残業代の不払いは法律違反!労働基準法での残業の定義・基本ルールについて

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目次

残業代についての法律は?「労働基準法」での残業代に関するルールをご紹介

残業代について、あなたの働く会社では正しく支払われていますか?
労働基準法という法律はご存知でしょうか?

  • 残業時間は、正しく記録されているから安心
  • サービス残業して残業代を発生させないようにしている
  • 残業代が発生しそうな時、上司からサービス残業を強要される
  • 残業代は支払われているが、正しい計算がされているか分からない

など色んなパターンがあるのではないでしょうか?

実際に私もアルバイトや契約社員、正社員など色んなパターンでの勤務経験がありますが
その時、残業代の支払いの有無・法律(労働基準法)は守っていたかを思い出してました。

残業代 システム
個人経営のレンタルビデオ店 残業をしてほしい時に上司(先輩)が「〇時間だけ残って!」。勤怠の記録は無い店。
法律を守っていたか微妙。残業代は一応出ていたが正しい賃金だったのか不安。
人材派遣会社 × 「残業って何?」「残業は熱意でしょ!」「法律もよく分かんない」という会社。
残業代というものは無かった。給料はとても良かった。
某カフェショップ 勤怠管理はあったが、残業代として払われるのが30分刻み。0~29分の残業はタダ働き。
労働基準法は守っていた。就業規則もあった。法律をしっかり守っていたか微妙。
パチンコ店 勤怠管理が完璧で、勤務時間終了の5分前までに打刻。残業は1分単位で支払う。「法令遵守の鑑」。
残業代100%で支給。法律はあらゆる面で遵守している会社。

このように、私の経験だけでもこんなにバラエティ豊富です。
今、思えば人材派遣会社の時って本当は残業代が貰えていたなぁと感じる部分です。

そして大企業になるほどちゃんと法律を守る印象です。
法律を違反してしまう事での最悪のパターンを想定しているからでしょう。

残業代に関する法律・制度はあるの?

会社(企業・店舗)によって残業代に関しての制度にムラがあるのが事実です。
これを読んでいるあなたも自分の残業代にちょっと違和感を感じたり、「自分の会社が法律違反しているかも?」と思ったりしたのではないでしょうか。

残業代に関しての法律はあるのか?

という疑問が湧いてくるでしょう。

残業代に関する法律、答えは…もちろんあります。

「労働基準法」という国が定めた法律になります。

この労働基準法という法律に則って残業代は支払われなければなりません。
支払われていなければ、法律違反です。

残業の定義ですが、

残業とは正式には法定時間外労働と言い、法律で定められた時間外労働です。
法定労働時間である1日8時間、1週間で40時間の労働時間の制限を超えて働くことを法定時間外労働=残業といいます。
法定時間外労働で働いた部分の賃金の事を残業代といいます。

所定労働時間と法定労働時間の違いは?

「法定労働時間や法定時間外労働って頭に法定って書いてあるけど、それ以外もあるの?」

という疑問が湧いてきます。
法で定める…という事から法律で決められているものだという事が分かります。

「所定労働時間」や「所定外労働時間」のような言い方になります。

所定労働時間の違いについてご説明いたします。

所定労働時間とは

所定労働時間とは「労働者と会社(企業・店舗)との間で交わされた契約の中で定められた労働時間」のことです。

対して法定労働時間は、単語の中に「法定」とあるように労働基準法の第32条で定められている労働時間のことになります。

つまり法律で決まっているという事です。

前述していますが、原則1日8時間、週に40時間という上限が決められており、守る義務があります。

所定労働時間は、労働者(雇用契約する人)と会社(企業・店舗)とが契約の中で決めるので自由に決定する事が可能となります。
そのため、普通だと労働時間は法定労働時間と同様に1日8時間とする事が多いのですが、所定労働時間を6~7時間と短く設定している会社もあります。

