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裁量労働制でも残業代の請求はできるの?
基本的に残業代が発生しないと思われている裁量労働制ですが、残業代の請求は出来るのでしょうか?
回答は、全てではありませんが請求できます。
残業代に関しては様々な雇用形態があるので一概には言えないですがほとんどの場合、時間外労働や深夜時間労働に関して言えば残業代として発生します。
裁量労働制では深夜時間労働や時間外労働は残業代が発生しないと思ってしまっている場合が多くあります。
この原因として、似た制度と混同している場合や会社(上長など)が労働者にしっかりと説明していないといったケースも存在します。
この記事では
- 裁量労働制の基礎的な知識
- 請求できるケース、出来ないケース
- 裁量労働制での残業代の計算方法
- 裁量労働制の残業代の請求方法
こちらを、順番を追って書いていきます。
「裁量労働制で契約していて残業も結構しているけど割に合っていない」「残業代がずっとゼロって結局、損では?」と思われている方はこの記事を読む事で自分の雇用形態や就業規則など今一度、確認する良い機会になる事でしょう。
あなたの裁量労働制が本当に正式なものなのか、残業代以外の割増賃金が発生しているのでは?というものが確認できるでしょう。
裁量労働制の基礎知識
裁量労働制(さいりょうろうどうせい)とは「みなし労働時間制」のことをいい、「労働時間が労働者の裁量に委ねられている労働契約」のことを指すと記載されています。
かみ砕いた表現をすると「契約したのが1日7時間というものだったら、1日4時間働いても1日10時間働いても、1日7時間働いたって事になるよ」という考えになります。
労働時間の管理は裁量労働制で契約しているあなた次第という事になります。
「〇時から〇時までは働く」という勤務時間帯や「〇時までに出社しなくてはならない」という出退勤時間を制限、指定される事はありません。
裁量労働制の下では、たとえ上司であっても部下に対して出勤や退勤の時間を指定もしくは固定したり、業務の進め方などを個別に指示したりが出来ないとされています。
労働者が、勤務時間や働き方をマネジメントしていく、まさしく労働者の裁量に委ねられた制度の事となります。
法律で認められている裁量労働制は、2種類だけ
裁量労働制で法的に認められているのは2種類だけです。
「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2つで従事する業務内容によって分けられています。
専門業務型裁量労働制
「専門業務型裁量労働制」とは、労働時間を労働者の裁量に大きく委ねる必要が業務上必要と認められた、専門的な業種です。
業種は多岐にわたるのですが通常の雇用形態では時間管理の点や、勤怠に影響が出る場合があるものとなります。
- 新技術もしくは新商品の研究開発
- 出版会社、放送番組の取材
- 人文科学や自然科学の研究業務
- 新聞、出版物の編集業務
- ゲーム用ソフトウェア創作
- 教授研究業務
- 弁護士等の業務
など、他にも数種類の業種が専門業務型裁量労働制が適用可能な業種となります。
導入に当たって
- 労使協定締結
- 社員の健康確保
- 苦情処理の設置
などの必要な手続きを踏まなければなりません。
企画業務型裁量労働制
「企画業務型裁量労働制」は、事業の企画や計画立案に関わる業務を対象にしたものです。
こちらも通常の雇用形態だと逆に残業代が多く発生してしまう場合や、通常の雇用形態だと時間の制約を受けやすいため裁量労働制が適用可能となっています。
事業運営において重要な決定がおこなわれる場所(本社など)で様々な業務を担当する労働者に限定して適用されます。
- 労使委員会設置
- 委員全員合意の下の労使協定
- 適用社員の同意
これらを経て、導入を進めることになります。
専門業務型裁量労働制よりも厳格な要件が設けられています。
労働時間の扱いについて
労働時間の取り扱いは裁量労働制の制度の下、労働者個人の裁量に一任されています。
労働時間を細かく細分化すると
- 出勤時間
- 退勤時間
- 始業時間
- 終業時間
- 就業時間
などのあらゆる労働時間を労働者の裁量で決定可能となっています。
残業(残業代)
実際に働いた時間に関係なく、あらかじめ決めた労働時間分を労働したものとみなすのが裁量労働制です。
