一度、ねこの手ユニオンに相談してみてください。

労働組合のもつ団体で交渉する権利、所属する専門家の力で、相談者様の状況が少しでも改善するよう、尽力いたします!

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この記事を書いた人

過去の会社で弁護士を通じて未払いの残業代を請求し2年分の残業代の奪還に成功しました!この過程で、自身と同じような悩みを抱える人がまだまだ多く存在することに気づき、みんなの悩みや疑問を解決するために役立つ情報を発信します!

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