この所定労働時間というのは原則として、法定労働時間を超えてはいけないという決まりになっています。

時間外労働に関するルール

残業をさせる場合、法定労働時間を超えて働く時の契約を労働者と企業が交わす必要があります。

これを36協定(サブロク協定)と言い法律内の規定となります。

これは労働基準法の第36条に定められている事から、このように称されています。

普段であれば法定労働時間内で済む業務も、業種によっては繁忙期や書き入れ時などのあります。
その時期やタイミングによって残業をする必要がある場合、この協定を労働者と企業(会社)が結ぶ必要があるのです。

労働者が正しく残業代を支払われる「36協定」を労働者と企業が交わす必要があります。

36協定とは

36協定とは、労働基準法第36条に基づく労使協定であり、企業が法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて労働(残業)を命じる場合に必ず必要な協定になります。

この36協定を締結し、地域の労働基準監督署に届出を出さないといけません。
この届出を出さないと企業側は労働者に法定時間外労働をさせることは出来ません。

もし届出を出さないで残業をさせた場合は法律違反となります。

実は残業と簡単に言っても複雑な取り決めが出来ているのです。
ですから働く個人であったり、一部の会社経営者でも内容をしっかり把握出来ていない人がいるのが事実です。

こうなると「じゃあ36協定は必ず届出を出さないといけないの?」という事になります。

絶対に「ウチは法定労働時間を超えて働かせない」「法定の休日に出勤(労働)させない」という事であれば協定を結ぶ必要はありません。
正直、そういった会社はほとんどないのではないでしょうか?

会社や企業が労働者を雇う場合はほとんどの場合、36協定を締結する必要があります。

時間外労働が発生しない職種もある!

ほとんどの場合、時間外労働の残業代が発生しないと法律違反となりますが、職業によっては合法的に残業代が発生していないケースもあります。

国家公務員の場合

国家公務員には労働基準法は適用されません。
ただし一般職の職員は給与に関する法律16条により、残業代を請求する事ができます。

農業・水産業等の場合

農業・畜産業・漁業・水産養殖業・養蚕業などの業種で働く方は時間外労働の賃金を請求出来ない可能性があります。
これらの業種の方には、残業代や休日労働手当に関する法律の規定が適用されないためです。

ただし、会社との契約の内容によっては残業代や休日労働手当の請求が出来る場合があります。

秘書の場合

社長秘書や役員秘書の方は、法律上の「機密の事務を取り扱う者(機密事務取扱者)」に当たり、深夜時間労働手当以外の残業を請求できない可能性があります。

理由は、機密事務取扱者には、残業代や休日労働手当に関する法律が適用されないためです。

警備員、マンション管理人の場合

待機時間の長い監視業務や断続的業務に従事する方は、法律上の「監視又は断続的に労働に従事する者」に当たる可能性があります。

この場合、会社等が労働基準監督署から労働時間規制の適用除外の許可を得ている場合、深夜労働手当以外の残業代を請求する事ができない可能性があります。

法律で定められた正しい残業代の計算方法をチェック!

では、実際に法定労働時間を超えて仕事をした場合の残業代の計算方法をチェックしていきます。

この計算には間違いやすい言葉や数字がありますので、混同しないように注意が必要となります。

また休日や深夜時間の労働に関しても抑えておくと、休日出勤が発生する人や深夜に仕事をしている人それと合わせて残業も…という人は確認をしておきましょう。

正しい残業の出し方

残業代の正しい計算方法ですが

  1. 基礎時給を計算する
  2. 適切な割増率をかける
  3. 正しい残業時間を把握する

この3つの流れで計算をする必要があります。

1.基礎時給を計算する

残業代=基礎時給×割増率×残業時間

という計算をしなくてはいけません。
基礎時給とはあなた(労働者)の1時間あたりの賃金の事をいいます。
最初から時給制で働いている人は時給そのままで問題ありませんが、月給制の方の場合以下の計算で算出する必要があります。

基礎時給=月給÷一月平均所定労働時間(平均170時間前後)

ここでの「月給」というくくりには、以下の手当も含まれます。

基礎時給の計算に入れて良い手当 基礎時給の計算に入れられない手当
「役職手当」「役付手当」「職務手当」
「業務手当」「地域手当」「調整手当」
など
「家族手当」「通勤手当」「別居手当」
「子女教育手当」「住宅手当」「賞与」
「残業手当」「深夜手当」「結婚祝金」
など

