退職後に給料が振り込まれないときはどうするの?請求方法を解説

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「先月退職したんですが、先々月分の給料と先月の退職日までの給料が予定日になっても振り込まれないので困っています。」

「給料が未払いだったため会社を退職して2ヵ月経つのですが、未だに未払い分の給料が振り込まれません。退職後だともう請求はできないですか?」

ねこの手ユニオンにも上記のように「退職後に給料が振り込まれない」というご相談を多くいただいております。

給料の未払いは労働基準法違反であり、会社は労働者に対して雇用契約書で定められた通りの賃金を支払う義務があります。

これは、在職中であろうと、退職後であろうと関係ありません。

ねこの手ユニオンの相談者の方からも「もう、泣き寝入りするしかないですかね?」といったお話をいただくこともありますが、泣き寝入りする必要は一切ありません。

給料はあなたの貴重な時間を費やした労働の対価ですから、あきらめずに取り返しましょう。

ただし、会社に資産が残っていない状態で倒産してしまった後ですと、請求しても支払い能力がないため、支払わせることができなくなってしまいます。

本記事では、退職後に給料が振り込まれない場合の請求方法や、会社に資産が無く倒産してしまった際に利用できる制度の「未払賃金立替払制度」について解説していきます。

また、退職後に給料が振り込まれないことについて、いますぐご相談をご希望の方は相談ボタンまたはバナーからLINEでの無料相談が可能です。

目次

退職後に給料が振り込まれないのは違法

前述したように、会社には労働者が働いた分の正当な給料を支払う義務があります。

労働基準法でも、賃金は「毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない」と規定されており、在職中であろうと、退職後であろうと、給料の未払いは違法にあたります。

なお、賃金の未払いは労働基準法第120条1号の規定により、「30万円以下の罰金」が定められています。

「手渡しで支払う」と言われた場合

会社によっては退職者に対して「退職後の給料は手渡しになる」と言われることがあります。

「退職後に給料を直接取りに行くのは気が引けてしまう・・・」ということもあるとは思いますが、実は給料が手渡しになることは法律上何も問題ないのです。

労働基準法第24条では毎月の給料の支払い方法について「賃金は、通貨で直接、労働者にその全額を支払わなければならない」と明記されています。

つまり、労働基準法に則って給料を支払うためには、原則として社員や従業員に直接現金で支払わなくてはいけないのです。

しかし、実際に給料が現金で支払われている会社は珍しく、多くの会社は銀行振り込みを採用しています。

厚生労働省令によって「同意を得たうえで銀行口座に振り込む」ことが認められているためです。

よって、今まで口座振り込みで支払われたものが、退職後の給料だけ手渡しになったからといっても、違法性はありませんので覚えておきましょう。

退職後に給料が振り込まれないケース

退職までの間、毎月給料がきちんと支払われた場合などは特にですが、自分が一生懸命務めてきた会社が退職したからといって給料の未払いをするとは考えたくはないですよね。

実際に振り込まれていない期間にもよりますが、本来の振込日から数日程度しか経過していないようであれば、まずは以下でご紹介するケースの➊~➌について確認してみましょう。

会社から給料が本来の支払い予定日に振り込まれていないケースとして考えられるのは、主に以下の6通りです。

  1. 振込日が祝祭日
  2. 金融機関の振込時間の影響
  3. 担当部署の手配漏れ
  4. 会社の経営不振
  5. 退職者には給料を払わなくていいと勘違いしている
  6. わざと支払わない・退職者に対する嫌がらせ

これらの給料が振り込まれない6つのケースについて、以下で解説していくので、ご自身はどのケースに当てはまるのかを判断する参考にしてみてください。

❶振込日が祝祭日で振り込まれない

よくあるのが、給料の振込日が祝祭日で振り込まれていないケースです。

給料支払い日が土日祝の場合は、支払い日が前後しても違法にはなりません。

多くの会社は振込日が祝祭日の場合、前倒しで振込処理をするケースが多いですが、小規模の企業の場合など、前倒しが漏れていて祝祭日明けの振込になるケースもあります。

ただし、本来は給料支払い日が祝祭日によって前後する場合、事前に会社側が労働者側に対して通知しなければならないので、祝祭日で給料支払いがされていない場合は、社内メールや掲示板などを確認するようにしましょう。

