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【残業代とは】残業代にも種類が?種類によって金額も変わる?計算方法は?
残業代は時間外労働手当とも呼ばれており、時間帯などによっていくつかの種類があります。
しかし、残業代に複数の種類があることすら理解していない方も少なくありません。
「種類の違いなんて気にする必要はない」と考える方がいるかもしれませんが、種類によって金額の計算方法が異なるため、違いを理解しておくことは重要です。
仮に違いを理解していないと正確な残業代が計算できずに、未払いの残業代が生じた際に計算を間違ってしまう可能性があります。
上記のような事態を避けるためにも、種類や計算方法を正しく理解しておきましょう。
この記事では残業代の種類や計算方法、支払われなかった際の対応などについて解説していきます。
残業代とは
残業代は会社によって残業手当や時間外手当、超過勤務手当とも呼ばれており、主に以下の2つの賃金を指します。
- 労働基準法で定められた「法定労働時間」を超えて働いた際に支払われる割増賃金
- 法定労働時間の枠内である所定労働時間を超えて働いた際に支払われる賃金
上記の法定労働時間を超えて行った残業は、割増賃金を支払う必要があると法律によって定められているので覚えておきましょう。
具体的には、労働基準法で定められている法定労働時間である「1日8時間」または「1週間40時間」という時間を超えた場合は、割増賃金の支払いを受けることができます。
では、月曜日〜土曜日までの6日間、1日8時間働いたケースを確認してみましょう。
法定労働時間の「1日8時間」は超えていないため割増賃金支払わなくても良いと考える方がいるかも知れませんが、週労働時間を確認すると「48時間」になり、法定労働時間の「1週間40時間」を超えていることになります。
したがって、上記の場合は、「1週間40時間」を超えた労働時間である8時間を残業代として、会社は従業員に対して支払わなければなりません。
ちなみに、法定労働時間の枠内の所定労働時間を超えた労働は「法内超勤・法定内残業」などと呼ばれ、この残業に関しては法律によって「割増賃金を支払わなければならない」と規定されているわけではないため、基本的には割増賃金が適用されないケースが多いです。
具体例として、9時〜17時が就業時間と定められており、所定労働時間が「7時間」という会社で、18時まで働いた場合を確認してみましょう。
このケースでは、9時〜18時までの労働時間は「8時間」となり、法定労働時間を超えた労働はなく法定労働時間の枠内であり所定労働時間を超えた労働である法定内残業の時間が「1時間」になります。
したがって、この「1時間」は割増賃金とならない可能性が高いです。
ただし、就業規則によって「法定内残業でも割増賃金を支払う」と規定されている場合は、就業規則に則り割増賃金が支払われます。
このため、所定労働時間が「7時間」という会社で働いている方は、法定内残業も割増賃金が適用されるのか、会社の就業規則を確認するようにしましょう。
なお、残業代に関係する割増賃金には以下の種類があります。
名称 | 内容 | 割増率 |
---|---|---|
時間外労働手当 | 法定労働時間を超えた労働時間に支払われる残業代 | 25%以上 |
深夜労働手当 | 22時から5時までの間に労働した場合に支払われる割増賃金 | 25%以上(法定労働時間外に働いた場合50%以上) |
休日労働手当 | 「法定休日」に働いた場合に支払われる割増賃金 | 35%以上 |
上記の手当ては、残業代の計算に必要になる可能性があるため、覚えておくようにしてください。
残業代に関係する手当の種類
前述したように、残業代に関係する手当には、以下の種類があります。
名称 | 内容 | 割増率 |
---|---|---|
時間外労働手当 | 法定労働時間を超えた労働時間に支払われる残業代 | 25%以上 |
深夜労働手当 | 22時から5時までの間に労働した場合に支払われる割増賃金 | 25%以上(法定労働時間外に働いた場合50%以上) |
休日労働手当 | 「法定休日」に働いた場合に支払われる割増賃金 | 35%以上 |
上記の手当について詳しく解説するので、残業代を計算する際の参考にしてみてください。
時間外労働手当とは
時間外労働手当とは法定労働時間の「1日8時間」、「週40時間」を超えて労働した際に支払われる割増賃金のことです。