(例)
基本給170,000円、計算に含む事が出来る手当15,000円、一月平均所定労働時間170時間で計算をすると

(170,000+15,000)÷170時間=約1088円

となります。

2.割増率をかける

計算で出た基礎時給に割増率をかけます。

残業代=基礎時給×割増率×残業時間

割増率とは、残業した時間や深夜時間労働、休日出勤をした時にかけるものです。

残業 1.25倍
休日出勤 1.35倍
深夜時間労働 +0.25倍

このような数字をかけていきます。

例として

  • 通常の残業 …1088×1.25= 1360円
  • 深夜残業 …1088×1.5= 1632円
  • 法定休日出勤  …1088×1.25= 約1469円
  • 法定休日の深夜時間労働 …1088×1.6= 約1741円

が、1時間あたりで支払われる賃金ということになります。

3.残業時間をかける

最後に残業時間をかけていきます。

残業代=基礎時給×割増率×残業時間

基礎時給に割増率をかけて算出された数値(残業1時間あたりの時給)に1月ごとの残業時間をかける事で、1ヶ月の残業代を算出できます。

この場合の「残業時間」というのは

「1日8時間以上」「週40時間以上」を超えた全ての時間となります。

週5日8時間勤務で働いて、6日目に休日出勤した場合は休日出勤+残業の2種類の割増率をかけることになります。

以上が残業代の詳しい計算方法になります。

未払い残業代を支払わないのは違法です!

今までの所で
自分の未払い残業代が結構ある事に驚いた」という方や「もっと残業代が貰えるはず!」となった方、いらっしゃるのではないでしょうか。

その未払いの残業代が分かり、

請求したい!」「お金が欲しい!

と考えるのは当然です。

過去を遡って残業代が未払いだと判明した場合も企業は労働者に支払う義務があります。支払わないと違法行為となってしまいます。

もし支払われない場合、どういった罰則になるのでしょう?

残業代の未払いに対する罰則

残業代の未払いの場合、労働基準法第119条に罰則の記載があります。

「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」となります。

「懲役6ヶ月以下」とは、基本的には1ヵ月以上6ヶ月未満の事を言います(刑法第12条第2項)。
「罰金30万円以下」とは。基本的には1万円以上30万円以下の事を言います(刑法第15条)。

決して、軽い刑罰ではありませんね。もし罰を課せられた場合は個人の社会的信用の失墜や将来を戒められたり、責任を問われて退職させられる可能性だってあります。

もし未払いの残業代があったら、しっかりと請求しましょう。
あなたは賃金として貰う義務がありますし、会社は支払いをする義務があるのです。

罰則の対象者は誰?

罰則の内容は理解出来ました。次はこの罰則の対象者です。
一体、誰が対象となるのでしょうか?

絶対に会社の代表者や社長などに限られる事は無く、他の人でも刑罰を受ける可能性が十分にあります。
たとえば、部下に違法な残業を命じている上長(管理職)などであれば刑罰の対象となる可能性が十分にあります。

「法律に違反した者」が刑罰の対象ではあるのですが、その命令者が対象になるのか、責任者が対象になるのかは状況によって変化するようです。

会社自体が刑罰の対象となってしまう可能性もあります。

労働基準法第121条には、違反者だけでなく、その事業者(会社等)に対しても罰則が科せられるという記載があります。

ですが、普通に考えて会社自体に懲役刑を科すことは不可能です。

会社に対する罰則は罰金のみとなります。

会社にとって罰金刑30万円以下は安すぎる!」と感じるでしょう。

ですが、労働基準法違反により刑罰を受けると会社の社会的信用が下がってしまいます。
恐らくはメディアに取り上げられる事もあるでしょう。

社会的信用の失墜だけでなく、ハローワークの助成金を受給が出来なくなる可能性があります。
また、場合によっては金融機関からの融資を断られるケースなど、とても大きな不利益が生じてしまいます。

