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労働基準法違反の罰則と労働者が被害にあった時の対処法
残業や休日出勤が多かったり、不当な扱いが続いたり、もしかして労働基準法に違反してるのでは?と頭によぎったことがある方もいるのではないでしょうか?
そんな時、相談する機関が分からない方や、そもそも労働基準法って何?と思う方も多いでしょう。
そこで今回は、「労働基準法とは何か?」、「どんな場合が違反になるのか?」詳しく説明します。
最後には、おすすめの相談機関も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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労働基準法とは
労働基準法とは、働く上での最低基準を定めた日本の法律です。働く人が、人間的な生活を送るために必要な条件の保障を目的としています。
例えば、賃金・労働時間・休日・年次有給休暇・就業規則などの項目について、最低基準が定められています。
事業主と社員との間に合意があったっとしても、労働基準法で定めた基準を下回る労働契約は成立しません。
万が一、雇用契約書のなかで違反する契約がある場合は、無効となるのです。
労働基準法は罰則のある法律の一つで、違反した行為に対し罰金刑や懲役刑といった刑事罰が科せられることもあります。
刑事罰の中で最も重い処罰は、労働基準法第5条の違反です。強制労働させた罰則として、1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金が科せられます。
以下、労働条約に関する最低基準です。
- 賃金の支払の原則…直接払・通貨払・全額払・毎月払・一定期日払
- 労働時間の原則…1週40時間、1日8時間
- 時間外・休日労働…労使協定の締結
- 割増賃金…時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
- 解雇予告…労働者を解雇するときは30日以上前の予告、または30日分以上の平均賃金の支払
- 有期労働契約…原則3年、専門的労働者は5年
他にも、年次有給や就業規則などについても規定しています。
働き方改革による労働基準法の改正
平成30年6月29日「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立しました。それにより、長時間労働の抑制などを目的とした、労働基準法の一部改正も行われたのです。これは平成31年4月1日から施行されています。
これにより、以下を労働時間の上限としています。
- 時間外労働の上限は月45時間、年360時間が原則
- 臨時的な特別な事情がある場合でも、
- ①年720時間、②複数月平均80時間(2カ月~6カ月平均が全て80時間を限度とする)、③単月100時間未満(休日労働を含む)が限度
- 臨時的な特別な事情がある場合でも、時間外労働が月45時間を超えるのは6カ月が限度。
労働基準法の対象者
労働基準法は、日本で労働者として働いているすべての人が対象です。労働者とは職業の種類を問わず、賃金を支払われている人のことを示します。
正社員だけでなく、臨時社員やアルバイト・パート、また国内で働く外国人労働者にも適用される法律となっています。
なかには対象とならないケースもあります。まずはフリーランスで働く人です。請負や業務委託の形態で働く人は、労働基準法上の労働者とはみなされないのです。
そのため、労働時間や有給取得といった法律の保護は受けられません。しかし実態として事業者との従属関係が認められるときは、労働者とみなされるケースもあります。
その他にも、労働基準法41条では一部の労働者に対しては、労働時間・休憩・休日の規定が適用されない旨を定めています。具体的には,農業従事者・水産業従事者・管理監督者・機密事務取扱者・監視労働従事者・断続的労働従事者(監督官庁の許可を受けた場合に限る。)が適用除外の対象です。
労働基準法違反になるケースと罰則について
労働基準法は罰則つきの法律です。違反した事業者に対して、罰金または懲役が科せられる場合もあるのです。罰金や懲役期間は、違反した内容によって変わります。罰則の対象となる行為は、労働基準法の条文で細かく書かれています。
- 強制労働の禁止に対する罰則について(労働基準法第117条):1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金
- 中間搾取の排除について(労働基準法第118条):1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 均等待遇や男女同一賃金の原則について(労働基準法第119条):6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金
- 契約期間や労働条件の明示等労働基準法(労働基準法第120条):30万円以下の罰金
労働基準法違反となる代表的なケースをご紹介します。
労働基準法違反となる代表的はケースをそれぞれ説明
労働基準法違反にケースの中で、身近に起こりうるケースに絞りました。知らないうちに、労働基準法に違反した状況で働いていることもありますので、ぜひチェックしてみましょう。
労働契約を明示しない
労働基準法のなかでも大切なのは、事業主が社員に労働契約を明らかにしなければなりません。雇い入れのときに提示されるので、必ず確認しましょう。