法律によって最低でも基本給の「25%以上」の時間外手当を支払うことが義務付けられています。
例えば、時給1,200円の場合の時間外手当は「300円」といった形です。
ちなみに、月給制の労働者の場合はその月の所定労働時間で月給を割り1時間当たりの賃金を求め、その賃金に超過した時間と「25%以上」の割増賃金を掛けて計算します。
しかし、時間外労働手当が全て「25%」ではありません。
1ヵ月あたり60時間を超える時間外労働については、「50%以上」の割り増し賃金を受け取ることができます。
ただし、上記の対応は2022年8月時点では大企業のみに求められており、中小企業は猶予されている状態です。
とはいえ、中小企業も2023年3月31日をもって猶予期間が終了することが決まっているため、それ以降は50%以上の割り増し賃金を受け取れることを覚えておきましょう。
深夜労働手当とは
深夜労働手当とは、22時から5時までの間に労働した場合に支払われる割増賃金です。
深夜労働は割増賃金の支払いが法律で義務付けられており、割増賃金の割増率は時間外労働手当と同じく「25%以上」になります。
ただし、法定労働時間外に深夜労働した場合には、時間外手当の「25%以上」と深夜労働手当の「25%以上」を合算して、1時間の基礎賃金の「50%以上」で計算した賃金を受け取ることが可能です。
一方、22時から7時までの「9時間」働いたケースでは、残業に該当する「1時間」は6時〜7時であるため、深夜労働時間には該当せず通常の時間外労働と同じ「25%」が適用されます。
休日労働手当とは
休日労働手当とは、「法定休日」に働いた場合に支払われる割増賃金のことです。
休日労働にも、「週1日、または4週間を通じて4日以上」設定することが労働基準法によって定められている「法定休日」に行われた労働と、会社の就業規則や労働契約で定められた週休日である「所定休日」に行われた労働の2種類があります。
例えば、週休2日で土日が休みに設定している会社で、日曜日を「法定休日」にしている場合、土曜日に出勤しても休日労働手当を支払う必要はありません。
土曜日は会社が設定している「所定休日」に該当するためです。
「法定休日」に働いた時のみ請求できると覚えておきましょう。
ちなみに、休日労働手当の割増率は「35%以上」と定められています。
ただし、休日労働手当は労働時間が8時間を超えても、さらに時間外労働手当が加えられることはないことも知っておいてください。
残業代の計算方法・シュミレーション
残業代の計算方法は以下の給与形態により異なります。
- 固定給
- 歩合制
給与形態ごとの残業代計算方法について解説していくので、ご自身の給与形態の残業代計算方法を確認するようにしましょう。
固定給の残業代の計算方法
給料が固定給である場合の残業代の計算方法は以下の通りです。
基本給+各種手当(1ヶ月)÷所定労働時間(1ヶ月)=基礎賃金
基礎賃金×(1+0.25(割増賃金率))×法定時間外残業時間(1ヶ月)=時間外手当
基礎賃金×(1+0.35(割増賃金率))×法定休日労働時間(1ヶ月)=休日手当
基礎賃金×(0.25(割増賃金率))×深夜労働時間(1ヶ月)=深夜手当
では、実際に3つのパターンの残業代を計算してみましょう。
①法定時間外残業だけ行ったケース
【前提条件】
- 法定時間外残業時間:40時間(1ヶ月)
- 所定労働時間:160時間(1ヶ月)
- 月給(基本給+各種手当):24万円
- 割増賃金率(法定時間外残業時):25%
※1円以下四捨五入
24万円(月給)÷160時間(所定労働時間)=1,500円(基礎賃金)
1,500円(基礎賃金)×(1+0.25(割増賃金率))×40時間(法定時間外残業時)=7万5,000円(残業代)
上記の場合は、1ヶ月に「7万5,000円」の残業代が発生します。
②時間外労働も行い、法定休日も働いたケース
【前提条件】
- 法定時間外残業時間:40時間(1ヶ月)
- 法定休日労働時間:8時間(1ヶ月)
- 所定労働時間:160時間(1ヶ月)
- 月給(基本給+各種手当):24万円
- 割増賃金率:25%(法定時間外残業時)・35%(法定休日労働)
※1円以下四捨五入
24万円(月給)÷160時間(所定労働時間)=1,500円(基礎賃金)
1,500円(基礎賃金)×(1+0.25(割増賃金率))×40時間=7万5,000円(時間外手当)
