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特定理由離職者の失業給付日数延長へ
退職後、新しい仕事を探す上で心強い味方になるのが、「失業保険(失業手当)」です。
これは会社を退職する際、一定の要件を満たした人が受け取れる手当のこと。失業後も安定した生活を送りながら、新しい職に就くまでの経済的なサポートを目的としています。
特にいま、コロナ禍で再就職が困難な方を支援するため、「特定理由離職者」の対象拡大と、要件を満たした人に対し、失業給付期間を60日(一部30日)延長するなど特例措置が設けられています。
今回はどんな人が「特定理由離職者」の対象になる可能性があるのか、また給付期間が延長されるケースについて解説していきます。
失業給付の受給対象は?
そもそも失業給付は、どういった方が受け取れるのでしょう。
まず、その受給対象について見ていきます。
失業給付とは雇用保険から一定期間、離職者に支払われる給付金のこと。
受け取れる要件として、大きく以下の2つが挙げられます。
退職日以前の一定期間、雇用保険に加入している
再就職への意欲をハローワークで認定される
ひとつずつ、解説していきます。
退職日以前の一定期間、雇用保険に加入している
失業給付は雇用保険から支払われる給付制度のため、雇用保険に加入していた実績が必要となります。
その期間は退職日以前の2年間で合計12ヶ月以上、一部の方は退職日以前の1年間で合計6ヶ月以上。連続した期間でなくてもかまいません。
再就職への意欲をハローワークで認定される
失業給付を受給する要件として、働こうとする意思があるにも関わらず、仕事が見つからない「失業の状態」にあることが前提と定められています。
そのためハローワークで求職の申し込みを行い、定期的に求職活動を実施する必要があります。
失業給付の受給を検討される際、注意したいのは離職理由によって給付総額や給付開始日など、様々な条件が変わることです。
自己都合による退職なのか、倒産・解雇など会社都合による退職なのか。
また自己都合でもどういった理由によって退職することになったのか。
その離職理由によって、より良い待遇や仕事内容を求め、自己都合により退職した、いわゆる「一般離職者」、そして「特定理由離職者」「特定受給資格者」の3つに区分されます。
例えば「一般離職者」は、離職票をハローワークに提出してから7日間の待機期間と、2ヶ月、もしくは3ヶ月の給付制限期間を経て、失業給付が開始(※)。
「特定理由離職者」「特定受給資格者」は、7日間の待機期間の翌日から給付が開始されます。
(※)2020年9月30日までに離職した場合は3ヶ月、2020年10月1日以降に離職した場合は5年間のうち2回までは2ヶ月の給付制限期間となります。
特定理由離職者と特定受給資格者の違い
コロナ禍における特例措置として、給付期間延長の対象となるのが、「特定理由離職者」と「特定受給資格者」です。どういった方が該当するのか、対象について見ていきましょう。
※どちらも共通して、退職日以前の1年間で、合計6ヶ月以上の雇用保険の加入が必要となります。
特定理由離職者
期間の定めのある労働契約が更新されない、いわゆる「雇い止め」や、自分の意思に反する正当な理由により退職した方が「特定理由離職者」として認定されます。
正当な理由として、主に以下のような方が対象となります。
- 病気や怪我をはじめとした心身の障害、体力の不足により離職した人
- 妊娠・出産・育児などで離職し、受給期間の延長措置を受けた人
- 父・母の死亡、または扶養・看護などにより、家庭事情が急変し、離職した人
- 配偶者や扶養家族と別居生活を続けることが困難になり、離職した人
- 結婚による住所変更、事業所に移転などにより、通勤が困難となった人
- 企業の人員整理など、希望退職者の募集に応じて離職した人
特定受給資格者
「特定受給資格者」は、会社の倒産や解雇などにより再就職の時間的余裕がないまま、離職を余儀なくされた方となります。
失業給付の給付日数延長について
現在、コロナ禍の特例措置として、コロナ禍の影響により離職を余儀なくされた「特定理由離職者」「特定受給資格者」に対し、給付日数が延長されることとなりました。
具体的には以下のような方を除き、給付日数は60日延長されます。
- 35歳以上45歳未満の方で所定給付日数270日の方
- 45歳以上60歳未満の方で所定給付日数330日の方
※上記に該当する方は、30日の延長
それでは具体的にどういった方が当てはまるのでしょう。
例えばコロナ禍による業績不振を受け、倒産・解雇によって離職された「特定受給資格者」は当然対象となります。
ただ一方、判断基準が複雑で、自身が対象となるのか判断しづらいのが、「特定理由離職者」です。
特に以前は「一般離職者」とされていた方も、コロナ禍の特例措置によって、「特定理由離職者」と認定され、給付日数の延長対象となるケースも多くなってきました。
では具体的にどういった方が「特定理由離職者」として延長給付の対象となるのか。紹介していきましょう。
まず厚生労働省では、以下のような方が対象となると示しています。
- 同居の家族が新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより、看護または介護が必要となったことから自己都合での離職した場合
- 本人の職場で感染者が発生したこと、または本人もしくは同居の家族が基礎疾患を有すること、妊娠中であることもしくは高齢であることを理由に、感染拡大防止や重症化防止の観点から自己都合離職した場合
- 新型コロナウイルス感染症の影響で子(小学校、義務教育学校※1、特別支援学校※2、放課後児童クラブ、幼稚園、保育所、認定こども園などに通学、通園するものに限る)の養育が必要となったことから自己都合離職した場合
※1 小学校課程のみ ※2 高校まで
加えて「シフト制」で働いている方で、シフト削減によって離職を余儀なくされた方も「特定理由離職者」として、給付日数延長の対象となることになりました。
例えば、以下のような方が対象となります。
労働契約に具体的な勤労日数等の定めがある場合
- 具体的な勤労日数が明示されているにも関わらず、シフトを減らされた方
- 契約更新時に労働条件からシフトが減らされた労働条件を提示され、更新を希望せずに離職した方
①の方以外で、シフトの減少により週の労働時間が20時間を下回る場合
- コロナ禍の影響を受け、概ね1ヶ月以上の期間、労働時間が週20時間以上を下回った、もしくは下回ることが明らかになり離職した方
※2021年3月31日以降に離職した方が対象
ただ上記は一例となり、自身が「特定理由離職者」として認定され、失業給付延長の対象となるのか、判断はとても難しいのではないかと思います。
そのためぜひ退職された方、退職を検討されている方は、お近くのハローワークに相談してみましょう。
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