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内定取り消しは損害賠償の対象に!相場や成立条件、3ステップの手順を解説
内定取り消しとは、文字通り企業が求職者に一度出した内定を取り消すことです。
厚生労働省によると、2022年3月に新卒内定取り消しを実施した事業所は27、内定取り消しに遭った新卒者は50名と、いまだ無くなることはありません。
内定取り消しは、就職活動において最も避けたい事態ですが、毎年多くの学生や新卒者が影響を受けています。
内定取り消しを受けた場合、どのような対応をすればいいのでしょうか?
内定取り消しには法的な根拠が必要であり、無条件で取り消すことはできません。したがって、内定者には損害賠償を請求する権利があります。
「知らなかった」と後悔する前に、この問題について知識を深めることが重要です。
しかし内定取り消しの損害賠償には、一定の相場や基準があり、簡単に請求できるものではありません。
本記事では、内定取り消しされた際の請求金額の相場や成立しやすい条件について解説していきます。
具体的な3ステップの手順もお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
なお、内定取り消しに関する相談は労働組合「ねこの手ユニオン」で無料で対応しています。完全歩合を採用し結果が出なければ、費用はかからないため、安心できます。
内定取り消し後に損害賠償は可能?
内定を出した時点で労働者契約が成立すると考えられるため、内定取り消しは不当解雇にあたります。
解雇には正当な理由が必要であり、正当な理由がない場合は違法です。
そのため、違法な内定取り消しに対しては、損害賠償や慰謝料を請求できます。
解雇には以下の種類が存在します。
- 普通解雇
- 整理解雇
- 懲戒解雇
各条件に該当しなければクビにはできません。
それぞれの判断基準について、下記の記事を参考にしてください。
損害賠償とは?
損害賠償とは、契約違反や不法行為によって生じた損害を加害者が被害者に対して補償することです。
損害賠償の法的根拠は、民法第709条に規定されています。
〇民法第709条【不法行為による損害賠償】
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 |
引用:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089
契約に基づき、損害賠償義務もあります。
特定の契約内容を守らなかったときに相手方に損害が生じた場合、この義務が発生します。
内定取り消しの損害賠償の相場
結論から言うと、内定取り消しの損害賠償の相場は、給与の3ヶ月分程度が一般的です。
しかし、これは概算であり、個別の状況や損害の実態、証明可能な範囲によって異なります。
内定取り消しによる生計の困窮度合いや損失の範囲により、賠償額が変動します。
具体的に請求できる項目は以下の通りです
- 就職する機会を失った損害
- 他の求人を見つける経済的損失
- 移動や住居に関する損害
- 心理的な苦痛
- 弁護士などの費用
具体的なアドバイスや詳細な計算は専門家に相談するのがおすすめですが、それぞれ確認していきましょう。
就職する機会を失った損害
内定取り消しにより就職する機会を失った場合、その損害を賠償請求できます。具体的には、内定者の月収の3ヶ月分程度が認められるケースが多いです。
他の求人を見つける経済的損失
再度求人を探すための交通費、面接のための宿泊費なども考慮されます。特に遠方から参加された求職者は安心できますね。
移動や住居に関する損害
転職を機に内定先の付近に引越しする場合もあります。
そのケースで内定が取消されてしまうと、大きな損害になりますが、基本的に引越し費用や住居の解約に伴う違約金などが考慮されます。
心理的な苦痛
内定取り消しによって精神的なショックや不安、恥辱感などを受けた場合、その苦痛に対する賠償請求ができます。慰謝料とも呼ばれるものです。
弁護士などの費用
内定取り消しに関して弁護士や労働相談センターなどに相談した場合、その費用も賠償請求できます。
しかし、弁護士に依頼すると高額になりやすいと感じている方が多いかもしれません。労働組合「ねこの手ユニオン」であれば、完全歩合制で対応しているため、成果が出たときだけ支払いが発生します。
安心して相談できるのではないでしょうか。
内定取り消しで損害賠償が成立するには?