裁量労働制には時間外労働という概念が基本的にはありません。
よって原則として、時間外労働に対する割増賃金は発生しないとされています。
ただし、裁量労働制でも支払われる残業代が存在します。
以下の2点においては規定の時間分の割増率が適用されます。
- 深夜労働手当(22時以降翌朝5時までの間に労働した場合)
- 休日手当(法定休日に労働した場合)
会社は裁量労働制で雇用契約をしているからといって以下の残業代を支払わない事は違法となります。
みなし労働時間
裁量労働制の一番の特徴ともいえるのが、みなし労働時間という制度になります。
みなし労働時間とは、実際の労働時間を問わず、事前に取り決めた労働時間分労働したとみなす労働時間をいいます。
労働者にとって重要度の高い労働時間の決定に関しては
- 労使委員会の設置
- 委員全員の合意による決議
- 対象労働者の同意義務
- 労働基準監督署への届出
といった手続きが必要です。
労働時間の算出にあたって労使の合意が絶対に必要な条件となります。
労使協定、36協定
裁量労働制を導入する場合、労働者と使用者(会社)で労働条件などの取り決めを行う労使協定を結びます。
なかでも、36協定と呼ばれている労働基準法第36条「時間外(残業)および休日の労働」には注意が必要です。
36協定には「法定時間(1日8時間、1週間に40時間)を超えて労働させる時や法定休日に休日労働をさせる時には、ユニオン(労働組合)または労働者の代表と協定を書面にて結ばなくてはならない」と書かれています。
その他の扱い
裁量労働制はみなし労働時間を設定し、また原則として時間外労働による割増賃金は発生しないなどの特徴を持っています。
他にも休日労働や遅刻についての取り扱いがどのようになっているか見ていきましょう。
休日出勤
裁量労働制であっても、一般の労働者と同じで休日を設ける必要があります。
休日に労働した場合、裁量労働制では休日手当(残業代)を別途算定します。
休日手当は、実労働時間を基準にして算出します。
固定残業代の定めがない場合
時間外に相当する法定外休日については基礎賃金×1.25
法的休日については基礎賃金×1.35
を支給することが労働基準法において決められています。
裁量労働制は、時間外労働に対する残業代が支払われない制度ではありますが休日手当に関しては別途支払いが必要になる点に注意しましょう。
深夜労働
裁量労働制では、深夜労働の考え方にも注意を払わねばなりません。
みなし労働時間を決めてその時間労働したと考える裁量労働制において、いわゆる22時以降翌朝5時までの時間帯に労働させた場合、割増賃金はどうなるのでしょうか。
この場合、深夜労働に関して、割増賃金の支払いが必要になり、固定残業代の定めがない場合には時間外深夜労働については基礎賃金×1.5の残業代を支給する必要があります。
裁量労働制に似ているけど異なる制度
他の「裁量労働制のようなもの」や「裁量労働制と勘違いされやすい制度」を簡単に説明いたします。
企業(会社)でも間違えてしまう制度なので、しっかり把握しておきましょう。
もしくは会社側が、労働者が知らないであろうという事で、混同してあなたに説明している可能性があります。
みなし残業制度(固定残業代制度)
法的には存在しない制度なのですが、みなし残業制度という仕組みが存在します。
みなし残業制度とは実際の残業した業務時間にかかわらず、労働契約にある残業時間を働いたものとみなす制度の事をいいます。
みなし残業制度では、残業時間が少量の場合でも「みなし残業時間」分の残業代が必ず請求されます。
もし、残業時間がみなし残業時間より多くなってしまった場合は、超えた分の残業代が発生します。
裁量労働制とみなし残業の共通点
みなし残業制度と裁量労働制は、実際にその時間分働いていない場合でも働いたこととみなされる点で共通しています。
裁量労働制とみなし残業の違い
働いたとみなされた労働時間の範囲には違いがあり、裁量労働制が所定労働時間を対象とするのに対して、みなし残業制度は所定労働時間を超えたいわゆる残業時間の部分を対象としています。
フレックスタイム制度
フレックスタイム制度は、会社が定めたコアタイムに業務に就いていれば、始業・終業の時刻を自由に選択できる制度です。
※コアタイムとは必ず勤務しなければならない時間帯、フレキシブルタイムとはその時間帯の中であればいつでも出退勤してよい時間帯のことを指します