1,500円(基礎賃金)×(1+0.35(割増賃金率))×8時間=1万6,200円(休日労働手当)
7万5,000円(法定時間外残業の残業代)+1万6,200円(法定休日労働時間の残業代)=9万1,200円(残業代)
上記の場合は、1ヶ月に9万1,200円の残業代が発生します。
③時間外労働も行い、深夜労働もしたケース
【前提条件】
- 法定時間外残業時間:40時間(1ヶ月)
- 深夜労働時間:12時間(1ヶ月)
- 所定労働時間:160時間(1ヶ月)
- 月給(基本給+各種手当):24万円
- 割増賃金率:25%(法定時間外残業時)・25%(深夜労働)
※1円以下四捨五入
24万円(月給)÷160時間(所定労働時間)=1,500円(基礎賃金)
1,500円(基礎賃金)×(1+0.25(法定時間外の割増賃金率))×40時間=7万5,000円(時間外手当)
1,500円(基礎賃金)×(0.25(法定時間外の割増賃金率))×12時間=4,500円(深夜手当)
7万5,000円(時間外手当)+4,500円(深夜手当)=7万9,500円(残業代)
上記の場合は、1ヶ月に7万9,500円の残業代が発生します。
歩合制の残業代の計算方法
歩合給が採用されている場合は、固定給部分と歩合部分の残業代を計算する必要があります。
計算式は以下の通りです。
【固定給部分】
基本給+各種手当(1ヶ月)÷所定労働時間(1ヶ月)=基礎賃金の固定給部分
基礎賃金の固定給部分×(1+固定給の割増賃金率)×残業時間数(1ヶ月)=固定給部分の残業代
【歩合部分】
歩合給額÷総労働時間(1ヶ月)=基礎賃金の歩合部分
基礎賃金の歩合部分×歩合給の割増賃金率×残業時間数(1ヶ月)=歩合部分の残業代
では、実際に以下の条件で残業代を計算してみましょう。
- 法定時間外残業時間:40時間(1ヶ月)
- 法定休日労働時間:8時間(1ヶ月)
- 所定労働時間:160時間(1ヶ月)
- 総労働時間:200時間(1ヶ月)
- 固定給(基本給+各種手当):28万円(月)
- 歩合給:10万円(月)
- 固定給割増賃金率(法定時間外残業時):25%
- 歩合給割増賃金率(法定時間外残業時):25%
28万円(固定給)÷160時間(所定労働時間)=1,750円(固定給部分の基礎賃金)
1,750円(基礎賃金)×(1+0.25(固定給割増賃金率))×40時間(法定時間外残業時)=8万7,500円(固定給部分の残業代)
10万円(歩合給)÷200時間(所定労働時間)=500円(歩合給部分の基礎賃金)
500円(基礎賃金)×0.25(割増賃金率)×40時間(法定時間外残業時)=5,000円(歩合給部分の残業代)
8万7,500円(固定給部分の残業代)+5,000円(歩合給部分の残業代)=9万2,500円(残業代)
上記の場合は、1ヶ月に9万2,500円の残業代が発生しています。
残業代に含まれない手当
残業代を計算する際の基本給には役職手当などの各種手当が含まれます。
一方で、以下の手当は基本給の計算から除外されるため、残業代の計算にも使用しません。
- 家族手当
- 住宅手当
- 通勤手当
- 別居手当
- 子女教育手当
上記の手当について解説するので、内容をよく確認して残業代を計算する際の参考にしてみてください。
家族手当とは
家族手当とは、家族を扶養している従業員に対して賃金とは別に支払われる手当のことです。
基本的に残業代の計算から除外されますが、扶養家族の人数に関係なく支払われている家族手当に関しては、残業代の基礎賃金に含まれます。
例えば、社員全員に一律で5,000円を支給している場合には、残業代の計算に含めなければなりませんが、扶養家族1人つき5,000円を支給する場合は、扶養家族の人数によって家族手当金額が変動するため、残業代の計算から除外されます。
このように、家族手当は支給の仕方によって残業代計算が異なるので注意が必要です。
住宅手当とは
住宅手当とは、従業員の住宅にかかる費用の一部を補助する目的で支払われる手当のことです。
家族手当と同様に住宅手当の場合も、家賃に関係なく一律支給をしている場合は、残業代の計算に含める必要があります。
例えば、社員全員に30,000円を支給する場合は残業代の計算から除外しませんが、家賃のうち5割を支給する場合には、残業代の計算から除外されます。
このように、住宅手当も残業代の計算から除外される場合とされない場合があるので、違いをよく理解しておくようにしてください。