残業代の未払いで罰則を受ける企業は滅多にない

上記で、会社にも罰則規定があってそれによる被害がとても大きいと書かせて頂きました。

残業代未払いを理由として会社やその使用者が刑罰を受けることは「理論上」あります。
しかし、残業代未払いのために会社・事務所などが刑罰を受けたというニュースは、現実にはほとんど目にしません。

ほとんどの場合残業代未払いのために会社に刑罰を科すことはありません。

たまに、大企業の不祥事や過労死などが発生してしまうブラック企業の事件などで、賃金未払いがニュースで取り上げられることもあります。
ですが、実際に賃金支給未払いについては、多くの場合は労働者が我慢してしまうことが多く、あまり表面化していません。

残業代未払いで罰則を科される会社はきわめて少ないのが現実です。

時間外労働の請求には証拠が必要

では、未払いの残業を請求するために必要な証拠とは具体的に何があるのでしょうか?

残業代未払いの請求に有効な証拠」についてご紹介いたします。

未払い残業代を請求する場合

弁護士に相談する場合や労働組合(ユニオン)に相談する場合、もしくは労働基準監督署に相談する等、どのような場合においても十分な証拠、有効な証拠を用意して未払い請求に踏み出す事で相談や交渉をスムーズに進める事が出来ます。

残業代未払いの請求に必要な証拠を集める為に、結構な時間と体力が消費してしまいます。
普段はやらない事で、なかなか堂々と出来るものではないからです。

ちょっとずつでも、確実に証拠集めをしていきましょう。

労働条件の記載された雇用契約書

残業代や給与、税金などの計算は、雇用契約をした際の雇用契約書をもとに計算されています。

雇用契約書は従業員と会社との間で結んだ契約書類なので、この条件に反しているかどうかの判断が可能となります。

雇用契約書を、入社以来見ていないという方がほとんどでしょう。

実際に私自身もそうです。ですが雇用契約書は労働者であれば誰でも手の届く場所に設置する義務があるため、簡単に確認する事が出来ます。
普段、業務を行っていく中では必要性を感じにくいですが、残業代未払い請求においては重要な書類です。

正社員として契約している場合には、年間休日日数や基本給、残業代についての記載が必ずあります。

この雇用契約書に書かれていることは、あなたと会社との間で結ばれた契約になります。
これが例えば残業代の記載とそれに承諾しているサインなどがあった場合、会社(事務所)が違反している事が明らかとなります。

雇用契約書に内容に則していない事が確定するため、残業代が未払いのままであれば、雇用契約書は証拠の1つとする事が出来ます。

就業規則のコピー

上司や会社から命令や指示に不信感や違和感を感じた時には、この就業規則に目を通す事をオススメします。

就業規則には、以下のような内容が書かれています。

  • 始業時間と終業時間、休日などの労働条件
  • 賃金や残業代等の計算方法
  • 給与の支払い方法や支払いの期限
  • 賞与などの臨時賃金、最低賃金について
  • 退職に関しての関連事項など

就業規則という言葉や存在に馴染みが深い方は少ないのではないでしょうか?
人事関係を勉強している時、管理職になった時、管理職になる以前の段階で初めて目を通す人が一般的でしょう。

もしかしたら雇用契約書以上に日常的な業務に目にする事が無い資料です。

新人教育の一環で一緒に目を通す場合や、管理職の立場だったら、就業規則を確認するためにたまに目を通す程度でしょう。

この就業規則も、雇用契約書と同様に法律で定められた条件で作成されているものになります。

会社は嘘偽りの記載をすることはできません。

ここに記載のある就業に関する項目が、働いている日常の作業内容・労働時間と異なる場合、証拠となるので就業規則は有効な証拠となります。

残業時間が記録されているもの

実際に働いた時間が記録されているものを用意しておくと、残業代請求の際に正しい金額を把握できます。

タイムカードなどの記録だけではなく、意外なものが証拠になります。

  • 業務に使っているパソコンのログインログオフ記録
  • シフト表
  • 上司から受けた指示や送信メール記録
  • 日報(業務日報、運転日報)

勤怠がデータとして残っていなくても、紙媒体のメモや音声記録でも十分に証拠になります。

コロナ渦の影響からリモートワークが広がり、就業時間に関して曖昧な部分が増えてきています。
急な事で整備が整っていなかったのも事実でしょう。

整備が整っていない部分も加味しつつ、労働時間の記録を自分自身でやり、曖昧な部分の擦り合わせ・確認をしておくことが重要となります。

普段から、労働時間を会社に提示できるように証拠をまとめておく事で、残業代が支払われていない時に迅速に行動に移す事が可能となります。

時間外労働の請求には時効がある!?