退職後で社内メールや掲示板が確認できない場合には、元同僚の方や経理担当者などに連絡して確認してみましょう。

❷金融機関の振込時間の影響で振り込まれない

金融機関の振込時間の影響によって、振込が反映されておらず、給料が支払われていないケースもあります。

振込時間は金融機関によって異なるため、同僚が反映されていたとしても、自分が反映されていないといったケースもあります。

その場合は、金融機関の反映時間まで待てば反映されるので、慌てる必要はありません。

事前にどこの金融機関なのか、振込の反映される時間は何時以降なのかなど把握しておくといいでしょう。

主な金融機関の振込反映時間

主要な金融機関の振込反映時間を以下の表にまとめておきますので、参考にしてみてください。

金融機関名振込時間
ゆうちょ銀行即時反映
三菱UFJ銀行即時反映
りそな銀行即時反映
みずほ銀行即時反映

上記の大手銀行は即時反映されるため、銀行が指定している締め切り日までにデータが送信されていれば、給料日前日に処理が終わるため、給料日の0時時点で給料支払いを確認することが可能です。

❸担当部署の手配漏れで振り込まれない

給料支払いを担当している部署や給与担当者のミスによって、給与支払いが遅れているケースもあります。

会社側のミスであるため違法ではありますが、この場合は会社側に給料を支払う意思はあるはずですので、ミスに気付いて振り込まれれば問題ないという方も多いでしょう。

とはいえ、給料日当日中にお金が必要な方もいます。

そういった方は、会社側に当日にお金がいる理由を説明して、当日中に支払ってもらえるように交渉しましょう。

会社側のミスであるため、交渉に応じてくれる可能性は高いです。

ちなみに、給料の支払いが遅れている原因が、前述した「振込日が祝祭日」や「金融機関の振込時間の影響」の可能性もあるため、まずはこれらの理由に該当していないかを確認し、該当しないことが分かったらすぐに給与担当者に確認するようにしましょう。

❹会社の経営不振で振り込まれない

会社の経営不振により給料の支払いが遅れているケースも考えられます。

給料の振り込みが遅れている原因を担当部署に確認をしたうえで、会社が経営不振に陥って支払いが遅れていることがわかったら、まずはいつまでに支払われるのかを確認しましょう。

すぐに全額は無理でも一部を支払ってもらえる可能性もあります。

倒産してしまった場合

万が一、会社が経営不振で給料が振り込まれないまま会社が倒産してしまった場合でも、基本的には給料や退職金については、会社に請求します。

倒産手続中でも、給料や退職金は他の債券よりも優先的に支払う必要があると定められているためです。

ただし、会社に給料を支払うだけの財産がないケースがあり、その場合は未払いの給料を全額受け取れない可能性もあります。

未払賃金立替払制度

会社の倒産によって未払いの給料が発生し、それが回収できなかった場合に利用できるのが、独立行政法人労働者健康安全機構が実施している「未払賃金立替払制度」です。

会社側と労働者側が以下の要件を満たした場合に、未払いの給料を立て替えてくれます。



【使用者(会社)側の要件】

  • 1年以上の事業活動をおこなっていた
  • 破産などの「法律上の倒産」か、もしくは中小企業の場合、賃金支払能力がある状態ではないと労働基準監督署が認定した「事実上の倒産」の事実があること

【労働者側の要件】

  • 法律上の倒産または事実上の倒産の日から6か月前の日を起算点にして2年の間に退職した

ちなみに、上記の要件を満たしていれば、破産前に解雇されて給料の未払いが発生している労働者も対象となります。

ただし、この制度で受け取れる金額は未払いの給料総額の80%になります。

加えて、退職者の年齢に応じて88万円~296万円の上限が設定されています。

30歳未満・・・88万円(上限110万円の80%)



30歳以上45歳未満・・・176万円(上限220万円の80%)



45歳以上・・・296万円(上限370万円の80%)

会社が倒産してしまったようであればこの制度を利用しましょう。

❺退職者には給料を払わなくていいと勘違いしていて振り込まれない

本当にまれなケースではありますが、経営者が退職者には給料を払わなくていいと勘違いしている場合もあります。

実際にねこの手ユニオンに相談していただいて、解決した未払いの給料の事例の中にも、このケースがありました。

なぜ勘違いしていたのか理由はわかりせんが、個人事業主や中小企業に雇用されていた場合は、こういった事例に該当する可能性がありますので、給与担当者や経営者に連絡して確認してみましょう。