内定取り消しで損害賠償が成立するための主な条件は、以下の通りです。
- 内定取り消しに合理的な理由がない場合
- 内定者側に非がない場合
- 企業側の過失による取り消しの場合
それぞれの詳細について見ていきましょう。
内定取り消しに合理的な理由がない場合
企業が主観的・不適切な理由で内定を取り消すと、損害賠償の対象となる可能性が高まります。
たとえば、主観的な評価や事前に明示されていない適正試験結果、内定者の生い立ちや経歴に突如として問題を見出す行為などです。
内定者側に非がない場合
内定者の非が全く認められない状態での内定取り消しは、強力な損害賠償請求の根拠となりやすいです。
会社の一時的な経営不調や選考ミスなど、内定者に非がないのに取り消された場合がこれに該当します。
企業側の過失による取り消しの場合
人事の手違いでの二重採用や誤った情報に基づく内定が取り消された場合も、損害賠償の対象となる場合があります。
その理由は、企業側の手違いや誤った判断によって内定が取り消された場合、公平性の観点からも許容されない行為となるからです。
また、下記の記事では内定取り消しが認められる場合とそうでない場合に分けて解説しています。詳細を知りたい方はチェックしましょう。
>>内定取り消しの全て!法的背景や理由、具体的な3つの対処法を解説
内定取り消しで損害賠償が成立した事例・ニュース
ここまで内定取り消しの損害賠償の概要についてお伝えしましたが、実際にあった事例やニュースを確認していきましょう。
B金融公庫(B型肝炎ウイルス感染検査)事件
男性Xは、公庫Yでの仕事を得るための試験を受けました。しかし、彼の知らずにB型肝炎の検査をされ、結果が陽性とわかったため、仕事の内定を取り消されました。
B型肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)によって引き起こされる肝臓の炎症のこと。おそらくB型肝炎が社内で感染してしまうと思ったのでしょう。
そこで男性Xが「無断の血液検査でB型肝炎を理由に内定を取り消された」ことを理由に1,500万円の損害賠償を求めた訴訟です。
判決
裁判では、2003年6月20日に以下のような判決が下されました。
- B型肝炎の検査は法律に違反
- 男性Xのプライバシーも守られいない
- 男性Xは仕事をもらえると信じていたため、内定を取り消されると大きなショックと不利益を受けた
- 最終的に、公庫Yは男性Xに150万円のお詫びとしてのお金を支払うよう命じられた
インフォミックス事件
A氏はIBM社に勤務していましたが、以前の同僚であるB社のT氏からマネージャーのポジションを提案されました。
採用条件を明確にした書類を受け取った後、IBMを退職することを決定。しかし、B社からの入社前の通知で、元々の条件での採用が難しくなったとの情報を受け、異なる3つの新しい条件が提示されました。
A氏は提示された条件に納得せず、基本給24ヶ月分の補償を要求したが、B社は最終的にA氏の採用を取り消す決定を下すことになります。
判決
裁判では、1997年10月31日に以下のような判決が下されました。
- 会社は人員削減の必要性があった
- 採用内定者に補償や職種変更の提案をしたと認めた
- しかし、会社の対応は誠実ではなかったし採用内定者は大きな損失を受けた
- そのため、採用内定の取り消しは不当
損害賠償請求を進める際の具体的な手順
では実際に内定取り消しに遭った際に、損害賠償請求を行うにはどうしたらいいのでしょうか?