例として
- 所定就業時刻を9:00~18:00(休憩1時間)
- 所定労働時間を8時間
- コアタイムを13:30~17:30
としている場合を考えてみましょう。
労働者は13時30分までならいつ始業して良い。また17時30分以降ならいつ終業しても問題ありません。
ですが、1日8時間は就業しなければならないので13時30分に始業した場合だと休憩時間も含め22時30分まで就業する必要があります。
裁量労働制とフレックスタイムの共通点
少し限定的ではありますがフレックスタイム制度の場合、業務に就いている時間が労働者側である程度自由に決定できる点は裁量労働制と同じです。
裁量労働制とフレックスタイムの違い
フレックス制度では「みなし労働時間」の設定がありません。
所定労働時間は業務に就かなければならず、この点は裁量労働制と異なる点になります。
高度プロフェッショナル制度
コンサルタントやアナリストなど専門的知識を持ちながら一定以上の年収がある専門職の、残業代などの割増賃金が発生する労働時間を規制対象外とする制度のことを言います。
裁量労働制との高度プロフェッショナル制度の共通点
労働者の裁量によって業務に就く時間が決まる点は、裁量労働制と高度プロフェッショナル制度に共通する部分です。
裁量労働制と高プロの違い
裁量労働制は深夜手当や休日手当など割増賃金の支払い対象である事。
対して、高度プロフェッショナル制度は、深夜・休日出勤に関しての割増賃金(残業代)の支払いがない点です。
高度プロフェッショナル制度は「残業代などの割増賃金が発生する労働時間を規制対象外とする」のための制度です。
事業場外みなし労働時間制
「事業場外みなし労働時間制」とは、みなし労働時間制の1つです。
普段通勤する職場である事業場以外で一部、または全部の業務をする職種に適用可能です。
上長や責任者の指揮監督が及ばない労働者の労働時間を算出することが困難である場合に、「特定の時間」労働したものとみなすことができる制度のことをいいます。
直行直帰の営業や在宅ワーカー(いくつかの条件あり)といったものをイメージするとわかりやすいでしょう。
裁量労働制とみなし労働時間の共通点
みなし労働時間を設定するという点のみ共通しています。
裁量労働制とみなし労働時間の違い
職種による制限はない「事業場外みなし労働時間制」は、使用者の指揮監督が及ばない業務が対象となります。
時間外労働、深夜時間労働、休日労働のすべてに関して割増賃金が支払い対象です。
裁量労働制で残業代を請求できるケース
「裁量労働制は残業代が発生しない」とされています。
ですが、実際に裁量労働制でも残業代を請求できた事例もあります。
どのような場合に残業代を請求できたのか、どんなパターンだと残業代が請求出来ないのかを具体的にご紹介いたします。
裁量労働制が不当に適用されている場合
会社が労働者に不当に裁量労働制を適用させていた場合は違法となり、会社は残業代を支払う義務があります。
裁量労働制を導入するにあたって会社側のみの意向で導入する事は出来ません。
では、不当に適用した事例をいくつか紹介いたします。
不当適用の場合、ほとんどのケースで残業代を請求できる事となります。
専門業務型裁量労働制の場合
専門業務型裁量労働制を不当に適用するケースは、いわゆるブラック企業が社員を使い倒す時によく使う手口です。
本来は適用外の場合であっても、この制度を不当に採用し、残業代を支払わずに働かせている事があります。
専門業務型裁量労働制を労働者に不正に適用するケースには様々なパターンをご紹介します。
労使協定がない場合
裁量労働制を導入する場合、必ず労使間の協定が必要となります。
この労使協定を締結していないのに、裁量労働制が適用されている場合は、違法行為となり残業代の請求が出来るという事になります。
また労使協定は、労働基準法において労働者の目の届く場所に保管する義務があるため「見たことがない」「どこにあるのかもしらない」といった場合は、労使協定を締結していない場合や存在していない可能性が高くなります。
労使協定を締結していない場合は、裁量労働制は適用無効となります。
労使協定はあるが、締結において社員側の代表が適切ではない
「労使協定があるから…」と、不当に裁量労働制を労働者に適用し会社が残業代を支払わないケースがあります。
労使協定において会社では、社員の代表を選挙で選ぶ手続きが無い場合、無効となります。