ちなみに、ねこの手ユニオンにご相談いただいたケースでは経営者の方から謝罪があり、給料は無事支払われました。

❻わざと支払わない・退職者に対する嫌がらせが原因で振り込まれない

わざと支払わない・退職者への嫌がらせというのは、一番悪質なケースです。

前述した給料の未払いも違法ではありますが、まだ悪気なくやってしまっている可能性もあります。

しかし、このケースに関しては、完全に意図的に未払いが発生しており、今後も支払ってもらえない可能性が高いです。

ねこの手ユニオンの相談でよくあるのは、以下のようなケースになります。

  • 今まで振込で支払われていた給与が退職したとたん「取りに来ないと支払わない」と言われたケース
  • 振込が無く問い合わせると「あなたに経費がかかっているから差し引くと給料が無い」などよくわからない理由をつけて支払われないケース

当人同士の話し合いで解決できれば一番よいのですが、「取りに来ないと支払わない」という場合は前述したように給料を手渡しでの支払いにすることは法律違反でもないため、何かしらのご理由から「どうしても取りに行きたくない」という方は押し問答になり難航してしまうことも多く、結局雇用主と折り合いがつかず、結局泣き寝入りしてしまう方も少なくありません。

労基署に相談した場合も、「取りにくれば支払う」という支払いの意思は見せるので、そこから進展しないようなケースもあり、難しいところです。

こういったケースの場合には、弁護士やユニオン(労働組合)などの機関に早めに相談し、請求を行うことをおすすめします。

退職後に給料が振り込まれない場合はどこに相談する?

給料が振り込まれない原因がわかっても、振り込まれる見込みがないの相談先は以下の通りです。

  1. 本社に相談する
  2. 労働基準監督署に相談する
  3. 弁護士に相談する
  4. 労働組合(ユニオン)に相談する

それぞれについて解説していくので、ご自身に合った相談先に相談してみてください。

❶本社に相談する

コンビニや宅配ピザなどフランチャイズ系の場合、勤務している会社と給与の支払いの管理元が異なるケースがあります。

そういった場合は一度直接本社に連絡してみる手もあります。

特にコンビニなどは個人事業主や小規模の会社が経営していることも多いですが、大元の企業が大きいため、本社に連絡することで誠実な対応をしてもらえる場合がも多いです。

ただし、必ず解決できるというわけではありませんので、本社に相談しても解決できない場合は、他の方法をご検討ください。

❷労働基準監督署(労基署)に相談する

労基署に相談するのも一つの手です。

労基署に相談する場合は、弁護士や労働組合と異なり、相談や請求するにあたっての費用がかからないといったメリットがあります。

ただし、労基署は未払いの給料を支払うように指導はできても、命令はできません。

そのため、会社側が労基署にそれっぽい言い訳をしたり、指導を聞き入れるような回答をして、結局振り込みをしなかったりなどの解決できないケースもあります。

また、解決まで時間がかかるケースも多いです。

とはいえ、金額が少額の場合は、弁護士に相談してしまうと、手元に残る金額がさらに少額になったり、マイナスになってしまう場合もあるので、少額の方はまずは費用がかからない労働基準監督署に相談するといいでしょう。

❸弁護士に相談する

弁護士に相談することで、未払いの給料の問題がスムーズに解決できる可能性は高いです。

ただし、他の相談先と比較して費用が多額なケースが多いです。

そのため、少額の給料未払い問題の解決を依頼した場合には、赤字になるケースもあるため、未払い賃金請求をする際の費用相場を把握しておく必要があります。

費用相場は以下になります。

スクロールできます
名称内容費用相場
相談料法律事務所に賃金未払いや残業代について相談する際にかかる費用法律事務所に賃金未払いや残業代について相談する際にかかる費用
着手金着手金は弁護士に依頼をした際にかかる費用のことで、未払い賃金問題が解決しなくても支払う必要がある無料〜30万円程度(法律事務所や請求額によって金額が大きく異なり、完全成功報酬のため無料の場合も多い)
成功報酬未払い賃金問題が解決して賃金が支払われた際にかかる費用回収できた賃金の20%程度
事務手数料未払い賃金請求に必要な書類作成などの費用数万円程度
日当弁護士が事務所以外の場所で弁護活動を行う際にかかる費用半日拘束:3万円、1日拘束:5万円
その他労働審判や裁判になった際にかかる印紙や郵便切手の費用数千円程度

弁護士に相談する場合は、上記の費用がかかるため、まずは費用かからない労働基準監督署や、少額の費用で済む労働組合に相談して、それでも解決できない場合には弁護士に相談するようにしてください。

