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【事例あり】バックペイとは?不当解雇時の相場感や計算方法などを解説
バックペイは、不当解雇の状況における従業員の権利として重要な役割を果たします。
解雇された従業員が受けるべきだった給料を後から補償するこの制度は、従業員が失った収入を公正に回復するための法的手段です。
しかし「本当に補償されるか?」「どの程度補償されるか?」と思う方も多いでしょう。
そこで本記事では、バックペイの概要や法的根拠、計算方法、関連事例を詳しく解説していきます。
不当解雇に悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。
なお、不当解雇にお悩みであれば、労働組合「ねこの手ユニオン」にご相談ください。完全歩合制を採用しているため、相談自体は無料なので気軽に相談できます。
正社員だけでなく、パートやアルバイトも対象です。
バックペイとはどういう意味?
バックペイとは従業員が不当に解雇された場合に、会社が支払うべき金銭のことです。
具体的には解雇が無効と判断された場合、会社は従業員に解雇された時点までさかのぼって、本来支払うべきだった賃金全額を支払う義務が生じます。
たとえば、2021年9月末に会社をクビにされて、2023年1月から不当解雇を認められて復職する場合、3ヶ月分の給料をバックペイとして受け取ることが可能です。
このバックペイには、基本給のほかに、利息(給料支払いの遅延に対する利息)や損害賠償、残業代、ボーナスなどが追加される場合があります。
ただし、法的な判断や和解の条件によって、利息は支払われません。
バックペイは英語で「backpay」と表記し、文字通り「過去に遡って支払う」という意味があります。
この支払いは従業員が不当に失った収入を回復する目的を持ち、労働者の権利を保護する重要な手段です。
さらに、バックペイの金額は争いが長引けば長引くほど高くなります。なぜなら、解雇された期間が長いほど、未払いの給与とその利息が蓄積されるからです。
要するに、バックペイは従業員が会社から不当に解雇された場合、その期間の給料を後で受け取れるようにする制度。不公平な扱いを受けた方が経済的な補償を受けるための方法で、労働者の権利を守ります。
バックペイの支払い義務
バックペイの支払い義務は、法的に確立されています。会社が従業員に不当な解雇を行った場合、その従業員に未払いの給料を支払う義務があるという意味です。
民法536条2項には、以下のような記載があります。
債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は、反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。 |
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
この条項の意味は、相手のせいで契約を果たせなくなった場合、債務者はその結果として得た利益を債権者に返さなければならない、ということです。
たとえば、AさんはBさんに100万円の商品を販売する契約をしていましたが、Bさんが約束した店舗を用意しませんでした。
そのため、Aさんは商品を販売できません。その後、Aさんはほかの顧客Cさんに同じ商品を120万円で販売する機会がありました。
この場合、AさんはBさんのせいで最初の契約を履行できなかったものの、結果的に20万円の追加収入(120万円-100万円)を得ることになります。
この原則によれば、Aさんはこの追加収入の20万円をBさんに返さなければなりません。
ただし、このようなケースはバックペイの文脈では一般的ではなく、より一般的な契約法の原則の例です。
バックペイのケースでは、不当解雇による失業期間の給与の補償が主要な焦点となります。
民法536条2項とバックペイの関係
バックペイの場合、従業員が会社から不公平に解雇されたため、仕事を失います。
つまり、会社が従業員をクビにすると、その方はもうその職で働けません。
法的な観点から見ると、会社が解雇するとその従業員が働く機会を失い、損害を受けます。
この損害に対し、従業員はバックペイを請求する権利があります。
その理由は「会社による不当な行為によって従業員が受けた損害を補償する」という法的原則にあるからです。
ここで重要なのは、バックペイの請求が不当解雇のケースにおいて主要な焦点であり、民法536条2項の適用は一般的な契約法の原則として理解されるべきという点です。
バックペイの相場は?計算方法について
バックペイは、不当に解雇された従業員が会社から請求できる金額です。
解雇が無効であると認められれば、従業員はその期間に相当する給料をバックペイとして請求できます。
バックペイを計算する上で欠かせないのが、解雇期間中に従業員がほかの収入を得ていたかどうかです。