裁量労働制を適用してはいけない職種の場合
一見、専門性の高い職種、という理由で裁量労働制を適用しているケースが数々あります。
ですが、実際は適用対象ではない職種の場合があります。
プログラマー
「プログラマー」を「エンジニア」とみなして、業務内容に自由度がほとんど無いにもかかわらず裁量労働制を適用しているケースというのがよくある事例です。
「専門業務型裁量労働制」の業務のなかには「情報システムの分析もしくは設計」という条件があるため、業務内容はプログラマーに近いことをやっているのに、エンジニアとして不正に裁量労働制を適用させ残業代を払わないケースがあります。
デザイナー
デザイナーの場合は厚生労働省により「既に考案されたデザインをもとに、図面や製品を作成する人は裁量労働制の適用してはならない」とされています。
自らでデザインを考えるのではなく、指示されたデザインを整えたり、レイアウトやフォントを修正や調整したりという業務の場合はほとんどが裁量労働制には適用されません。
カメラマン、技術スタッフ
記者や出版社、テレビ番組制作の取材や編集の業務は専門業務型裁量労働制の対象業務とされています。
ですが、ブラック企業は、この規定を不当に拡大して適用してケースが多くあります。
厚生労働省により、
- 「記者に同行するカメラマン」
- 「技術スタッフ」
- 「音量調整」
- 「フィルム作成」
などの業務は裁量労働制には含まれないとされています。
ブラック企業は、社員が知識を持っていないのをいいことに専門業務型裁量労働制を悪用し賃金の支払いをしていないのです。
企画業務型裁量労働制の場合
企画立案に関わる「企画業務型裁量労働制」の場合も、本来であれば当てはまらない業務で会社が勝手に制度を適用することケースがあります。
労使委員会の設置や労働基準監督署への労使協定の届け出など、企画業務型裁量労働制の適用にも必要な要件が定められています。
これらを無視して残業させることもできません。
労使委員会を設置しなかったり、社員が同意していなかったりするのに企画業務型裁量労働制が適用されている場合は無効となり、未払いの残業代が請求可能となります。
このように自分が裁量労働制で契約しているから…という理由で残業代が発生しない、請求できないと思っていた方、どうでしたか?
「裁量労働制に当てはまらない職種なのに、裁量労働制を適用させられていた」
という方、多くいらっしゃるのではないでしょうか。
裁量労働制が認められるが、残業代が発生するケース
裁量労働制の適用が認められている場合であっても、残業代が一切発生しないという訳ではありません。
裁量労働制の適用が認められているケースでも、残業代が支払われるケースとして
- みなし労働時間が8時間をこえている
- 深夜勤務
- 法定休日の出勤
この3つのケースの場合、会社は労働者に裁量労働制の適用をしている場合でも支払う義務があります。
みなし労働時間が8時間をこえている
裁量労働制では、1日の「みなし労働時間」をあらかじめ会社側と決定します。
これは法定労働時間といい1日8時間、週で40時間を超えて設定されている場合、超えている分の残業代が支払う義務があります。
深夜時間労働の場合
みなし労働時間制で働いた時間を計算する時でも、深夜時間労働や休日出勤の規定はそのまま適用されます。
22時~5時の時間帯に働いた場合は、深夜時間労働の割増分が発生します。
深夜業務時間の割増率に関しては後ほど、ご紹介いたします。
法定休日に出勤(休日出勤)
法で定められた休日に働いた場合には業務時間がそのまま残業時間となります。
休日出勤は、他のパターンと同様に割増率が加算されます。
休日の業務が、深夜までかかった場合は深夜の割増率0.25をプラスした分が残業代として受け取れます。
あなたの残業代はいくら?計算方法をご紹介
では、実際に自分の残業代がいくらになるのか、その計算方法をご紹介いたします。
業務時間が長いと感じる方は、高額な残業代の請求が出来る可能性があるので計算してみる事をおすすめいたします。
基本的な残業代の計算方法
基本給÷所定労働時間(平均170時間)×割増率×実際の残業時間
という計算式で実際の残業代を出せます。
まずは基礎時給というものを計算して出す必要があります。
基礎時給とは、月給制の賃金を時間当たりに換算した数値の事を言います。
基本給÷所定労働時間(平均170時間)=基礎時給