未払いの残業代の請求には、実は時効があります。
いつまでさかのぼって請求できるの?」という部分で気になっていらっしゃる方もいるでしょう。

残業代をさかのぼって請求できる期間は「消滅時効」という法律で定められています。
残業代に関する請求権の消滅時効について説明いたします。

残業代の時効は改正前は2年だった

改正前の労働基準法では、未払い残業代請求の消滅時効期間は2年となっていました(労働基準法第115条)。
過去2年間までさかのぼって残業代を請求可能ということです。

債権(有価証券)の消滅時効に関する一般的なルールは民法によって定められており、改正前の民法で債権の時効期間は10年とされていましたが、労働の対価に係る債権については「短期消滅時効」を適用し1年という短い時効期間に設定されていました。

しかし、たった1年では労働者を保護するためには十分な期間とは言えません。証拠集めや準備期間だけで1年が経過してしまう可能性もあります。
さまざまな準備や手続きをしているうちに期限が迫ってしまいます。

そこで、改正前の労働基準法では残業代を含む労働賃金については時効期間を2年と定められていました。

残業代の時効の起算日はいつになる?

残業代請求の時効期間の起算日は「給料日の翌日」です。
民法では消滅時効の起算日を「権利を行使できる時」と定められています(民法第166条第1項)。

残業代の場合だと、残業代を含む賃金が支給される日、給料支給日がこれにあたります。
それに加え期間計算に関するルールでは、権利行使できる初日は時効期間に算入しないというルールがあります(民法第140条)。

厳密には時効期間の起算点は「給料日の翌日」となります。

2020年の改正によって残業代の時効が変更に

2020年4月1日に改正民法が施行されました。
債権法にも大きな変更があり、「短期消滅時効」が廃止され、債権の消滅時効期間は「5年」に統一されています。
それにともない、労働基準法における残業代の時効に関する改正が検討されることになりました。

民法改正により変わる時効期間のルールについて詳しく確認しましょう。

未払い残業代の請求

上述のように、改正前の民法では一般的な債権の時効期間を10年としていながら、労働の対価に関わる債権については1年という短い時効期間が設定されていました。

民法改正により、賃金を含むさまざまな債権に対する短期消滅時効の制度を撤廃。
すべての債権について5年という時効期間が適用されることになりました。

改正された民法では、残業代を含む賃金債権も同様の扱いとなり、残業代請求の時効も5年に変わることになりました。

改正前の労働基準法では残業代の時効が短かった

改正前の労働基準法では、残業代を含む賃金に関する債権の時効期間を2年となっていました。
民法上では短期消滅時効を適用し1年に。労働基準法では労働者の不利益にならないようにという事で時効期間を特別に2年に延長されていました。

しかし、2020年4月1日の民法改正によりすべての債権の時効期間は5年に統一される事になったのです。
その結果、労働基準法が規定する時効期間の方が民法の規定よりも短くなるという逆転現象が発生してしまいました。

労働基準法の改正によってしばらくの間は時効が3年に延長

労働基準法は本来労働者を保護するための法律です。
それが民法の規定よりも労働者に不利な内容となるのは正しい状況とはいえないでしょう。
この矛盾は絶対に是正しなければなりません。

労働政策審議会では、労働基準法の残業代を含む賃金の時効期間を5年に延長するとの見直しが審議されました。

審議の結果、2020年4月1日から施行される改正労働基準法において、残業代を含む賃金に関する債権の時効期間を「当分の間、3年間とする」こととなりました。

これは「経過措置」と呼ばれ、突然ルールを大きく変えてしまうことによる影響を抑えようと、段階的に新ルールへと移行させることを意図しています。
2020年4月1日に2年からいったん3年に延長し、さらに一定の期間が経過した後に改めて検討すると先送りにされているような現状と捉える事ができます。

時間外労働について法律に沿ったよくある質問集

残業に関しての法律に沿った筆問とその答えを数点、まとめさせて頂きました。

ここまでの記事であまり触れられていない部分を少しでも解消していきます。

Q.36協定を結んでいた場合、いくらでも残業できるの?