それぞれのケースを具体例を使って見ていきましょう。
解雇期間中に収入がある場合
解雇期間中にほかの仕事で収入があると、一般的にバックペイの支払いが減額される可能性があります。
具体的な割合はケースによって異なりますが、労働基準法26条に基づく「休職者には平均賃金の60%以上の支払いが必要」が参考にされている場合が多いです。
○労働基準法26条
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。 |
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
具体例として、従業員が月給30万円を受け取っていた場合を考えましょう。
不当解雇されて3ヶ月間無給でしたが、その間、アルバイトして月に18万円を稼いだとします。
この場合、バックペイの計算は次の通りです。
- 元の給料:30万円×3ヶ月=90万円
- アルバイト収入:18万円x3ヶ月=54万円
- 理論上のバックペイ:90万円-54万円=36万円
このケースでは、アルバイトの収入がバックペイの最低保証額(平均賃金の6割)に相当します。
そのため、追加でバックペイを受け取れない、もしくは受け取れても差額の36万円の可能性があります。
ただし、一律でこの方法で計算されるわけではありません。
裁判所の判断や和解の過程で、どの程度の収入がバックペイから控除されるかが決まるため、専門家の助言は受けるようにしましょう。
解雇期間中に収入がない場合
解雇期間中にほかの収入がない場合、バックペイは従業員が通常働いていたと想定して計算されます。
このとき、従業員が解雇されていなかった期間の給与が計算の基礎になります。
先ほどの例では、30万×3ヶ月=90万と考えて問題ありません。実際は上記の固定給に加えて、通常の手当や残業代も考慮されるのが一般的です。
そのため、従業員が普段受け取っていた実際の給料と近い額が補償されるようになります。
裁判所でバックペイの金額を決定する際には、従業員の過去1年間などの給料記録が参考にされるケースが多いです。
この方法により、従業員の通常の給与水準をより正確に把握し、公正な補償額を算出することが可能になります。
ただし、具体的な計算方法や考慮される要素はケースによって異なるため、法律専門家のアドバイスを受けましょう。
バックペイが存在する3つのメリット
バックペイのメリットとして主に以下の3つが存在します。
- 収入の不安を解消できる
- 解決金の判断材料となる
- 労働者の権利を守れる
詳細は以下の通りです。
収入の不安を解消できる
バックペイの大きなメリットは、収入の不安を解消できる点にあります。不当解雇された場合、従業員は解雇期間中に当然ながら収入が得られません。
しかし、解雇の無効が認められれば、働いていなかった期間の収入を後から確保できます。
この経済的補償により、従業員は安心して次の仕事を探せ、必要に応じて職業訓練やスキルアップの機会を受けることも可能です。
バックペイは、解雇によって生じる金銭的な困難を支援します。
解決金の判断材料となる
バックペイは裁判を避けて和解する際に、重要な判断材料となります。
裁判で争わずに解決金で問題を解決する場合、具体的な相場は賃金の1ヶ月分~12ヶ月分と幅広いです。
このような状況で、バックペイで請求できる金額は、適切な解決金額を判断するための重要な指標です。
バックペイに基づく金額を知っていれば、過度に低い和解金を要求されるリスクを回避できるため、交渉でより有利な立場に立てます。
バックペイを基準に交渉を進めると、公正かつ合理的な解決金額で合意しやすくなるのは、メリットです。
このように、バックペイの金額は和解交渉における安心と公正性をもたらします。
労働者の権利を守れる
バックペイがあることで、従業員の労働の権利を保護できます。
不公平な解雇に立ち向かうための有力な手段となるため、従業員は自分の権利をしっかりと主張しやすくなります。
不当解雇の際にバックペイの知識がないと、従業員はまず自分の権利を守れません。その結果として、不利益を受けて泣き寝入りするでしょう。
しかし、バックペイの概念を理解していれば、解雇された従業員は自己の権利をしっかりと主張し公正な処遇を求められます。
また、バックペイは会社に解雇の際に、法的なリスクを意識させる効果もあります。
つまり、従業員の権利を守るだけでなく、全体の職場環境の改善も期待できるわけです。
バックペイの裁判例:2社から裁判で計4700万円を勝ち取った社員
引用:https://www.youtube.com/watch?v=BYwSvpb0GjY
佐藤大輝さん(32歳)は、驚くことにこれまでに勤務先から計4,700万円のバックペイを勝ち取った猛者です。
一般的に解雇と言うと、会社に大きな損失を生んだり、逮捕されたりなどのやらかし系が想像されますが、佐藤さんの場合はそういうわけではありません。