通勤手当とは
通勤手当とは従業者が自宅から会社までに通勤するためにかかる交通費を支給する手当です。
住宅手当や家族手当と同様に、一律支給をしている場合には賃金に該当するため、残業代の計算に含める必要があります。
一方で、定期代や通勤距離に応じて通勤手当の金額が決められている場合には賃金に該当しないため、残業代の計算に含める必要はありません。
このように、通勤手当も支給方法によって残業代の計算に含まれるケースがあることを理解しておきましょう。
別居手当とは
別居手当とは、通勤の都合から扶養家族と別居を余儀なくされる従業員に対して、増加する生活費を補うことを目的として支給される手当です。
基本的に別居手当も除外賃金に該当するため、残業代の計算には含まれることがありません。
ただし、夫婦関係の悪化や両親の介護など個人の理由で別居している場合には、除外賃金に該当しないため残業代計算に含める必要があります。
とはいえ、個人の事情によって別居している場合には、そもそも別居手当が支払われないケースが多いため、基本的に残業代の計算には含まないと理解しておいて問題ありません。
子女教育手当とは
子女教育手当とは、従業員の子どもの教育費を援助する目的で支払われる手当のことです。
除外賃金に該当し、残業代の計算に含まれることはありませんので、覚えておきましょう。
みなし残業の概要
みなし残業とは実際の労働時間に関係なく毎月一定の残業をしたとして、一定の残業代を支払う制度のことです。
法律によって特別な規制を受けているわけではないため、法律上みなし残業を導入することは問題ありません。
なお、みなし残業は大きく分けて以下の2つ種類に分類されます。
- 固定残業代制
- みなし労働時間制
上記について解説していくので、みなし残業を採用している企業で働いている方は、参考にしてみてください。
固定残業代制
固定残業代制とは残業時間にかかわらず毎月一定の残業をしているとして、規定されている固定の残業代を支払う制度です。
例えば、月に20時間残業をすると見込んで、その20時間に対して3万円を支給するといったケースが固定残業代制に該当します。
ちなみに、残業時間が把握しにくい運送業などで、多く採用されている制度です。
みなし労働時間制
みなし労働時間制とは、実際に働いた時間とは関係なく、毎月一定の時間働いたと見なしてその分の賃金を支払う制度です。
直行直帰が多い外回りの営業や在宅勤務の職種など、会社が労働時間を把握できない職種でよく採用されています。
設定されている時間を超えた分の割増賃金は支払う必要がある
前述したように、みなし残業は法律によって特別な規制を受けているわけではないため、導入していること自体に問題はありません。
しかし、設定されている残業時間を超えて働いているのに、残業代を支払っていないケースは違法になります。
また、以下の条件を満たしていない場合にはみなし残業が無効になり、会社が残業代を支払っていないと判断される可能性が高いです。
- 労働契約書に記載があること
- みなし残業代に該当する部分が固定給と明確に区別されていること
- みなし残業で規定されている残業時間を超えた場合は割増賃金を支払うこと
- 規定された残業時間が45時間を超えないこと
上記の条件を満たしていない場合は違法であるため、労働基準監督署や弁護士、労働組合(ユニオン)に相談するようにしましょう。
残業代に関するよくある問題やトラブル
労働基準法によって定められている「1日8時間・週40時間」を超える労働を行った場合は、企業は労働者に対して残業代を支払わなければなりません。
しかし、残業代の未払いやサービス残業、残業時間の不正管理などの残業に関する労働問題は多発しています。
ここでは、サービス残業の問題や残業代の未払いによくある事例を紹介していくので、自身が該当しているのか確認してみてください。
定時でタイムカードを切らされる
タイムカードを導入している会社で多いのが「定時になるとタイムカードを切らされる」というトラブルです。
終業時間になると上司が社員に対してタイムカードを切ることを強要し、データ上は会社から退勤したことにして、その後に残業をさせます。
会社はタイムカードで労働時間を管理しているため、タイムカードを切った時点で労働時間でないと見なすため、その後の残業時間に対する残業代が支払われることがありません。
