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変形労働時間制とは?フレックスタイム制や裁量労働制との違い
うちの会社は変形労働時間制で、勤務時間が長くなる日があるんだけど、これってどういう制度なの?長く働いてるのに残業代は出ないの?
変形労働時間制は、一定期間の合計で労働時間を計算する制度。法律にのっとって時間が定められていれば、残業にはならないよ
うーん、やっぱり制度をよく知らないと、いまいち納得できないよ…
そうだね。よく知っておかないと、知らずにサービス残業をしてしまっている可能性もあるよね。よし、今回は変形労働時間制について、詳しく解説していくね!
変形労働時間制とは簡単にいえば、「忙しい期間は長時間労働をして、忙しくない期間は早めに退社する」といった働き方ができる制度。
法律的には認められていますが、仕組みをよく知らないと、「残業にはならないの?」と、疑問に思う人も多いでしょう。
制度をよく知っておくことで、「知らない間にサービス残業をさせられていた」という事態も防げます。今回はこの変形労働時間制、これと似たフレックスタイム制や裁量労働制なども詳しく解説していきます。
変形労働時間制とは?
変形労働時間制とは、労働時間を1日ではなく、月ごとや年ごとなど、定められた一定期間の合計で計算する制度です。
法定労働時間は1日8時間、週40時間までとされており、通常これを超える労働があれば残業になります。
しかし変形労働時間制を用いると、たとえば1日に10時間働いたとしても、月の合計労働時間が法定労働時間に収まっていれば、残業にはなりません。
要するに忙しい日は10時間働いて、忙しくない日は6時間で切り上げるなど、帳尻を合わせることができるのです。週単位で、第一週は50時間働いて、第二週は30時間働く、というようなこともできます。
変形労働時間制は、大きく1ヶ月単位、1年単位のふたつに分けられます。それぞれどのような計算をするのかみていきましょう。
1ヶ月単位の変形労働時間制
1ヶ月単位の変形労働時間制では、月の合計労働時間が以下の数字を超えないように、各日の所定労働時間が設定されます。
- 28日の場合…160時間
- 29日の場合…165.7時間
- 30日の場合…171.4時間
- 31日の場合…177.1時間
これらはそれぞれ、週平均40時間働いた場合の数字になっています。
1ヶ月単位の変形労働時間制を導入する場合、会社はあらかじめその期間の1日ごと、もしくは週ごとの労働時間を定め、就業規則に記載しておかねばなりません。
1年単位の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制では、正確には1ヶ月以上~1年以内の期間を指定できます。ただ、季節ごとに繁忙期、閑散期のある業種で取り入れられることが多いため、1年を指定期間としている会社がほとんどです。
1年単位の変形労働時間制では、年間を通しての合計労働時間が以下の数字を超えないように各日の労働時間が設定されます。
- 365日の場合…2085.7時間
- 366日(閏年)の場合…2091.4時間
また、この決まりだけでは、従業員がまったく休みを取れない期間がある、残業が長すぎる日がある、といった問題が出てくるでしょう。
そのため、1年単位の変形労働時間制では以下のような決まりも設けられています。
- 1日の労働時間は10時間まで
- 週の労働時間は52時間まで
- 連勤は6日まで
- 1年の労働日数は280日まで
1年単位の変形労働時間制を導入する場合も、会社は就業規則に各日の労働時間の詳細を記載しなければなりません。このほか、従業員との労使協定を結んで、労働基準監督署に届け出をする必要もあります。
企業が導入する意図
変形労働時間制を企業が導入する理由は、ほとんどの場合、残業代を抑えるためです。
やはり業種ごとに繁忙期、閑散期はあるもので、通常の所定労働時間で働いていると、どうしても残業が多くなってしまう時期が出てきます。
一方、閑散期でやることがないのに、所定労働時間が終わるまで社員が残っているのも、会社としては無駄になります。
変形労働時間制を使えば、このやることがないのに社員が残っている時間を繁忙期に回して、残業代を節約することができるわけです。
また、「働くときは働く」「休むときは休む」というように、従業員の生活にメリハリを付ける効果もあります。こういったメンタルヘルスの面を考慮して、導入している企業も多いようです。
変形労働時間制に似ている制度
変形労働時間制のほかにも、これと似た労働時間の制度がいくつかあります。それぞれの特徴をみていきましょう。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は、従業員個人が自由に出勤時間、退勤時間を決められる制度。
もっとも、あまり決まりがなさすぎるのも収拾をつけにくいため、必ず出勤しなければいけないコアタイムを定めている企業も多いです。
フレックスタイム制では、3ヵ月以内の一定期間で合計労働時間を計算。週平均40時間を超えたぶんは残業に。足りなければ、次の期間にそのぶんの時間を繰越すなどの対応がなされます。
一見働きやすい制度に思えますが、「退勤時間が決められていないと帰りづらい」などの問題もあり、逆に残業が多くなってしまう人もいるようです。
裁量労働制
裁量労働制とは、働いた時間に関係なく、「一定時間働いたことにする」という制度です。
つまり所定労働時間が8時間なら、実際に働いた時間が6時間でも10時間でも、一律で8時間になります。
裁量労働制は主に、労働時間と仕事の成果にあまり関連性のない職業に用いられています。
たとえば、新製品の研究開発などはアイデア次第で、一概に時間をかければいいものではありません。新聞記者なども、良いネタが掴めるかどうかに時間は関係なく、裁量労働制となっていることが多いです。
変形労働時間制による労働者へのデメリット
企業側からすると、閑散期の無駄な労働時間を繁忙期に回せる変形労働時間制には、大きなメリットがあります。
しかし、この制度に応じる従業員は気を付けておかないと、知らない間にサービス残業をさせられている可能性があります。
たとえば、変形労働時間制は「今日は忙しいから1時間多く働いて、そのぶん明日1時間早く帰る」という繰り越しができる制度ではありません。
自由に変えられるといっても、各日の労働時間は就業規則で定めておく必要があり、その日にいきなり変更するようなことはできないのです。
上記のような指示が会社から出た場合、1時間多く働いたぶんは、週平均40時間に収まっていたとしても残業になります。
また、そもそも就業規則で定められている労働時間が、法定労働時間を超えているというケースもあります。
変形労働時間制が導入されたら、まずは就業規則と法定労働時間を照らし合わせて、会社が違反していないか確認するようにしましょう。
残念ながら、制度が一般によく知られていないことを利用し、労働時間を誤魔化している会社も多いのです。
サービス残業で困ったらユニオンへ相談!
上記のような変形労働時間制を利用したサービス残業に気付いたとして、会社に改善してもらうにはどうすればいいでしょう?
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