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懲戒免職処分による労働者のリスク。不当解雇にあたるケースも?
知り合いの公務員が「懲戒免職」されちゃったんだって…。懲戒免職ってよく知らないんだけど、普通の解雇とどう違うんだろう?
「懲戒免職」は公務員でいう強制解雇のことだよ。出されたら即日解雇、退職金も出ないんだけど、不当解雇にあたるケースもあるんだ。
「懲戒免職ってニュースでよく聞くけど、いったいなに?」
「普通の解雇と懲戒免職はどう違うの?リスクはある?」
上記のような疑問を抱いている人も、きっといることでしょう。
この記事では、懲戒免職について徹底解説!懲戒免職とはなにかをはじめ、リスクや処分の原則、対処法や相談先について紹介します。
公務員の方や、懲戒免職について知りたい方はぜひご覧ください。
懲戒免職とは?
懲戒免職とは、公務員の強制解雇のこと。
主に公務に重大な支障をきたしてしまった場合に、懲戒免職されることが多いです。
どんなときに懲戒免職になるの?
懲戒免職は、主に以下のような原因で行われます。
- 職場で横領や盗みをした
- ウソの経歴が判明した
- 無断で長期欠勤をした
- 勤務ルールを破った
- 法を犯して逮捕・起訴された
原則として公務員としての信用を大きく失うようなことをすると、懲戒免職される傾向が強いです。
横領や盗み、詐欺をした
横領や泥棒、詐欺行為は人として許されないことです。判明した時点で、その公務員は多くの場合懲戒免職となります。
横領の手口として多いのが、存在しないの取引先を作り、自分の口座にお金を振り込むこと。
国民が必死で働いて納めた税金を、勝手に自分のものにする行為はとても悪いことです。
なお、悪意なく物を誤って壊したりなくしたりした時には、懲戒免職にならず「戒告」や「減給」になることが多い傾向にあります。
ウソの経歴が判明した
ウソの経歴を伝えて公務員へ就職したのがバレたときにも、懲戒免職されます。詐称すると懲戒免職になりやすいのは、以下の経歴です。
- 懲戒免職に遭った過去
- 刑罰を受けた過去
- 学歴や職歴 など
自分を大きく見せるためウソの学歴を伝えたときなどに、懲戒免職は適用されるケースがほとんどです。
無断で長期欠勤をした
21日以上無断欠勤をした場合にも、懲戒免職は行われます。
仕事に出てこないとクビにされてしまうのは、どの仕事でも同じ。しっかりした理由がなく仕事を放棄したことになるので、懲戒免職になるのは当然のことだといえるでしょう。
勤務ルールを破った
会社の重大な勤務ルールを破った場合にも、懲戒免職になることがあります。
懲戒免職になりやすいルール違反は、以下の通りです。
- 秘密漏えいをした
- 入札談合に関する行為をした
- ハラスメント行為をした
- 公文書の改ざんをした
- 他職員を違法行為へ勧誘した
- 賭博や風紀を乱す行為をした
法を犯して逮捕・起訴された
法を犯して逮捕または起訴されたときにも、懲戒免職されます。懲戒免職にあたる可能性のある行いは、以下の通りです。
- 飲酒運転で人身事故を起こした
- 交通事故を起こしたときに被害者が死亡または重い障害を負った
- その他交通法に違反する行為を行った
- 麻薬を所持していた
- 未成年にみだらな行為をしたなど
なお、勤務時間外に逮捕・起訴されたとしても、懲戒免職は行われます。
懲戒免職処分を受けることのリスク
強制解雇と同じ扱いの懲戒免職になった人には大きなリスクが伴います。
懲戒免職のリスクは、主に以下の4つです。
- 退職金がもらえなくなる
- 処分されると即日で仕事を失う
- 再転職がしにくくなる
以下では、各リスクについて詳しく解説します。
退職金がもらえなくなる
懲戒免職されると、原則として退職金を受け取ることはできません。
たとえ定年間近だったとしても、退職金を受け取る権利はなくなります。
処分されると即日で仕事を失う
通常は職員を退職させるときには、退職まで30日間の余裕をあけることが決まっています。
しかし、懲戒免職に退職までの余裕はありません。
処分が行われると、対象の職員はその日で仕事を失います。
再転職がしにくくなる
懲戒免職されると、以下の理由で公務員への再就職が難しくなります。
- 履歴書に「懲戒免職」の記録が残る
- しばらく公務員になれなくなる
以下では、それぞれの理由について詳しく解説します。
履歴書に「懲戒免職」の記録が残る
懲戒免職されると、履歴書に記録が残ってしまいます。
再就職しようにも、履歴書を見た段階で「この人は懲戒免職されたんだ…」ということが分かってしまいます。
懲戒免職されたという事実は、履歴書に一生残ってしまうのです。
なお、懲戒免職のことを書かずに再就職すると、ウソの経歴を書いたことになります。
再就職のときには、懲戒免職に遭ったことは必ず書く方が、就職後のリスクは少なくなることでしょう。
しばらく公務員にはなれなくなる
懲戒免職されてからしばらくは、再度公務員の職につくことができなくなります。
公務員別の再就職ができない期間は、以下の通りです。
- 国家公務員:2年間
- 地方公務員:処分された地方公共団体で2年間
なお、再就職ができない期間でも、公務員以外の仕事にはつけます。懲戒免職をされて2年間の間でも、会社員やパート・アルバイトとして勤務することは問題ありません。
