本記事にはプロモーションが含まれている場合があります
深夜手当が出る時間帯は?未払い請求をしたい場合の相談先も紹介
深夜に働いたら、お給料が高くなるって聞いたんだけど…。時給制で働いてる人だけなのかな?
そんなことないよ。給与形態に関わらず、深夜労働を行った人はみんな「深夜手当」として割増賃金をもらえるんだ。
そうなの?今月からシフトが日中から深夜に変わったんだけど、お給料が変わらなくて。日給制で働いてるからかなと思ってたの。
それは会社が違反をしているかもしれないね。
「深夜手当」の詳細と、支払われない場合の対処法について詳しく説明していくね!
深夜帯の時給が高く設定されているアルバイトの募集などを見たことのある方は多いのではないでしょうか。
これは基本賃金に加え、「深夜手当」として割増賃金が適用されているからです。
それでは「深夜手当」は具体的にどのような場合に適用されるのでしょうか。またその割増賃金はどのように設定されているのでしょうか。
その概要から、詳しく説明していきましょう。
深夜手当とは?
「深夜手当」とはそもそも、”深夜時間帯に労働した際” に加算される割増賃金のことです。
該当する時間に働かせれば、どのような仕事であっても会社は支給する義務を負い、労働者は受け取る権利があります。
たとえば運送業や工場、コンビニエンスストアなど常時人手が必要とされ、深夜勤務が前提となっている場合でも同様です。
また時給制、日給制、月給制といった給与形態も関係ありません。
これは本来、深夜時間帯は休息に充てる時間だと考えられているためです。
またここで少し触れておきたいのが、混同されやすい「夜勤手当」です。
これは法律の規定や義務がなく、会社が任意で支払っている手当のため、区別して考える必要があるといえるでしょう。
深夜手当が出る時間帯は何時?
それでは、「深夜手当」が支給される時間帯は何時から何時までなのでしょう。
これは労働基準法によって、22時〜5時までと定められています(※)。
この時間帯で従業員を働かせた場合、企業は基本給に加え、25%以上割増しした賃金を支払わなければなりません。
とくに、もともと提示された基本給が、日中と深夜で分けられている場合は注意が必要です。
たとえば深夜の基本給に「深夜手当」が正当に組み込まれていなければ違法と判断されます。
「深夜手当」が正当に組み込まれているとは、次の2つの条件を満たす場合のことです。
- 基本給のうち、割増賃金に相当する部分が明確に区別されている
- その割増賃金に相当する部分が、労働基準法で定められた割増率以上になっている
一例を紹介すると、時給制で働いている場合、日中が時給1,100円、深夜勤務が時給1,350円という設定では「深夜手当」が正当に組み込まれていると認められません。
時給1,100円に25%割増しした賃金は「1,375円」となり、これを下回るためです。
同様に「深夜手当」の計算に、“最低賃金を下回る基本賃金” を適用することも認められません。
たとえば東京都では最低賃金が1,041円のため、深夜帯ではその25%を割増しした1,301円以上でなくてはなりません。
深夜手当の計算方法
それでは、「深夜手当」の具体的な計算方法について見ていきましょう。
以下のような順番で、計算方法を紹介していきます。
- 1時間当たりの基本給(時給)を算出する
- 「深夜手当」は基本給の25%以上の割増
- 「深夜手当」は、その他の手当と重複する
1時間当たりの基本給(時給)を算出する
まず深夜手当を計算する上で必要なのが、1時間当たりの基本給(時給)です。
それぞれの給与形態では、以下のように計算できます。
- 時給制:時給
- 日給制:(所定日給-除外賃金)÷1日の所定労働時間数
- 月給制:(所定月給-除外賃金)÷1カ月あたりの平均所定労働時間数
「除外賃金」とは、通勤手当や家族手当、住宅手当、賞与などを指します。
ここで「月給制」の以下のようなケースを例に見てみましょう。
所定月給35万円(通勤手当:3万円、家族手当:2万円含む)
1日の所定労働時間:8時間
