本記事にはプロモーションが含まれている場合があります
公務員に残業代は払われる?国家公務員と地方公務員とで残業代は変わるの?
「公務員は残業代が支払われない」って聞いて怖くなっちゃった。
ただし、職種によって条件が設けられている場合もあるから、注意が必要だね。
でも、公務員の職種によって条件がある、という点が気になるね。
公務員か一般企業か。
就職する際に、どちらに就職するか、迷っている方もたくさんいらっしゃいますよね。
業務内容は職種を選択する際の、重要な判断基準です。
しかし、職選びは、生計を立てる手段としての側面が大きいため、給与面での不安は取り除いておきたいところ。
特に公務員は、「サービス残業が多い」というイメージをお持ちの方も多いことでしょう。
2021年に入り、国家公務員に対する残業代の支払いを求める改革が行われ、より一層、公務員残業代に対する実情が浮き彫りになってきました。
そこで、公務員の残業代規定から、公務員に対する実情を明らかにし、職種による違いも解説していきます。
これから公務員を目指す方は、ぜひ参考にしてくださいね。
公務員にも残業はある?
残業代の支給基準を解説する前に、まずは、公務員の労働状況をみていきましょう。
そもそも、公務員には残業があるの?と、疑問に感じる方もいらっしゃいますよね。
実情を知らずに職に就いてしまうと、職に対するイメージとのギャップを感じやすく、ストレスを感じる要因になってしまいます。
まずは、公務員とはどれほどの労働量なのか、を掴んでいきましょう。
公務員の残業代の算出方法
- 公務員には残業があるのか
- 公務員は月にどのくらい労働しているのか
- 公務員って残業代もらえるの?
ここでは、そんな公務員の残業代に対する疑問を解消していきます。
「公務員はサービス残業ばかりで、残業代は一切もらえない」というのは、間違いです。
公務員にも、労働時間に応じた残業代が支払われています。
公務員の残業時間は、下記のような計算方法で、算出されます。
17時15分〜22時 | 22時〜5時 | 5時〜8時30分 | |
---|---|---|---|
平日 | 1.25倍 | 1.5倍 | 1.25倍 |
休日 | 1.35倍 | 1.6倍 | 1.35倍 |
上記が、労働基準法の規則をまとめた、公務員の残業代の計算式です。
勤務する曜日や、勤務時間によって残業代の倍率が変化し、支給額が決定されます。
これは、一般企業でも、勤務日や時間帯によって残業代が変動する仕組みと類似した点です。
では、実際に公務員の残業代は、どれくらいの金額が支払われているのでしょうか。
全体像を捉えるために、残業代の平均額をみていきましょう。
公務員の残業代の平均額
公務員の中でも、国家公務員と地方公務員で、残業代の平均額は異なるようです。
残業代の平均額は、下記の通りです。
国家公務員 | 地方公務員 | 民間企業(事務系係長) |
---|---|---|
52,744円 | 30,753円 | 73,630円 |
出典:平成30年度人事院勧告の資料、平成29年地方公務員給与実態調査、人事院「2019年度職種別民間給与実態調査の結果」
地方公務員よりも、国家公務員の残業代の方が、多く支払われていることがわかります。
しかし、民間企業の方が、より残業代が高いことがわかりますよね。
これは、公務員の残業代に対する規則の影響が考えられます。
上記の公務員の残業代は、あくまで統計上のデータ。
公務員の残業代の実情は、データとは異なる部分も存在します。
その理由は、「公務員の残業代支給の実情」の章をご覧ください。
公務員の残業代支給について
公務員の残業代に関して、制限が設けられています。
一般企業で働くサラリーマンに対して、労働基準法で定められた残業に関する制限が存在しますよね。
公務員についても、制限なく残業ができるわけではありません。
国家公務員と、地方公務員ともに、下記のような基準が設けられています。
時間外労働の上限 | 時間外労働の上限(多忙な部署) |
---|---|
1カ月45時間以内、1年360時間以内 | 1カ月100時間以内、1年720時間以内 |
しかし、国家公務員の場合、特定業務において、上限なく残業することが認められています。
国家公務員の特定業務には残業時間の上限がない
国家公務員の残業代規定については、先ほど解説した通り、上限が設けられています。
しかし、「特定業務」に該当する業務については、上限なく残業することが可能となっています。
特定業務とは、次のような業務をさします。
- 大規模災害への対処
- 他国や国際機関との重要な交渉
- 制裁に関する法律の立案
国会に携わる業務など、他部署との連携が多い部署では、業務内容の緊急性に応じて上限なく残業が認められる場合が多いようです。
国家公務員の残業代が、地方公務員に比べて多いのは、業務内容の違いに原因があるようです。
また、「激務の霞ヶ関」と言われるように、「担当省庁によって労働量が異なる」ことも忘れてはならない点。
基本的な業務には、上限が設けられていますが、担当する業務の労働量によっても、残業時間は変動するのでご注意ください。
公務員の残業代支給の実情
公務員の残業代は、基本的に自ら申請しなければ、支給されません。
これは、地方公務員であっても、国家公務員であっても同じこと。
公務員には、民間企業で使用されているような、タイムカードが存在しません。
勤務実績を正確に把握する管理体制を求める声はあるようですが、現在まで、タイムカードは導入されないまま。
そのことを踏まえて、最後に、公務員の残業代支給の実情をみていきましょう。
公務員の残業代支給には上司の承認が必要
勤務時間を管理するタイムカードがないため、公務員が残業代を受け取るためには、上司への申請が不可欠です。
しかし、数時間の残業時間であれば、申請しない風潮もあるようです。
もちろん、勤務する省庁や自治体によって状況は異なりますが、「数時間の残業は申請しない」ことが共通認識になっている部署も存在するのが現実。
さらに、働き方改革の影響で、残業禁止の「ノー残業デー」を設定している部署が増えてきています。
それでも、「ノー残業デー」などの残業禁止日でも、急な業務が発生することもありますよね。
もちろん、やむを得ない業務が発生した場合は、残業代を申請すれば支給されます。
これも部署によりますが、残業禁止日の残業については、「申請しないこと」が共通認識になっている部署が存在するようです。
公務員の残業代は予算の影響を受けやすい
公務員の給与や残業代に、予算が設定されていることも、残業代が正しく支払われない要因の一つ。
- 予算が削減されたから残業代を申請しない
- 予算の都合で残業時間を短く申請する
公務員の残業代は、各部署に割り振られた予算の範囲で支払われます。
予算の上限があることから、残業代を申請しづらい環境になっていることもあるようです。
部署に与えられた予算によって、残業実績が変動する、ということも起こりかねません。
しかし、近年では働き方改革の影響で、勤務実績に基づいて、残業代が支払われる傾向にあるようです。
まだまだ一般企業に比べて、不透明な部分が多いですが、徐々に労働環境が改善されることを願いましょう。
まとめ
今回は、公務員の残業代事情について解説しました。
- 公務員は残業代がもらえない
- 公務員はサービス残業ばかりしている
上記のようなイメージが、現在でも根付いていますよね。
しかし、2021年2月には、国家公務員に対して、適切な給与支給を求める改革が行われました。(参考:日本経済新聞)
徐々に公務員の労働環境が改善されてきています。
これからも、公務員の残業代についての改革が行われ、正当な残業代支給が行われることを期待しましょう。