懲戒免職の原則
懲戒免職の判断を決める法律はありません。
よって、企業が以下7つの原則から懲戒免職にするか判断します。
- 罪刑法定主義
- 適正手続
- 相当性
- 平等取扱
- 個人責任
- 二重処分禁止
- 効力不遡及
以下では、それぞれの原則について分かりやすく解説します。
罪刑法定主義
憲法での大きな原則のことを、「罪刑法定主義」といいます。
これは「法律内に文章で書かれていない内容を理由にして、懲戒免職はできない」という原則です。
適正手続
きちんとした手続きをしなければ、懲戒免職はできないという原則です。
会社によっては、就業や労働について決まりごとがあります。適正手続きはそれに従わなければ、懲戒免職はできないという原則です。
相当性
処分される原因がそれ相応であるかを問う原則が、相当性です。
情処分される人の事情や経歴、事件が起きた状況などをもとに、本当にその人を懲戒免職にするべきかを判断します。
懲戒免職は最も重い罰。さまざまな視点から見て、この罰は重すぎると思われないか決めることが必要なのです。
平等取扱
同じ内容の問題行動に対して、今回の処分が平等かを考える原則が、平等取扱です。
以前に起こった懲戒免職と、今回の懲戒免職は同じくらい大きな事案なのかを確認します。
同じ内容に同じ処分をくださないのは、平等取扱に反することであり、起きてはなりません。
個人責任
「個人が起こした問題は連帯責任にしない」
これが、個人責任の原則です。処分はあくまで、個人単位でされるもの。
連帯責任を負わせることは、原則としてできません。
しかし、就業規則に具体的な決まりがあるときには、部下の問題行動が管理職の責任になることもあります。
二重処分禁止
二重処分禁止は「処分は必ず、1回きりになるように!」という原則です。
「日本国憲法第39条」によると、同じ事件で同じ職員を2回罰することはできないとされています。
よって、何度も同じ人を罰したり、過去のできごとを蒸し返して罰することはできません。
効力不遡及
処分を決めたあとに発生した問題行動を、罰を決めるときの追加理由にしてはいけません。
これを「効力不遡及」の原則といいます。
罰を決めたあとに新しく問題行動が見つかっても、それを判断する理由に付け加えることはできないので注意しましょう。
懲戒免職処分が不当解雇にあたる事例
懲戒免職は原則に基づき慎重に決められますが、処分が不当なケースもあります。
前述した通り公務員の懲戒免職には、法で定められた原則がありません。
同職である公務員が身内で処分を決めているため、不当性がある懲戒免職も出てくるのです。
- 勤務態度や家族構成と懲戒免職処分が釣り合わない
- 報復など不当な目的で処分をした
- 過去の同内容の処分例と今回の処分が同等ではない
- 問題行為はあったが、就業規則にその行動が懲戒免職に相当するとは書かれていない
上記のような不当性がある場合、懲戒免職の不服申し立てをすることが可能です。
懲戒免職を受けた場合の対処法・相談先
もし懲戒免職を不満に感じたときには、どう対処すればよいのでしょうか。
ここでは、懲戒免職を受けた場合の対処法や相談先を紹介します。不当解雇を受けたときには、以下の手順で職場を訴えることが可能です。
- 不服申し立て(審査請求)をする
- 申立てが却下されたら懲戒免職取り消しのための訴訟を行う
不服申し立て(審査請求)をする
懲戒免職を受けたら、行政機関内部へまずは不服申し立てをしましょう。
不服申し立てができる場所は、国家公務員と地方公務員で違います。
- 国家公務員:人事院
- 地方公務員:人事委員会か公平委員会
不服申し立てをするための処分証明書には、提出期限があります。
書類を受け取った翌日から3カ月以内か、処分の翌日から1年以内には必ず書類を出しましょう。
処分証明書とは?
処分証明書は、懲戒処分された職員がもらう書類のことです。
証明書には、処分に関する以下のような内容が書かれています。
- 処分の内容
- 発令日
- 処分された理由
この書類は、不服申し立てをするときに必要になるので、必ずとっておきましょう。
申立てが却下されたら懲戒免職取り消しの訴訟をする
審査請求を却下された場合には、懲戒免職の取り消しを求める裁判をすることができます。訴訟できる期間は限定されており、以下の2つのうちのどちらかになります。
- 通知された当日から3カ月以内
- 審査結果が出た日から1年以内
無理矢理退職をさせる懲戒免職では、不服申し立ては受け入れられず裁判になることも多くあります。
弁護士を雇ったりするためのお金がかかることは、覚悟しましょう。
相談先はユニオンにするのがおすすめ
公務員が労働に関する相談をするのは、主に自治体や国の労働組合です。
しかし、労働組合の会費は月2,500~4,000円とかなり高いです。
労働相談ができる機関は、国や自治体の労働組合だけではありません。
会社に関わっていない、外部労働組合(ユニオン)というところもあるのです。
中でも「ねこの手ユニオン」は、組合費が無料のユニオンです。相談や解決への着手も無料の良心的なユニオン。
メールやLINEからも相談は可能なので、まずは気軽にねこの手ユニオンにお問い合わせください!