答えはNOです。

一定期間単位で時間外労働には上限が設定されています。

期間 時間外労働、上限時間
1週間 15時間
2週間 27時間
4週間 43時間
1ヵ月 45時間
2ヵ月 81時間
3ヵ月 120時間
1年間 360時間

このように、1週間での最大の時間外労働は最大15時間まで、1ヵ月の最大の時間外労働は45時間というように明記されています。

Q.特例措置対象事業場とは?

業種によって、週40時間を超える労働が必要なものがあります。演劇や映画業、病院、小売業や卸業、旅館やホテルなどがそれにあたります。
このような業種のために、週40時間を超えて労働するための制度が「特例措置対象事業場」です。

特例措置対象事業場は、別名44時間特例とも呼ばれており、就業規則や雇用契約書に明記することで44時間までは割増賃金なしでの労働が可能になります。
なお、各事業所ともに従業員が10人未満であることが条件です。

Q.残業の命令や指示は拒否できますか?

そもそも残業代が払われなかったり未払いになるのであれば、

「残業をしなければいい!したくない!」

という風になるのも当然です。残業代が出ない仕事ならしたくないのが当たり前です。

答え…残業はよっぽどの理由でない限り断れない。

「どうしても抜けられない用事」がある場合、業務上の残業の必要性とのかねあいで、断ることが可能です。
会社に残業の指示を計画的に行ってもらうよう要請するなど、よく会社と話し合うようにしましょう。

突発的に仕事を依頼され、残業となり自分の時間が無くなってしまうのは辛いものです。

これは会社の風土などにもよるので、会社によってはなかなか断れない部分や普段から残業を上司が強要せず、本当に必要な時に事前に説明した上で指示してくれる所と差があります。

デートに関しては残念ながら「どうしても抜けられない用事」には入らないようです。残念。

違法な時間外労働の請求ならユニオンへ相談を

時間外労働の残業代を請求する方法には2点あります。弁護士、もしくは労働組合(ユニオン)の2つです。

未払い残業代の請求はまずは労働組合(ユニオン)に相談する事をおすすめします。
弁護士より会社との交渉ノウハウは持っていますし、弁護士より労働者に寄り添った対応をしてくれます。

労働者を一番に考えた時間外労働の残業代請求をしてくれるのです。

また弁護士への相談も検討される人もいるでしょう。
この場合、費用や時間も掛かってしまいますし、弁護士への相談が発覚してしまう事で会社との信頼関係が無くなってしまう恐れがあります。

まずは労働組合(ユニオン)に相談し、組合として会社と団体交渉をする事をおすすめします。
交渉が成立すれば、未払いの残業代が請求できる+労働環境の改善も見込まれます。

労働組合というと、企業の中にあるイメージですが大手の企業でない場合、労働組合自体を持っていない企業もたくさん存在します。
そのような労働組合がない企業で働いている場合は企業の垣根を超えた「合同労働組合」に加入して団体交渉をする事が出来ます。

労働組合を利用するという事にデメリットとなる部分はほとんどなく、むしろメリットを多く感じられる部分ではないでしょうか。

当ねこの手ユニオンは組合費0円なので安心して相談をすることができます!

是非一度ご相談ください!

この記事は執筆された時点での情報を元に記載されております。文書・写真・イラスト・リンク等の情報については、慎重に管理しておりますが、閲覧時点で情報が異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。 記載内容や権利(写真・イラスト)に関するお問合せ等はこちら

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この記事を書いた人

過去の会社で弁護士を通じて未払いの残業代を請求し2年分の残業代の奪還に成功しました!この過程で、自身と同じような悩みを抱える人がまだまだ多く存在することに気づき、みんなの悩みや疑問を解決するために役立つ情報を発信します!

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