年間の所定休日:125日
この場合、時給は以下のように計算できます。
- 年間の労働日数……365日-125日=240日
- 年間の労働時間……8時間×240日=1,920時間
- 1カ月当たりの所定労働時間……1,920時間÷12カ月=160時間
- 時給……(35万円-3万円-2万円)÷160時間=1,875円
「深夜手当」は基本給の25%以上の割増
時給が計算できれば、後は割増率を掛ければ「深夜手当」の金額を導くことができます。
先ほどから触れてきたように、「深夜手当」の割増率は25%以上です。
たとえば上記のケースでいえば、1時間当たりの割増賃金は以下のようになります。
時給1,875円×1.25=2,344円
※小数点以下を切り上げ
「深夜手当」は、その他の手当と重複する
ここで注意したいのが、割増賃金は重複して発生することです。
つまり、「深夜手当」は「残業代(割増率:25%以上)」や「休日手当(割増率:35%以上)」と重なる場合、割増率が加算されて計算されることになります。
ただ休日労働は時間外労働の特別な形とみなされるため、「残業代」と「休日手当」は重複しません。
簡単に重複する場合の割増率を見てみると、「深夜手当」と「残業代」が重複して発生した際、割増率は「深夜手当25%+残業代25%=50%」です。
それでは具体的に、以下のようなケースを例に、計算してみましょう。
時給:1,000円
1日の所定労働時間:8時間(9:00〜18:00)
9:00〜24:00まで働いた場合
- 9:00〜18:00:時給1,000円×8時間=8,000円
- 18:00〜22:00:時給1,250円×4時間=5,000円(残業代25%割増)
- 22:00〜24:00:時給1,500円×2時間=3,000円(残業代+深夜手当=50%割増)
つまり1日の合計賃金は、16,000円となります。
休日出勤で5時間働いた場合(19:00〜24:00)
- 19:00〜22:00:時給1,350円×3時間=4,050円(休日手当35%割増)
- 22:00〜24:00:時給1,600円×2時間=3,200円(休日手当+深夜手当=60%割増)
つまり1日の合計賃金は、7,250円となります。
深夜手当・残業代の不払いは請求できる
深夜時間帯に働かせた場合、会社には「深夜手当」を支払う義務が生じます。
そのため、該当する時間に働いたにもかかわらず、「深夜手当」が支払われていなければ労働基準法違反です。
もちろん労働者には、未払いとなっている賃金の支払いを求める権利が発生します。
こうした未払い賃金の請求を行うには、まず会社と交渉するのが一般的です。
その際に重要なのが、実際に深夜労働したことの根拠を準備すること。たとえばタイムカードや勤務報告書、シフト表、パソコンの起動時間などが当てはまります。
ここから実際に深夜労働や時間外労働をどれだけの時間行ったのか明らかにし、上記で紹介した計算式によって算出した未払い賃金を請求していくことになります。
相談はユニオンがおすすめ
ただ、会社はそう簡単に支払いに応じてくれるとは限りません。
さらにいえば、交渉のテーブルにすらついてくれなかったり、報復として不当な労働環境を押し付けたりといったことも考えられます。
そこで心強い味方となるのが、ユニオンです。
ユニオンとは企業の枠組みを超えてつくられる、労働組合のこと。労働者1名から加盟できたり、組織によっては誰でも加入できたりといった特徴があります。
ユニオンは労働者個人の代わりに、会社と対等な立場で交渉することが可能です。会社は正当な理由なく交渉の求めを拒否できず、その活動によって労働者が不利益をこうむることを禁じています。
そのため安心して、頼ることができるといえるでしょう。
とくにユニオンのなかでも、おすすめなのが「ねこの手ユニオン」です。
ねこの手ユニオンは組合費が無料。あらゆる労働問題に精通したプロフェッショナルが在籍し、相談も無料です。
企業への交渉力に強みがあり、解決実績も高いのできっとあなたの悩みに寄り添い、解決へと導いてくれるはずですよ。