月給が21万円で本来は裁量労働制が適用されないにもかかわらず、残業代のつかないみなし労働制で働いていたとして計算をします。
21万円÷所定労働時間(170時間)=1235円
これにより、基本時給が算出されました。
割増率は残業の時間帯や、残業時間数によって「1.25倍から1.6倍の中で変動」します。
更にここから1ヵ月の残業時間が50時間だった場合として、計算します。
1ヵ月20日出勤したとして、1日あたり2.5時間の残業という事になります。
残業ばっかりの印象ですが、平均したら割とあり得る残業時間ではないでしょうか。
1235円×1.25倍×50時間(残業時間)=7万7187円
このように計算する事で、本来は貰えるであろう残業代が出ました。
1月あたり7万円を超える残業代となりました。
同じ残業時間で1年間、残業代を貰っていないと想定すると
7万7187円×12ヶ月=92万6244円
となります。
これが2年間となると、180万を超える残業代となります。
割増率について
残業時間についての割増率は計算で紹介しました。
他の割増率に関しては下の表にてご紹介いたします。
労働の種類 | 賃金割増率 |
---|---|
時間外労働(法定労働時間を超えた場合) | 1.25倍 |
深夜時間労働(22時から午前5時まで) | 1.25倍 |
休日出勤(法定休日の出勤) | 1.35倍 |
時間外労働+深夜時間労働 | 1.50倍 |
休日出勤+深夜時間労働 | 1.6倍 |
今まで裁量労働制の適用下なのに残業代が発生していない方は、自分の残業時間や深夜時間労働、休日出勤と労働時間を当てはめて計算してみましょう。
残業代(時間外労働)だけでなく、深夜時間労働や休日出勤に関しても残業代として計上される事はしっかり覚えておきましょう。
深夜時間や休日出勤は比較的、会社側が説明していないケースが多くあります。
雇用契約書を確認し、自分がどのような契約で裁量労働制の下で働いているのか、みなし労働時間やみなし残業時間の規定はどのようになっているのかをちゃんと確認する事をおすすめいたします。
時間外労働の未払い金請求の方法について
未払いの残業代が分かった所で、どうやって請求するのでしょう?
ここから順を追って説明いたします。
証拠を揃える
まずは「残業した証拠」と「請求額を請求する為の未払いの証拠」が無いと請求も出来ません。
どのような物が証拠となるのでしょう。
残業した証拠、残業代の未払いの証拠になるもの
- スマホアプリのGPSデータ
- 業務メールの送信履歴
- 日報や手帳への労働時間等の記載
- タイムカード、業務日報などの出勤・退勤記録
- 業務用パソコンのログイン・ログオフ記録
- 社員証(IDカード)の記録
会社就業規則や雇用契約書のコピーなどがある事で労使協定を締結しているか、自分がどのような契約しているのかが分かります。
就業規則は、本来であれば雇用契約を交わした人は誰でも見る事の出来る場所に置いてあるためしっかり確認をしておきましょう。
残業代を計算する
前述している通り、自分に該当するパターンで計算していきます。
裁量労働制を労使間で締結していない場合は通常の月給制と同じ扱いとなります。
そのため法定労働時間外の勤務はそのまま残業になりますし、他の割増率も適用されます。
裁量労働制が適応されている場合で自分の勤務時間や日にちにおいて、深夜時間労働や休日出勤があった場合はその部分は残業代として請求可能です。
会社との交渉
未払い残業代を請求する方法には複数の方法があります。
一番、すぐに思いつくのは弁護士への相談ではないでしょうか。
実は弁護士への相談より、もっと時間のかからない方法や、精神的負担の少ない方法があります。
会社に書面やメールで請求する
会社に支払いがない旨を伝えたことや支払いを求めたことを形で残したい場合、書面やメールで支払いを求めることも検討しましょう。
またメールで、返信があった場合それ自体が証拠になる場合も十分にあります。
もし、より強い姿勢で対応したい場合は「内容証明」で残業代の支払いを求めることを検討してもよいでしょう。
内容証明は、書面を送付した事実と送付した内容について郵便局に記録されるのがメリットです。
給与の請求が滞っている場合、会社から「そのような書面(メール)は受け取っていない」とはぐらかされるケースを排除できます。