ただし、このような状況は労働基準法に違反しているため、パソコンのログイン・オフの履歴やメールの送受信履歴などが残っていれば残業時間を証明でき、残業代を会社に請求できる可能性があります。
このようなトラブルに巻き込まれている方は、残業をしたという証拠を集めて残業代を請求するための準備をしておきましょう。
残業代を支払う必要がないと主張された
会社が「残業代は出ない」と主張して、残業代を支払わない会社もあります。
例えば、就職面接などで「うちの会社は残業代が出ない」と一言説明し、「面接の時に説明した」と主張して残業代を支払わないケースや、「誓約書に残業代は請求しない」と記載しているからと言って残業代を支払わないケースなどです。
上記のような会社の主張はすべて違法行為に該当するため、仮に誓約書にサインをしていても無効となり、残業代を請求できます。
会社が「残業代は出ない」と主張している場合は、労働基準監督署や弁護士、労働組合(ユニオン)に相談するようにしましょう。
規定された労働時間を超過したのにその分の代金が支払われない
固定残業代制を採用している会社の中には、いくら残業しても一定額しか支払わない会社もあります。
例えば、「残業30時間まで月5万円」と規定されているのに、30時間以上働いても5万円しか支給されないケースです。
当然ですが、規定された労働時間を超過した場合は、超過した時間の残業代を支払う必要があります。
したがって、このような行為は違法行為に該当するため、会社が残業代を支払わないと主張しても残業代を請求することが可能です。
残業代が適切に支払われていない場合は、労働基準監督署や弁護士、労働組合(ユニオン)に相談するようにしましょう。
残業代が支払われない場合の対応とは
サービス残業などの未払いの残業代が発生している場合は、会社に残業代を請求することで未払いの残業代を支払ってもらえる可能性があります。
ただし、残業代を請求するためには証拠を準備しておく必要があり、会社から拒否されて裁判に発展するケースも少なくないため、残業代を請求するハードルは非常に高いです。
そのため、残業代を請求できずに泣き寝入りしている方も少なくありません。
ここでは、そのような事態にならないために、残業代の請求方法や手順、注意点について詳しく解説していきます。
ちなみに、未払いの残業代請求のポイントや相談先に関しては、以下の2つの記事でも解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
請求する際の手順
未払いの残業代を請求するときの手順は、以下になります。
- 未払いの残業代を計算する
- 証拠を集める
- 会社と話し合いをする
- すでに会社を退職している場合や話し合いができない場合は内容証明郵便で請求する
- 労働基準監督署に申告する
- 会社と交渉を行って解決が困難な場合は労働審判を実施する
- 労働審判が適してない場合や労働審判でも解決できない場合は労働訴訟を実施する
上記のように、会社と話し合いをして解決できない場合には、労働審判や訴訟になる可能性があり、解決まで時間がかかることを理解しておいてください。
自分で請求する
自分で会社に対して残業代を請求することもできます。
他の請求方法と違って費用がかからないというメリットがありますが、自分で会社と直接やりとりを行う必要があるため、時間と手間がかかるうえに精神的な負担も大きいです。
また、自身で交渉する場合は会社から残業代の支払いを拒否される可能性も高く、理想の解決に至らないことも少なくありません。
このため、自分で残業代を請求する方法は、避ける方が無難です。
労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談して残業代を請求することもできます。
自分で請求する場合と同様に費用がかからないメリットがありますが、以下のデメリットがあるため、あまりおすすめできません。
- 労働基準監督署は未払いの残業代の支払いを命令できないため解決繋がらない可能性がある
- 相談してもすぐに動いてくれない可能性が高い
- 弁護士を紹介されるだけのケースがある
上記のように、労働基準監督署に相談したからと言って根本的な解決に繋がる可能性は高くありません。
とはいえ、無料で相談できてアドバイスをもらうことはできるので、まずは労働基準監督署に相談するだけしてみましょう。
労働組合(ユニオン)に相談する
労働組合に相談して残業代の請求を行うこともできます。