シンプルに2社ともブラック企業だったとのことです。
1社目の美容商社は23歳でクビにされて、不当解雇で訴えたところ、20ヶ月の法的闘争の末に700万円の和解金を勝ち取りました。
その後、2社目の運送会社からも解雇されましたが、約2年の闘争の末、解雇撤回と4,000万円の和解金を獲得しました。
その結果、4,700万円もいただきますとのこと(笑)
1社目は「営業成績不良・勤務態度不良」、2社目は「勤務態度不良・休日の業務電話に出ない」と、佐藤さんだけでなく会社にも問題があるように感じます。
しかし、会社側の過失が100%の状況ではないにもかかわらず、勝訴できる点に驚きを隠せませんでした。
今回の話題を取り扱った「アベマプライム」によると、裁判で解雇無効となる割合は全体の6割です。
日本では、労働者に優しい労働環境と言えるでしょう。
佐藤さんによると解雇を撤廃するポイントは、以下の通りです。
- 証拠は片っ端から集める
- 始末書や退職届は自分から出さない
- 社員の証言はアテにならないとのこと
佐藤さんは、2社との裁判で勝訴し、円満退社できました。
特に証拠集めが重要なため、下記に参考となる記事をまとめました。
>>不当解雇の証拠を集めよう!重要証拠10選と収集方法、注意点を解説
経歴に傷がつくことはなく大金も手に入ったため、賢明な対応が功を奏したと言えるでしょう。
不当解雇について気軽に相談するなら「ねこの手ユニオン」
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- 企業は労働組合からの交渉を断れない
- 相談から裁判まで一括して代行してくれる
- アルバイトやパート・契約社員・派遣でも相談できる
- 24時間いつでも受付している
- 着手金無料で完全成果報酬だから安心できる
順番に見ていきましょう。
企業は労働組合からの交渉を断れない
労働組合法で保障されているため、企業は労働組合からの団体交渉を断れません。
労働者一人ひとりは弱いため、会社と交渉するのはまず不可能です。しかし、会社との交渉権を有する労働組合であれば、対等に交渉ができます。
仮に企業が正当な理由なしで団体交渉を無視してしまうと、労働組合法32条にあるように50万円以下の過料に処されます。
労働組合の力を使えば、対等な立場で会社と話し合いができるチャンスが生まれるわけです。
これまで泣き寝入りしていた方も救われるのではないでしょうか。
相談から裁判まで一括して代行してくれる
ねこの手ユニオンには、弁護士、社会保険労務士、行政書士といった法律のきちんとした専門家が運営に携わっているため、相談から裁判まで一括代行が可能です。
不当解任について直接対応ができない場合であっても、弁護士も紹介しているのでご安心ください。
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オンライン上で完結する場合もあるため、わざわざ足を運ぶ必要もありません。手軽さの観点から言うと、メリットがありますね。
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たとえば、500万円勝ち取れたら、そのうちの150万円を謝礼としてお支払いいただきます。しかし万が一、 結果が出なかった場合に無駄な支払いが発生しないため、安心できるのではないでしょうか。
バックペイに関するよくある質問
最後に、バックペイに関するよくある質問をまとめました。
バックペイに時効はありますか?
バックペイは賃金請求権であるため、2年で時効により消滅します。
労働基準法115条には、以下のように記載されています。
「この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から五年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から二年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」
バックペイに税金はかかりますか?
バックペイは給料の未払い分であり課税対象となるため、源泉徴収されます。そのため、所得税が差し引かれるのが一般的です。
まとめ:バックペイは不当解雇された従業員を守る補償
バックペイは不当解雇された従業員の権利を守り、経済的な補償を提供する重要な制度です。
給与だけでなく、ボーナスや手当も含まれ、受け取れたはずの金銭を補填します。
そのため、解雇期間中の収入不安を大きく軽減させることが可能です。
ほかにも、和解金の適切な判断材料となり、有利に交渉を進められるメリットもあります。
このような点を踏まえると、会社員の方はバックペイについて理解した方がいいでしょう。
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