ちなみに、弁護士に相談する際の手順は以下の通りです。

  1. 法律事務所に連絡し弁護士とのアポイントをとる
  2. 電話や法律事務所で給料未払いについて相談する
  3. 相談後、問題がなければ未払い賃金請求を依頼する
  4. 未払い賃金請求に必要な証拠を集める
  5. 請求先である会社などと交渉する
  6. 請求先が支払うことに合意した場合は解決となる

上記の手順で解決できない場合には、「訴訟」や「労働審判の申立て」を行うことになります。

労働組合(ユニオン)に相談する

労働組合(ユニオン)は弁護士よりも安価に請求できることが多いです。

基本的には、労働組合と一緒に、会社側と交渉して解決します。

また、労働組合には団体行動権という憲法で保障された権利があるので、会社の対応が不誠実な場合には、この権利を行使しデモなどの行動を合法的にとり解決を図ることもできます。

とはいえ、こういった解決方法をとるケースはほとんどありません。

そういった事態に陥る前に解決するケースが多いので、安心してください。

なお、労働組合は基本的に固定の組合費や組合活動への参加を求められるところもあるため、相談するユニオンの選定は重要です。

仮に、ユニオン選びで悩まれている方は、ねこの手ユニオンにご相談ください。

ねこの手ユニオンは組合加入金や組合費不要で、組合活動への参加も必要ありません。

加えて、相談料や着手金も不要です。

無事解決し金銭が支払われた場合のみ、その3割を組合活動維持の為の義援金としていただいています。

給料未払い問題でお悩みの方は、まずは記事下の「相談する」ボタン又はバナーからお気軽にご相談ください。

退職後の未払い賃金請求を行う際のポイント

退職後に給料が振り込まれず請求を行う際は、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

  • 雇用契約書を確認する
  • 未払い給料についての証拠をあつめておく

上記のポイントについて解説するので、内容をよく理解して請求をするようにしてください。

雇用契約書を確認する

会社側と労働者側で取り交わす雇用契約は、給料の支払いなどについて記載されている重要な契約です。

雇用契約書を控えていなかった場合は、会社にそれとなく連絡して雇用契約書の控えを送ってもらいましょう。

未払い給料についての証拠をあつめておく

退職後に給料が振り込まれず、未払いが発生した場合、すぐに証拠をあつめることが重要です。

証拠がないと、弁護士や労働基準監督署に相談しても対応してもらえない可能性があります。

集めておく証拠は主に以下のような内容です。

  • 労働契約書、雇用契約書
  • 就業規則
  • 給与明細、賞与明細
  • タイムカード
  • パソコンのログインログオフ記録
  • 業務上の送信メール
  • 上司からの指示メール
  • 業務日報
  • 手帳での勤務時間記録

残業代を含めた正確な給料を計算するためにも、必要になるので可能な限り集めるようにしましょう。

また、証拠が多ければ多いほど交渉も有利になるので、スムーズに解決できる確率が高くなります。

まとめ

退職後に給料が振り込まれない原因には、祝祭日などの金融機関にかかわる理由によって遅れている場合や、経営者が無知だったり、悪意を持って意図的に行っていたりする場合もあります。

そのため、退職後の給料の振り込みが確認できなかった場合、まずは考えられる理由を確認してみましょう。

不要なトラブルをなるべく避けるためにも、まずは「給与の振込日や祝祭日の場合どのような対応になるのかをしっかり確認する」、「給与管理の担当部署(担当者)に理由を確認する」などの対応をとるようにしてください。

上記の対応をとったうえで、経営者が意図的に給料を支払っておらず、解決が難しい場合には、ユニオンや弁護士に相談することをおすすめします。

ユニオンの選定で悩まれた方は、ねこの手ユニオンにご相談ください。

労働問題の専門家にLINEお気軽にご相談いただけます。

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ねこの手ユニオンは組合加入金・組合費不要、組合活動への参加も不要です。

相談料・着手金も不要で、無事に問題が解決し金銭が支払われた場合のみ、その3割を組合活動維持の為の義援金としていただいています。

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この記事を書いた人

過去の会社で弁護士を通じて未払いの残業代を請求し2年分の残業代の奪還に成功しました!この過程で、自身と同じような悩みを抱える人がまだまだ多く存在することに気づき、みんなの悩みや疑問を解決するために役立つ情報を発信します!

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