会社に労働組合があり影響力を持っている場合は、会社の労働組合に相談することで解決できる可能性が高いです。
しかし、労働組合がない場合や労働組合が影響力を持っていないケースも多く、そういった場合は個人で加入できる労働組合である「ユニオン」に相談しましょう。
ユニオンに相談することは以下のメリットがあるため、おすすめの請求方法です。
- 弁護士に相談するよりも費用を抑えられる
- 未払いの残業代請求に関するノウハウを豊富に持っている
- 団体交渉権を有しているため会社側は交渉を拒否できない
- 一緒に解決を図ってくれるので安心感がある
一方で、以下のデメリットもあります。
- どの組合に加入すれば良いのかがわかりにくい
- 組合費がかかるケースがある
とはいえ、ユニオンは費用も少額で済むうえに精神的な負担を軽減されるため、一人で残業代を請求するのが不安な方や費用を抑えたい方で、残業代の支払いを受けられる可能性を高めたい方には最適解です。
なお、親身になってくれるユニオンであればどこに相談しても問題がありませんが、相談先に迷ったら「ねこの手ユニオン」までご相談ください。
ねこの手ユニオンには、以下のメリットがあります。
- 組合費や活動費などが一切かからない
- 請求にかかる諸経費が不要
- 無事金銭解決した場合のみ3割の義援金で費用負担があるが負担は少ない
残業代請求にかかる費用負担が少ないため、費用を抑えたい方もねこの手ユニオンへのご相談を検討してみてください。
弁護士に相談する
弁護士に相談して残業代を請求するケースも多いです。
他の方法よりも多額の費用がかかるものの、会社との交渉や労働審判、訴訟の手続きなどを代理で行ってくれるため、残業代請求にかかる時間と手間を大幅に短縮できます。
ただし、請求額が少額の場合には、せっかく請求した残業代を弁護士費用が上回るケースもあるため注意が必要です。
請求する際の注意点とは
未払いの残業代を請求する際は、以下の2つの注意点を理解しておく必要があります。
- 証拠がないとそもそも請求できない
- 時効があるため時効までに請求する必要がある
上記について解説するので内容を確認して未払いの残業代を請求する際の参考にしてください。
証拠がないとそもそも請求できない
そもそも未払いの残業代を請求するためには、証拠が必要になります。
証拠がないと残業したことが証明できないためです。
例えば、以下が証拠となり得ます。
- タイムカード
- 業務メールや業務に関するLINEのやり取り
- 日報
- 手帳での勤務時間記録
- 給料明細書
- 雇用契約書
- 就業規則の写し
証拠が多いほど、スムーズに未払いの残業代請求ができるため、可能な限り集めるようにしてください。
時効があるため時効までに請求する
残業代の請求には時効が設定されています。
会社は「3年より前の残業代については請求に応じる義務がない」と法律で規定されているため、3年を経過する前に未払いの残業代請求を行う必要があります。
このため、未払いの残業が発生していると判明した時点で、残業代請求をするようにしましょう。
まとめ
この記事では、残業代の種類や計算方法、未払いの残業代を請求する方法などについて解説してきました。
解説してきた内容は以下のとおりです。
- 残業代の種類には、「時間外労働手当」・「深夜手当」・「休日労働手当」が含まれ、それぞれ計算方法が異なる
- 残業代を計算方法は「固定給・歩合給」で異なる
- 残業代に含まれない手当には、「家族手当・住宅手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当」がある
- みなし残業は違法ではない
- 未払いの残業代を請求方法は労働組合に相談するのがおすすめ
未払い残業代や残業代の計算方法に悩んでいる方はこの記事を参考にしてください。
なお、残業代を請求を行う際に依頼先に迷ったら、労働組合である「ねこの手ユニオン」までご相談ください。
組合費や活動費、着手金なども一切不要で無事解決した場合のみ3割の義援金をいただくだけなので、費用負担が少なく請求できます。
また、LINEでいつでも相談可能ですので、一人で抱えている不安や疑問も気軽にお問合せいただけます。
このように、あまり費用もかからず気軽に相談できるので、相談先に迷ったらまずは「ねこの手ユニオン」へご相談ください。
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