労働基準法第15条では、以下の項目明記されています。
- 労働契約の期間
- 働く仕事の内容・就業の場所
- 始業・就業時間、残業の有無、休憩時間、休日、休暇など
- 賃金の決定、計算・支払いの方法、賃金の締め切り、支払時期に関する事項
- 退職に関する事項(解雇するときの事由を含む)
実際に働いたときに、労働契約で明示され条件と違う場合は、即時に労働契約を解除することも可能です。
就業規則がない
10人以上の労働者のいる事業所では、就業規則を作成し社員に内容を周知させる義務があります(労働基準法第106条)。
予告のない一方的な解雇
解雇される場合は、事業主から少なくとも1カ月前には解雇予告をされます。
不可能な場合は、不足した日数分の平均賃金(解雇予告手当)が支払われます(労働基準法第20条)。
性別や社会的身分による差別
女性であることを理由に、賃金について男性と差別的取り扱いをしてはならないとあります(労働基準法第4条)。また、国籍や信条、または社会的身分などにより、労働条件その他についてを差別的な取り扱いは禁止されています(労働基準法第3条)。
休憩を与えない
1日の労働時間が6時間~8時間の場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩時間があります(労働基準法第34条)。
休日を与えない
原則として、週に1回以上の休日(法定休日)があります(労働基準法第35条)。ただし、4週間で4日以上の休日があれば違反にはなりません(労働基準法第35条)。
法定休日に仕事するときは、非常時の理由や36協定(時間外・休日労働に関する協定届)が必要です(労働基準法第33条)。
時間外労働や休日および深夜労働に対する割増賃金を支払わない
時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時~翌午前5時までの労働)した場合には、所定の割増賃金が支払われます(労働基準法第37条)。
賃金の割増率は以下の通りです。
- 時間外労働・・・1.25倍
- 休日労働・・・1.35倍
- 深夜労働・・・0.25倍
この場合は、法定労働時間を超えて働くことになるため、事業主は「36協定」という書面で社員と取り交わし、所定の所定の労働基準監督署への届出をする必要があります。この36協定の届出がなく、時間外・休日労働させた場合は違反対象です。
有給を与えない
半年以上の勤続期間がある場合、働いた期間や時間数に応じた有給を取得できます(労働基準法第39条)。パートタイムの方も一定の条件を満たせば、年次有給休暇を取得する権利は発生するので、安心してください。
産前産後の休業・育児の期間の請求を認めない
産前産後の休暇や育児休業の申出は必ず認められます。(労働基準法第65条、66条、67条)
労働基準法違反にあった場合に労働者がとるべき対処法
もし会社で上記のような労働基準法の違反行為があったら、以下のような対処をしてみてください。
会社に改善を求める、見直して欲しい場合
まずは内部通報窓口を利用してみましょう。
内部通報窓口とは、企業内の不祥事や不正行為の発見を容易にするために、不祥事や不正行為を発見した社員などからの通報を受け付ける窓口のことです。人事部など会社内部に通報窓口を設けている場合があります。
通報しても、減給や降格などの不利益な扱いは受けないよう保護されているため(公益通報者保護法)安心して、相談してみましょう。
社内の人に話しにくいときは、労働基準監督署に相談もおすすめです。
労働基準監督署は、事業者が労働基準法等の労働に関する法律を遵守しているかどうかを監督する機関です。
各都道府県ごとに設けられているため、会社を管轄する労働基準監査署に通報しましょう。
電話やメールで相談でき、電話の場合は「総合労働相談コーナー」に連絡すると、通報内容を説明したのちに適した部署につないでくれます。
平日が難しい場合、土日や夜間には「労働条件相談ホットライン」もありますよ。
電話は勇気がいるという方は、厚生労働省が「労働基準関係情報メール窓口」を設けていますので、こちらを利用して気軽に通報でき可能です。
問題の解決・慰謝料請求等を求める場合は労働組合へ
すでに実際に被害に合っている、過去そのような扱いを受け慰謝料を請求したいという方は、労働組合に相談しましょう。
組合員の不満・苦情などを会社側に伝えやすくし、職場の風通しを良くするのが目的で、本人に代わって団体交渉を行ってくれます。
会社の労働組合に相談しにくい場合や、そもそも労働組合が会社に存在しない方はユニオンがおすすめです。
ユニオンとは、同業種や関連する業種の労働者が組織する団体のことであり、企業の枠を超えて作られる労働組合のことを示します。
合同労組の一種で、個人でも加入できることや雇用形態に関係なく加入できるのが特徴です。
解雇や残業代未払いといった不当な扱いに対して団体交渉を申し入れ、本人に代わって会社側に労働環境や待遇改善を求められます。
ユニオンは各地域にありますが、どこに相談してよいか迷っている方は「ねこの手ユニオン」がおすすめです。
不当に扱われる労働者の悩みや問題を、さまざまな角度から解決しています。何より相談の受付がメールやLINEから気軽に利用でき、入会金や組合費も無料なのが魅力です。
一人で悩まずに「ねこの手ユニオン」に相談ください。「ねこの手ユニオン」が悪質な労働環境に悩み続けているあなたの代わりに、勤務先に状況の改善を要求します。
働く環境に苦しむ人の悩みが少しでも解消されれば幸いです。