また内容証明は、法的な手続きに入る準備行為として行われることが多くあります。
例えば弁護士名義での内容証明を受け取った会社側においては、訴訟されるリスクを考慮して任意の支払いに応じることもあります。
裁判所の支払督促を申し立てる
支払督促という言葉を聞くと、手紙や電話、メールなどを想像します。
ですが、これは裁判所の法的な手続きの事を指します。
具体的には、管理している区域の簡易裁判所に対して会社(企業)に対する請求内容を記載した「支払督促申立書」を提出。
裁判所の確認を受けた上で、相手に発送することになります。
裁判所からの支払督促書面が相手(会社)に送達され、相手(会社)が2週間以内に異議申し立てをしない場合、申立人は支払の督促について仮で執行宣言を付すように追加で申し立てることが可能となります。
この申立てについても、相手(会社)が2週間以内に異議を述べなければ支払督促の内容が法的に確定し、申立人(あなた)は相手(会社)に対して強制執行等の措置を取ることができます。
このように支払督促は相手(会社)がこれを無視し続ければ、申立人(あなた)の主張する通りの権利が確定してしまう強力な手続きです。
そのため、相手(会社)としても督促を無視ができず、何かしらの対応を期待できます。
相手方が支払の督促に異議を申し立てた場合には、通常訴訟に移行します。
相手方が異議を述べる可能性が高い場合には、最初から通常訴訟を提起した方が良いでしょう。
簡易裁判所の少額訴訟
簡易裁判所には、通常の訴訟とは別に「少額訴訟」という手続きがあります。
簡易裁判所は請求額が140万円以下の事件を取り扱う場所ですが、請求額が更に低い60万円以下の場合、少額訴訟という更に簡易的な裁判手続きを利用が可能です。
未払い時間外労働の料金が60万円に満たない場合はこの少額訴訟を利用する事が可能となります。
少額訴訟をする場合、相手方が手続きに同意することが必要です。
相手が少額訴訟で行うことに異議を述べた場合には通常訴訟に移行する事となります。
労働審判、民事訴訟
上記で説明した内容はいずれも、相手側の代理人が事実関係を争わない場合に有効な簡易的かつ迅速な手続きです。
会社側が争う姿勢を見せる場合には、裁判所の裁定を求める手続きを出来るだけ早く検討しましょう。
民事訴訟手続きに比べて迅速な対応がされます。
労働審判では、まずは話合いでの解決を目指します。
それが難しい場合は裁判所から心証に基づく一定の審判が下されることとなります。
民事訴訟は当事者が主張・立証を尽くすとても重要な手続きです。
労働審判で、調停や審判の内容や民事裁判の判決が確定した場合、債権者側はこれを債務名義として強制執行などの手段を用いて回収する事できます。
労働組合(ユニオン)を利用した残業代の請求
労働組合を通じた残業代請求は個人と個人という状況ではなく、ユニオンと企業という構図で行われます。
弁護士とは違った切り口での交渉手段やノウハウを駆使して交渉を進めていきます。
もし労働組合を通じた未払い残業代の請求がうまくいけば残業代を支払ってもらえるだけでなく、労働環境の改善も大いに期待できます。
ただしあくまでも「団体交渉」なので合意がなされなかった場合は裁判に持ち込まれるケースもあります。
また労働組合を通じた交渉が妥結された書類を労働協約といい、就業規則より強い効力を持ちます。
制度変更の無い和解した場合も労働協約という書類が成果物となります。
残業代などの相談はユニオンがおすすめ
いかがでしょうか。
裁量労働制だから残業代が出ないのは正しい労働契約を交わしていれば出ないでしょう。
ですが、裁量労働制が不当な適応の場合は、そもそも裁量労働制が適応されないので残業代は発生する事となります。
また裁量労働制を互いに確認し適応している場合であっても、深夜時間労働や休日出勤に関して会社は労働者に支払う義務があります。
また、実際に請求するとなった場合は
個人で行動するのはとても大変です。
証拠を揃えながら仕事をして、計算して…と色々やっているだけで時間も消費して、心が折れる事も考えられます。
困ったらまずは『ねこの手ユニオン』までご相談ください。
企業の労働組合と異なり、ねこの手ユニオンは加入金0円、所属する企業、職種に関係なく加入することができるのが特徴です。
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ご相談はお問い合わせフォームよりお待ちしています!