シンプルに言うと、以下の3つの手順です。
- 内定取り消しの理由を確認する
- 内定を証明するものを保存する
- 大学や外部機関に相談する
順番に解説していきますね。
1.内定取り消しの理由を確認する
内定取り消しされた際は、その理由を明確に確認する必要があります。
日本の労働契約法によれば、雇用の契約が成立した後、雇用主が一方的に取り消しをする場合、正当な理由がなくてはなりません。
明確な理由が提供されない場合、不当な取り消しとみなされる可能性が高くなります。
経営の悪化を理由に内定を取り消した場合、経営状況のデータや人員削減の状況を示す必要が会社側にはあるため、遠慮せずに説明を求めましょう。
その際、口頭での説明のみでなく、書面での明確な理由の提出も求めるとよいでしょう。
2.内定を証明するものを保存する
内定の事実を証明するための文書や通信記録は、損害賠償請求の際の重要な証拠です。
裁判所では、具体的な証拠が勝敗の行き先を決めます。
特に電子メールや書面での内定の通知は、内定が実際にあったことを示す強力な証拠となります。
もしメールで内定の通知を受け取った場合、そのメールは内定の証拠として使用可能です。
3.大学や外部機関に相談する
損害賠償請求を進めると言っても、知識や経験がない方がほとんどでしょう。
そのため、専門家や外部機関から意見やサポートを求めることは大きな助けとなります。
多くの大学や公共団体には、学生や市民をサポートするための労働問題に関する相談窓口があります。
また、労働組合や法律事務所でも労働問題に関する専門的なアドバイスを受けることが可能です。
内定取り消しをされたら「ねこの手ユニオン」がおすすめ
内定取り消しの相談先はいくつかありますが、なかでも「ねこの手ユニオン」という労働組合(ユニオン)がおすすめです。
- 企業は労働組合からの交渉を断れない
- 相談から裁判まで一括して代行してくれる
- 24時間いつでも受付している
- 着手金無料で完全成果報酬だから安心できる
上記4点の理由をそれぞれお伝えしていきます。
企業は労働組合からの交渉を断れない
労働組合からの団体交渉は労働組合法で保障されているため、企業は断れません。
従業員一人ひとりの立場は弱くても、労働組合には団結して会社と交渉できる権利があります。
企業はこの団体交渉を正当な理由なしで無視すると、50万円以下の過料に処されてしまうほど強い力なのです。
そのため、労働組合「ねこの手ユニオン」に相談すれば、対等な立場で会社と話し合いができるようになります。
相談から裁判まで一括して代行してくれる
ねこの手ユニオンには、弁護士、社会保険労務士、行政書士といった法律のきちんとした専門家が運営に携わっています。
各分野のエキスパートが相談から各種手続きまでしっかり対応してくれるため、安心できますね。
24時間いつでも受付している
ねこの手ユニオンは、LINEやメールから24時間いつでも問い合わせできます。スマホやパソコンから気軽に相談できます。
着手金無料で完全成果報酬だから安心できる
ねこの手ユニオンは完全成果報酬を採用していて、着手金・相談料・組合加入費・組合費などは必要ありません。
無事に解決できたときに解決金の3割を支払う仕組みです。結果が出なかったときに支払いは発生しないため、安心できます。
内定取り消しの損害賠償についてよくある質問
最後に、内定取り消しの損害賠償についてよくある質問をまとめました。
損害賠償を求める際の最も重要なポイントは何ですか?
損害賠償を求める際の最も重要なポイントは「証拠」です。内定の通知や、取り消しの通知、その他関連するコミュニケーションの記録をしっかりと保管することが、後の手続きで非常に役立ちます。
企業が「経営の悪化」を理由に内定を取り消した場合、どうすればよいですか?
「経営の悪化」を理由に内定を取り消された場合、まずはその具体的な根拠を企業から求めることが重要です。
企業が適切なデータや証拠を示さない場合、内定取り消しは不当と判断される可能性が高まります。
早急に、専門家や相談窓口と相談するようにしましょう。
損害賠償請求をするためには、どのような専門家や組織に相談すればよいですか?
損害賠償請求を進める際には、労働問題に詳しい弁護士や労働組合、または公共の雇用安定機関などに相談すると良いでしょう。
内々定の取消の場合はどうなりますか?
内々定は会社が求職者に採用予定を伝える通知です。そのため、仮に契約書を結んだとしても、その通知が法的に拘束力を持つわけではありません。
以下の記事をチェックしましょう。
>>内定取り消しの全て!法的背景や理由、具体的な3つの対処法を解説
まとめ:内定取り消しされたら損害賠償請求をしましょう
内定取り消しは社会通念上相当な理由がなければ無効であるため、損害賠償請求ができます。
損害賠償金の相場、一概に言いにくいですが、賃金のおおよそ3ヶ月分と言われています。
損害賠償請求をするためには、以下の手順を踏む必要があります。
- 内定取り消しの理由を確認する
- 内定を証明するものを保存する
- 大学や外部機関に相談する
内定取り消しの理由は、内定者の虚偽の経歴や重大な犯罪などが該当します。
会社の経営状況や人員削減などは該当しません。
内定を証明するものは、内定通知書やメールなどの書面や録音などです。
口頭で行われた内定は証明が困難ですが、大学や外部機関に相談することで、専門的なアドバイスを受けられます。
なかでも労働組合である「ねこの手ユニオン」は完全歩合制を採用しています。無料相談も実施しているため、気軽に問い合わせできますね。
気になった方はまずは相談からしてみてください。